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最後の宴の客 バベルの図書館29
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商品詳細
内容紹介 | 内容:希望.ツェ・イ・ラの冒険.賭金.王妃イザボ-.最後の宴の客.暗い話、語り手はなおも暗くて.ヴェラ |
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販売会社/発売会社 | 国書刊行会/ |
発売年月日 | 1992/07/25 |
JAN | 9784336030498 |
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最後の宴の客
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最後の宴の客
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象徴主義の代表的人物の一人、フランスの小説家・詩人・劇作家、 ジャン=マリ=マティアス=フィリップ=オーギュスト・ド・ヴィリエ・ド・リラダン伯爵 (1838-1889)の短編から、 ボルヘスが『バベルの図書館』叢書に編纂した作品集。 うーん、難しい。 時代が古いせいもあるのだろ...
象徴主義の代表的人物の一人、フランスの小説家・詩人・劇作家、 ジャン=マリ=マティアス=フィリップ=オーギュスト・ド・ヴィリエ・ド・リラダン伯爵 (1838-1889)の短編から、 ボルヘスが『バベルの図書館』叢書に編纂した作品集。 うーん、難しい。 時代が古いせいもあるのだろうが、 雰囲気は掴めるし、とても好みに合うのだけれども、 オチがストンと胸に落ちてくれない、 巻頭「希望」と巻末「ヴェラ」以外は。 「???」と、 何度もページを捲り直す羽目になった(それって実は作者の思うツボ?)。 昔、長編『未来のイヴ』を面白おかしく楽しんだので、 短編集は楽勝だろうと考えたのが甘かった。 フランス語を解し、原著を読める人であれば、 スッと納得できるのかもしれないが、 こればかりはどうにも(ぐぬぬ)。 気を取り直して、全編についてザッとネタバレなしで。 ■希望(La torture par l'espérance) サラゴサ宗教裁判所の牢に囚われたユダヤ人のラビ、 アセール・アバルバネルに 逃走の千載一遇のチャンスが訪れたが……。 彼は「希望という名の拷問」に処せられていたと悟る。 ■ツェ・イ・ラの冒険(L'aventure de Tsé-i-La) 狡猾・吝嗇・残忍な専王チェ・タン太守の宮殿にやって来た 青年ツェ・イ・ラは、菩薩の加護によって 「謀叛を企てる者があれば、太守の瞼にその者の名が浮かぶ能力」 を授けられると告げ、交換条件を挙げたが……。 ■賭金(L'enjeu) 賭けトランプゲームに興じる人々。 宗教者でありながら賭け事に参加するテュセールの哲学と闘い方。 ■王妃イザボー(La reine Ysabeau) 多情な王妃イザボー・ド・バヴィエール(1370年頃~1435年) の逸話。 若い愛人の一人であるモール司教代理が 自分以外の女性に執心していると知り、 嫉妬したイザボーの奸計。 ちなみに「車刑(しゃけい/くるまけい)」とは、 車輪で全身の骨を砕いた後、体を車輪に編みつけ、 これを竿先に掲げ、地に挿して放置する刑罰のこと。 ■最後の宴の客 (Le convive des dernières fêtes) 186*年のカーニヴァルの夜、「私」と「友人C…」は オペラ座で出会った若い女性三人組と意気投合し、 酒宴を催すことになったが、 もう一人男性がいた方が都合がいい――といったわけで、 これまた偶然居合わせた30代半ばの男に声をかけたが、 彼「サチュルヌ」こと「フォン・H…男爵」と「私」は、 かつてドイツ旅行中に行き会ったことがあった。 ところが、豪華な夜食を前に男爵の話を聞くうち、 「私」はもっと別の場所で既に彼を見たはずだと思い至る……。 ■暗い話、語り手はなおも暗くて (Sombre récit,conteur plus sombre) 劇作家の夜食会にて、 「D…氏」は立会人になった、ある決闘について語った。 青年の死は悲劇に違いないが、 物語としては甚だ陳腐としか言いようがなかった。 しかし、後日「私」が 知人に「D…氏」から聞いたままを伝えると……。 ※ボルヘスの序文によれば、 リラダン自身の「残酷物語」のパロディらしい。 ■ヴェラ(Véra) 愛し合うダトール伯爵とヴェラ夫人だったが、 夫人は愛の営みの最中に死亡。 妻の死を認められない伯爵は 先祖伝来の廟の扉を施錠し、鍵を投げ捨てた。 彼は老いた召し使い一人を残して使用人に暇を出し、 一切の交際を絶って亡妻の幻影と暮らすことを選んだが……。 ※余談になるが、中井英夫『薔薇への供物』 自作解説「薔薇の自叙伝」には、 中井氏がこの作品に因んで交際相手の女性を ヴェラと呼んでいた(1967年頃)ことが 記されている(p.200-204)。 Qui verra Véra l'aimera ――ヴェラを見た人は彼女が好きになる
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ボルヘス監修、バベルの図書館シリーズ。イタリアで刊行された青を貴重とした縦長の装丁で出版されています。 20年ほど前から出版社に残っているものは取り寄せ、ないものは古本屋さんなどでちょこちょこ集めていたのですが、全30巻揃いました♥ 全巻並べると美術画のようです。 最近買ったも...
ボルヘス監修、バベルの図書館シリーズ。イタリアで刊行された青を貴重とした縦長の装丁で出版されています。 20年ほど前から出版社に残っているものは取り寄せ、ないものは古本屋さんなどでちょこちょこ集めていたのですが、全30巻揃いました♥ 全巻並べると美術画のようです。 最近買ったものを読んだり、ずっと前に読んで(20年前…)忘れたものを読み直したりしてゆきます。 さて。 ヴィリエ・ド・リラダンは、フランスの大貴族(だが資産はすでに無い)の生まれ。 ボードレールやワグナーと交流し、財産面でも女性関係方面でもなかなか破天荒な人生だったようです。 小説家としては文体に凝りすぎるあまりに1日10時間で1ページしか書けないほどだったようです。 なにしろすべての文がこのように記載されます。 「その時、燭台の明かりを儚くして、暁の弱々しい薄日が木々の間を通して訪れた。早朝の光がサロンの若き客たちの手を突然死者の手のように変えたのだった。部屋の香りは、金銭づくの快楽、厭々ながらの放蕩に沈む肉体、そして遊惰の残滓のために一層濁って消え失せてしまった!」(P55)絢爛豪華というか凝りすぎというか。 こちらの短編集では、大半の話で「残酷な拷問とおそろしい死」が語られるので、↑のような文体でそればっかり読んでいると読者としては体がモゾモゾしてきてしまう^^;。 『希望』 残酷な拷問を1年間受け続け、明日は恐ろしい死がくだされる異教徒の手に届きそうだった自由。 希望こそが何よりも残酷な拷問なのだという話。 『ツェ・イ・ラの冒険』 中国の王のもとに現れた旅の青年のツェ・イ・ラ。王に「自分の明かす秘密に報酬を下さるか、お気に召すままの死をお与えくださるか」と申し出る。 『賭金』 膨大な賭金を失った賭博僧は、「ローマ教会の秘密」を賭けるという。 『王妃イザボー』 王妃イザボーの愛人のモール司教代理は、戯れにある金持ち庶民の娘をモノにすると公言する。 この話は王妃イザボーの耳に入る。 王妃イザボーは、夜の褥で先程までの愛撫の残るまま、モール司教に与える残酷な未来を告げる。 『最後の宴の客』 私と友達のÇは、三人のお嬢さんたちと楽しい一夜を過ごすことになり、三人目の男としてたまたま見たことのある貴族紳士を誘った。 サロンで過ごす紳士を見るうちに私の心に大きな不吉さが沸き起こる。 紳士が去り、入れ替わりに入ってきた別の知人により、紳士の醜悪な偏執さを知らされる。 『暗い話、語り手はなおも暗くて』 サロンでD氏は、自分が立会人となった決闘の話を語る。 それは芝居としては実に陳腐だった。 しかし演出のうまいD氏にかかるとその陳腐さも人を惹きつけるものとなった。 この決闘は語れることにより完結したのだ。 『ヴェラ』 「『愛』は『死』よりも強し、とソロモンは言った。」(P143) ダトール伯爵は、愛する新婚の妻ヴェラを病で失った。屋敷の隅々にまで妻の思い出を感じた伯爵は、老召使いに告げる。「私と妻は、今まで以上に水入らずの生活を送る。今後はお前以外の召使いは住み込ませず、どんな客も接待しない」 こうして伯爵と老召使いは、ヴェラが生きているかのように暮らし始めた。 その状況にすっかり慣れた1年後、伯爵はふと妻の死を感じる。水入らずの生活は、死者の雰囲気で満たされてしまった。 そして伯爵は、妻を感じる新たな方法を見出す…。
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「冷たいロマンティスト」という形容が、リラダンにはふさわしいだろう。ここには7篇の作品が収められているが、それらが持つムードはことごとく夜のそれである。明るい太陽の輝きよりは、クールに澄み渡った月の光だ。篇中では『希望』、『暗い話、…』、『ヴェラ』に、とりわけリラダンの特質がきわ...
「冷たいロマンティスト」という形容が、リラダンにはふさわしいだろう。ここには7篇の作品が収められているが、それらが持つムードはことごとく夜のそれである。明るい太陽の輝きよりは、クールに澄み渡った月の光だ。篇中では『希望』、『暗い話、…』、『ヴェラ』に、とりわけリラダンの特質がきわだつように思う。ボルヘスが「数ある短篇小説の中でも屈指の傑作」だという『希望』は、タイトルがなんともアイロニカルだ。『暗い話』からは19世紀の高踏派ともいうべきリラダンが窺えるし、『ヴェラ』には冷たくそして甘美な死の影が付き纏う。
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