オランダ宿の娘 ハヤカワ・ミステリワールド

葉室麟【著】

• 販売会社／発売会社: 早川書房
• 発売年月日: 2010/03/25
• JAN: 9784152091192

商品レビュー

2022/04/19

「長崎屋」は、何代も続いた、江戸に参府するオランダ使節の定宿である。「るん」と「美鶴」姉妹は、「長崎屋」の娘で、オランダ人と親しみ成長した。

るん15歳、美鶴13歳の春。
かつて長崎屋が、火事により危機に瀕した際、救ってくれた恩人・ドウーフの息子・道富丈吉が、オランダ使節一行に連れられて、長崎屋にやってきた。

姉妹の恋。
長崎に帰った丈吉の不慮の死。
そして、長崎屋一家は、シーボルト事件へと、巻き込まれて行く。

2020/10/30

江戸のオランダ宿を舞台に、タイトルの通りオランダ宿の娘にスポットを当て、主役のるんの周りで次々に起こっていく出来事を、シーボルト事件に絡めた壮大な内容だった。実在の人物が登場し、実際の話もあり、なんだかノンフィクションのようで面白かった。るんを始めとする『長崎屋』の人々が、事件に巻き込まれるミステリーの様だけど、るんの素直で純粋な恋愛ものでもあり、爽やかな幕末の物語でした。

2015/11/03

葉室麟さんの著作のなかでは少し異色な感じの一作だと思った。
江戸で、長崎から将軍謁見に訪れるオランダ使節の宿泊所となるオランダ宿を営む一家が、シーボルト事件に巻き込まれる顛末を描いている。
少しオカルトじみたところもあるし、全体的に話のつながりが緩く、登場人物の造形も甘い感じがした。