医者と侍 書下ろし医学歴史長篇

二宮陸雄(著者)

• 販売会社／発売会社: 講談社/
• 発売年月日: 2003/09/25
• JAN: 9784062120272

商品レビュー

2016/02/08

藩の命令で江戸の医学館で東洋医学を学ぶ青年・村井慎之助。
しかし時代は急激にご禁制の西洋医学へ。
医学館の勉強が終わった後、人目を避けてオランダの医学書を、辞書を片手に読み解く毎日。

そんな彼に、異国の襲来から国を守るため、蝦夷地へ行くように藩の命令が下る。
前回の蝦夷地警衛の時に、大勢の死者が出た。謎の奇病で。
だから最先端医療を学んでいる慎之助が随行することになったのだ。

過酷な蝦夷地の冬。
次々に死んでいく仲間たち。
自分の力のなさに打ちのめされる慎之助。

これで２５０ページって少なすぎない？
そして事実が淡々とつづられる文章では、読み手の心が動かない。

侍パートもまた、ちょっともたもたした展開で、波に乗り切れない。
文章のリズムが悪いと思う。

医者のパートと侍のパート、どちらもテーマが絞りこめていなくて、いまいちなんだよなあ。
結局何が書きたかったんだろうというのが、あとがきを読むまでわからなかった。
“宿命と義務と倫理の強い枠組みの中で、無益無残な死に至った藩士たちの無念さが、故国を離れた孤島で無残な死を遂げた戦没同窓生たちの無念さと重なり”
書かずにはいられなかったようです。

その熱い気持ちが伝わってこなかった。
自費出版なのかと思わず確認してしまったけど、講談社の本でした。
編集者はつかなかったのだろうか。

2013/10/01

津軽藩の蝦夷地警備における悲劇を題材。その前段、後段に力が注がれている感が強く、悲劇となった斜里滞在中の部分は、犠牲者の羅列に終わった感が強いのが残念。もっとも、それ以上の記述は、難しかったのかもしれないが。稚内にも同様の歴史があるが、その際にコーヒーが支給された話があった。その話は、斜里にはないのだろうか？