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自転車乗りの夢 現代詩の20世紀 五柳叢書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 五柳書院/ |
発売年月日 | 2001/01/15 |
JAN | 9784906010912 |
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懐かしい詩人たちの故郷に、著者は出かけて行く。そこまでなら、誰でもする。人は、誰でも青年時代は詩の一つくらい読んだり書いたりするものだから。かく言う私にしたところで、渋民村や小岩井農場を訪れている。啄木や賢治がいなければ足を向けるはずもないところだ。しかし、前橋には行ったことがな...
懐かしい詩人たちの故郷に、著者は出かけて行く。そこまでなら、誰でもする。人は、誰でも青年時代は詩の一つくらい読んだり書いたりするものだから。かく言う私にしたところで、渋民村や小岩井農場を訪れている。啄木や賢治がいなければ足を向けるはずもないところだ。しかし、前橋には行ったことがない。かねがね訪れたいとは思っていながら、いまだ果たさずにいる。朔太郎は、偏愛の詩人だ。浪人時代、古書店で手に入れた朔太郎の詩集を何度読み返したことだろう。私にとって朔太郎は詩の世界への水先案内人であった。自身が詩人である著者は、手みやげ代わりに自分の気になる一編の詩なり文なりをひっさげて詩人の故郷に向かう。前橋には「自転車日記」を携えていった。不器用な朔太郎が当時としてはハイカラな自転車に挑戦した顛末を綴ったものである。上州は国定忠治の故郷でもある。朔太郎には「忠治の墓」という詩がある。著者は、朔太郎の生家のある前橋市から、忠治の墓のある国定村までの二十キロの距離を移動しながら、未舗装の道を上州名物の空っ風にさらされながらペダルをこぎ続ける朔太郎に思いを馳せる。奇妙な滑稽感と哀憐に満ちた朔太郎像が、そこに現れ出る。「ご飯を食べるときでも食卓のまわりにポロポロと飯粒をこぼすような人だった」朔太郎に対する詩人の愛着が期せずして表されている。ところが、詩の中で歌われている「無用の石」どころか、忠治の墓の周りは記念碑や、子孫の墓で取り巻かれていた。ことさらにさびれた墓のイメージは朔太郎の「虚構」だったことを暴きながら、「無用」のものという一点で通じ合う無宿者と詩人というアナロジーに著者もまた気づく。妻との離婚話の渦中、自転車で往復四十キロの道を行く詩人の悲壮感の裏にある滑稽感に触れながらも、著者の筆は温かである。この本には詩人だけでなく、谷崎や安吾など、著者の愛する作家たちの故郷への旅もまた収められている。齢を重ねるにつれ、文学というものが「無用」の物であるという認識はますます深くなる一方である。しかし、その一方で、「有用」な物のもつ胡散臭さに辟易もしている。たまには、かつて愛した作家たちの一冊を懐に、このような旅をしてみるのもいいかもしれない。鮎川信夫について触れた一編を除き、特に詩や文学に詳しくなくとも充分に楽しむことのできる本である。
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