マンボウ遺言状 ラッコブックス

北杜夫(著者)

• 販売会社／発売会社: 新潮社/
• 発売年月日: 2001/03/30
• JAN: 9784103062349

商品レビュー

2013/03/06

友達が皆、帰らぬ人になって寂しそうである。
遠藤周作、埴谷雄高、辻邦生 etc...
老いさらばえて、生きるのも大変そうである。
私にとってこの本は北杜夫デビュー作だ。
遺言状が始まりとは、北杜夫風に言えば、
ヘンテコリンな順番になってしまった。

次はドクトルまんぼうシリーズを読もう。

2012/05/13

中学高校時代に読み耽った『どくとるマンボウ』シリーズのエッセイ21世紀版。
図書館で目が留まったので借りてみた一冊。
さすがに北壮夫先生もお年を召したというか、文章は昔と変わらず軽い語り口で面白いのだが、世をはかなむような内容ばかり。
数十年間、医者でありながら自身も躁鬱病と戦い、それを面白おかしく書いてきたのだが、好々爺となり、周りの作家が次々に亡くなっていく様子から、表題の所以も「とにかく早く死にたい。21世紀を見たくなかった」ということからタイトルになったようで、哀愁が漂ってくる。
これが単行本として出版されたのは平成13年で、すでに10年以上も前になる。
書いた頃は、笑い話のネタとして文中に度々登場する親友の狐狸庵先生こと遠藤周作氏も20世紀のうちにすでに鬼籍に入っていた。
そして、ご本人もまだ84歳の若さでありながら、昨年十月、帰らぬ人となった。合掌。
逆に先輩の阿川弘之氏は、90代に入りながらも未だ健在で、著書も発行しており、さすが海軍魂とでもいうべきか。
昔のように大笑いさせるようなネタでもなく、淡々と読み終わったが、やはり時の流れを感じ、少ししんみりしてしまった私でした。
中高時代、とにもかくにも腹を抱えて笑わせてくれるような面白い文章で私を楽しませてくれた天国の北先生に、あらためて合掌。
『どくとるマンボウ』シリーズのみならず、『奇病連盟』『高みの見物』『怪盗ジバコ』『父っちゃんは大変人』『さびしい王様』『船乗りクプクプの冒険』など、氏のユーモア小説は30年以上経った今でも私の本棚にあります。
特に『奇病連盟』は味があって面白かったなあ。
遅ればせながら、謹んでご冥福をお祈りいたします。