記憶をベッドに閉じこめて MIRA文庫

M.J.ローズ(著者), 平江まゆみ(著者)

• 販売会社／発売会社: ハーレクイン
• 発売年月日: 2008/10/10
• JAN: 9784596913173

商品レビュー

2009/04/06

コラージュ作家のマーロウ・ワイアットは、恋人に贈るラブレターや官能的な物語の代筆を仕事としていた。１年半前マローウは明かすことの出来ない秘密が原因で恋人と喧嘩となり、恋人は旅先から心のこもったお詫びの手紙を書いて来たが、彼女がその手紙を読んだ直後、彼が事故死したことを知ることとなった。多くの手紙を書きながらも、永遠に書くことの出来ない送り先のない一通の手紙のことがマーロウの心に中にわだかまっていたのだった。そんな彼女の仕事が雑誌のバレンタイン特集として取り上げられ、仕事が忙しくなってきたころ、ひとりの男性とマーロウは出合った。彼との間に絆を感じたマーロウだったが、その男性ギデオン・ブラウンは恋人への官能的な物語の作成を彼女に依頼したのだった。物語の作成に深く関わりたいというギデオンと過ごすうちに、その物語が彼の恋人に向けるものだとわかっていながらも、その中にマーロウの彼への思いが反映されていく。

一人称の文章なのでヒロインの心情に共感できるならとても面白い物語だと思う。悲惨な結果に終わってしまった初恋を引き摺り続けるヒロインが、ヒーローと出会ってもう一度本当の自分を考え、感じ、戻っていく過程がゆったりと書かれていてロマンスというよりは純文学的な匂いもそこはかとなく。
ただイライラさせられる部分もないとはいえず。結局、ヒロインの自己啓発みたいな話しで終わる。一人称だしヒーローの行為の理由やヒーローが実際にどうしたいのか、も中途半端。