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ボードレールの世界 講談社文芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 1989/01/10 |
JAN | 9784061960350 |
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ボードレールの世界
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別の原稿の準備のために読む。夫人による解説にもあるように、作家福永武彦の出発点となった最初の著書。彼はボードレールの世界を踏破することをつうじて、みずからの詩作へ踏み出そうとしたのではないか。最後に収録されているきわめて詳細な年譜が、そのことを物語っていよう。福永は、ボードレー...
別の原稿の準備のために読む。夫人による解説にもあるように、作家福永武彦の出発点となった最初の著書。彼はボードレールの世界を踏破することをつうじて、みずからの詩作へ踏み出そうとしたのではないか。最後に収録されているきわめて詳細な年譜が、そのことを物語っていよう。福永は、ボードレールのそれぞれの詩が、いつ、どこで生まれたのかを跡づけながら読み解き、訳していった。そうした作業のなかから生まれたのが、岩波文庫に収められている『パリの憂愁』の訳書であろう。ちなみに、私は言わばその古本でボードレールに毒されたのだった。こうした福永のボードレール研究は、現在の研究の水準からすれば、正されなければならない点も含まれていようが、ボードレールの詩作に親しもうとする者にとって今なお示唆的なものを多く含んでいる。なかでも『悪の華』のなかの有名な「万物照応」を読み解く際に、簡単に「共感覚」に訴えて事を終わらせることなく、照応の経験のなかに彼が「原音楽」と呼ぶものを見て取って、その深層に迫ろうとしている点、特に興味深い。また、ボードレールの詩作の中心にあるのが忘却と不即不離のところにある記憶であるという指摘も、あらためて振り返っておく必要があろう。ボードレールがいかにして悪から美を抽き出したかを、旅をはじめとする中心的なモティーフを取り上げながらたどったエッセイ「詩人としてのボードレール」は、優れたボードレール論と思う。
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