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評伝 泉鏡花 コレクション人と作品1
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 白地社/ |
発売年月日 | 1995/01/20 |
JAN | 9784893591517 |
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評伝 泉鏡花
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評伝 泉鏡花
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『泉鏡花――美とエロスの構造』(至文堂)の著者・笠原氏による鏡花評伝。巻末広告欄には「コレクション・人と作品」としていくつかのタイトルが並ぶが、これらは刊行されたのだろうか。 『評伝』と銘打つが、鏡花の生涯を網羅的に描いたわけではない。小説と演劇を大きな二つの柱としながら、一...
『泉鏡花――美とエロスの構造』(至文堂)の著者・笠原氏による鏡花評伝。巻末広告欄には「コレクション・人と作品」としていくつかのタイトルが並ぶが、これらは刊行されたのだろうか。 『評伝』と銘打つが、鏡花の生涯を網羅的に描いたわけではない。小説と演劇を大きな二つの柱としながら、一方は鏡花の内部で増幅していた自然主義台頭への危機意識が生んだ明治末年の傑作群までを、他方は新派劇との深いかかわりと『夜叉ヶ池』『天守物語』など、新派劇の枠組みをはるかに超えてしまうドラマトゥルギーの発見までを描く。逆に、「長篇の時代」となった大正期の作品や、昭和初年代の作品についての言及はほとんどない。 笠原氏の叙述から、改めて明治期の鏡花の作品史をたどると、しばしば「独自の世界」が強調される彼もまた、同時代の文学言説と彼なりのやり方で関わっていたことがよくわかる。村松定孝は草双紙的→森田思軒風→?外的、と続く文体の変化を論じたが、日清戦争後には「恋」と「法」、個と共同体とのかかわりが問題となり、自然主義の時代には、明確に反自然主義を掲げるメディアに接近し(鏡花は、当時一面識もなかった漱石に作品を持ち込んでいる)、メディアの側も、反=自然主義のテーゼを実作レベルで裏付ける書き手の一人として鏡花を〈利用〉した。柳田国男『遠野物語』を激賞した鏡花は、明らかにこの本によって励まされ、妖異や妖しい霊的なものを書くことを躊躇わなくなった。 鏡花は、一貫して独自だったと確かに言える。だがそれは、彼が時流と無関係だったことを意味していない。その持ち前の過剰さゆえに、時流を特異なかたちで読み込み(読み違え)、時代のコンテクストを自らの言葉の方へと強引にねじ曲げてしまうところに、彼の本領があると言えるのではないか?
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