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少年と私 未亡人叔母の特別個人授業 フランス書院文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | フランス書院/ |
発売年月日 | 2002/04/10 |
JAN | 9784829610978 |
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少年と私
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商品レビュー
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劇的なクライマックスを見せつけた会心の官能小説
作品としては3作目と数えられるが、デビュー作と2作目がヒロインこそ異なれど繋がりのある連作的な内容だったので実質的には2作目と言えなくもない。軽井沢で暮らす30歳の叔母【日向子】の元へ預けられ、夏休みのひと時を過ごす15歳の主人公は実際に勉強も見てもらっているため、サブタイトルは...
作品としては3作目と数えられるが、デビュー作と2作目がヒロインこそ異なれど繋がりのある連作的な内容だったので実質的には2作目と言えなくもない。軽井沢で暮らす30歳の叔母【日向子】の元へ預けられ、夏休みのひと時を過ごす15歳の主人公は実際に勉強も見てもらっているため、サブタイトルは官能的な手引きとのダブルミーニングとも言える。小説として見事な作品だったと申し上げる。 憧れの叔母と過ごす日々を通じて下着への執着から寝入った叔母への悪戯、逆に主人公の寝姿を目にして昂る日向子といったように、互いの想いと肉欲が交錯する序盤から次第に手淫や口淫へと発展していく中盤を経て遂には結ばれる終盤というのが話の本線。文体は日向子の一人称である。甥っ子たる主人公を愛でる、愛でる想いが強くなっていく心情がじっくり描かれている。コソコソしている主人公を見咎め、問い詰める形で年上の優位さを見せつけつつ、恥ずかしがる主人公の純朴な姿を可愛い、可愛いと吐露しているのは叔母と甥という程良い距離感も滲んでいるようである。 だがしかし、日向子には〈岡田〉という初老の男がいる。長年の愛人関係である。岡田との逢瀬では被虐的な女々しさを見せる日向子。このギャップが官能面の彩りとなり、前も後ろも開発された経験豊富な女であることを示すことに繋がっている。岡田に仕込まれたプレイを主人公にこっそり施すような場面もあるからである。 そして、この岡田が物語の核心、その片棒を担いでいたことが後に判明する。他方を担いでいるのは意外な人物であり、その驚愕が日向子と主人公の最後の一線を越える契機となる。日向子はギリギリまで主人公と戯れながらも叔母の矜持を垣間見せ、主人公の最終的な望みを叶えなかったのだが、ここにきて諸々の感情から主人公を受け入れるに至り、そこで新たな衝撃と確信をも得てしまう。つまり、ここまで謎めいたところもあった物語が2段階のどんでん返し的驚きによって全て判明する仕掛けなのである。 おそらくこの結末を最初に発案し、そこから逆算するように筆を進めたのであろう。余りにも劇的なダブルのクライマックスを知ってから改めて読み返すと「なるほどねぇ」と唸ってしまう。小説の醍醐味が本作にはある。 2人の関係が起承転結を踏まえているために交合の場面は少なく、物足りない面もあるのだが、大人の男女による何とも罪深い営みに触れてしまう主人公の心の痛みと、全ての絡繰りを知ってしまった日向子の悲哀が紡がれた、壮大にして滑稽な物語が存分に味わえる作品として個人的には隠れた名作の1つに数えたい。
DSK