英国の近代文学 岩波文庫

吉田健一(著者)

• 販売会社／発売会社: 岩波書店/岩波書店
• 発売年月日: 1998/03/18
• JAN: 9784003319437

商品レビュー

2024/02/15

岩波文庫　吉田健一　「 英国の近代文学 」　

近代文学とは、言葉による表現がすべての世界であり、英国においてオスカーワイルドの批評に始まり、イェイツの詩でピークを迎え、ジョイスの小説により破壊されたと読める

序文「英国では近代はワイルドから始まる」　オスカーワイルド 論文「芸術家としての批評家」を近代文学の始まりと位置付けている

近代文学を通して 定義づけした「批評とは」「文学とは」の内容は秀逸。「批評」「文学」の仕事をするには、歴史全体を見渡す「教養」が必要

名言「現在のことしか現在と感じない人間は、自分が生きている時代について何も知らない」

批評とは
「作品について、あらためて自分の言葉で別の観点から、あるいはより精妙に、その世界を語り直すこと〜その作品をきっかけとして、あらたに自分なりの作品を作り出すこと」

「批評の本領は破壊になくて〜常に再建でなければならない」

文学とは
「過去が我々に残した作品の凡てを含むもの〜作品は一つごとに文学の姿を明確にするものであり、そこにあるのは近代の豊富」

「文学の仕事は認識することであり、認識することが存在することにならざる得ない〜文学を言葉と見る近代文学は、認識が存在になる」

読んでみたいのは
＊ワイルド「芸術家としての批評家」
＊エリオット「ダンテ論」「伝統と個人的な才能」
＊シモンズ「象徴主義文学運動」
＊イェイツ「一つの幻想」
＊ディラントーマス

イェイツ
＊言葉以外の一切のものは空虚であり〜歌うことが我々に残された唯一の仕事
＊アイルランド神話の掴まえどころのない世界を言葉で置き換える
＊詩は言葉で書くものであると承知することに詩の基本を置く

イェイツ「一つの幻想」
＊霊と人間の関係、天体と人間の行動を示す
＊地上に生きている人間の精神は、意志、仮面、創造的な精神、運命の総体の四つの要素に分ける
＊意志と仮面は 陰に属し、創造的な精神と運命の総体は 陽に属する