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漱石 母に愛されなかった子 岩波新書
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漱石 母に愛されなかった子 岩波新書

三浦雅士【著】

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漱石 母に愛されなかった子 岩波新書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2008/04/22
JAN 9784004311294

漱石

¥330

商品レビュー

4.6

9件のお客様レビュー

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2022/10/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

       -2009.02.24 漱石作品を貫く<心の癖>-それは母の愛を疑うという、ありふれた、しかし人間にとって根源的な苦悩であった。彼の小説の数々を、この<心の癖>との格闘に貫かれたものとして読み解き、人間への鮮烈な問いとして現前させる新漱石像。

Posted by ブクログ

2019/02/08

一人の女性をめぐって、三角関係に陥った二人の男性が、自殺することで自らの生き方の筋を通そうとする。 そこのところを、教科書を作っている人たちが高校生に読ませたがる、そういう、小説「こころ」。 しかし、この小説の面白さ、本当の悲劇性は「悲しくなってしようがない」奥さんを...

一人の女性をめぐって、三角関係に陥った二人の男性が、自殺することで自らの生き方の筋を通そうとする。 そこのところを、教科書を作っている人たちが高校生に読ませたがる、そういう、小説「こころ」。 しかし、この小説の面白さ、本当の悲劇性は「悲しくなってしようがない」奥さんを描いているところにあると僕は思います。 現代社会に生きる僕から見て、先生やKのような男性にさほどのリアリティを感じることは出来ません。現代にも通じる普遍的な悲しみは、むしろ、この奥さんの悲しみの方にあるのではないでしょうか。 三浦雅士は、評論「漱石」の中で、作家漱石を母の愛を疑い続けながら、その疑いを隠し続けた人間として捉え、彼のすべての作品の底には、その〈心の癖〉が流れていると論じています。 たとえば、ユーモア小説として名高い「坊ちゃん」の下女「おきよ」に対する、偏執的とも言える坊ちゃんの甘え方は、その具体例であるという具合に。 三浦の論に、誰もが納得できるかどうかはわかりません。しかし、僕には先生とお静のなにげなく、しかし、哀しい場面を引用し、漱石の〈心の癖〉が露見しているという三浦の指摘はかなり納得のいくものに思えます。 ここにこそ、漱石の作品の凄さがあるのだと思うからです。 https://www.freeml.com/bl/12798349/1000018/

Posted by ブクログ

2016/10/24

幼少期、もっと言えば胎内に生じたその時から二十代後半まで抱えていた問題、そのほとんどが肯定感の欠落と承認者の不在に依る不安だが、漱石との共通性に対してまず驚いた。それに伴って、過去に存在していた世界を身体上に再生する能動的行為が漱石という輩を得て、半強制的に行われることになった。...

幼少期、もっと言えば胎内に生じたその時から二十代後半まで抱えていた問題、そのほとんどが肯定感の欠落と承認者の不在に依る不安だが、漱石との共通性に対してまず驚いた。それに伴って、過去に存在していた世界を身体上に再生する能動的行為が漱石という輩を得て、半強制的に行われることになった。ほとんど義務のように感じさせるタイミングで。過去の記憶が何かに阻害され、記憶障害と呼んで差し支えないほど回想すらできないまま生きてきたことは一つの投げかけであり、回収しなければならない。 問題は、自らが感じているように承認欲求の克服は成されたのか、それともただ承認されないことに慣れたのかであって、この違いは無視することができない。訓練による癖付けにせよ、ただの耐性にせよ、慣れと成就は紙一重で危険な綱渡りである。 ここ数日あった母からのアプローチを、ことごとく拒絶している。宅急便で送られてきた食品を受取拒否するという行為は、自分にとっては彼女の死を願って喪服を新調した時よりもかなり明確な決別であり、復讐だった。食べるという生を存続させる行為と、生まれた時から、それ以前に生まれる前から生命を維持させるために必要としてきた母との関連を断つということは、おそらく自覚しているよりも大きなことだった。それは、この行為のあとに毒が全身を回っていくように感じている。 父からは、援助もしないが強要もしない、将来何をしてもいいがその世界で一番になれと言われていた。今思えば具体性のない、間抜けな命令である。その意味はおそらく、責任を一切とらずに達成不可能な目標を強要することで、主従の関係性を保持するためであったのだと今は理解できる。実際それは、その目標が不意に達成された時に顕在化した。報告に対して父は明らかに動揺し、権利を喪失したことを直感し、消沈したのだ。今、父から連絡が来ることは無くなっている。 そのように失望と勝利が同時に行われた時、承認欲求からの脱却が完了したように思える。エディプスコンプレックスとも関連しているであろうが、既に母の死を願っている状態にあって喜びも報酬も伴うことはなかった。 「吾輩は猫である」の成功、小説家になるという自己実現は、漱石と両親との関係性にどのように変化をもたらしたのか。 漱石の手を取り、考えるべきことはまだ尽きていない。

Posted by ブクログ

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