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シングル・セル 福武文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 福武書店 |
発売年月日 | 1988/07/15 |
JAN | 9784828830797 |
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シングル・セル
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大学院で生物学を学んでいる椎葉幹央は、論文を執筆するために「松の家」という小さな旅館に滞在していました。 高校生のときに父をなくし、身寄りのなくなった彼は、父の会社の同僚や親戚で市会議員をしているという男を頼りにすることなく、大学に進学します。他人に馴れあうことから逃れようとす...
大学院で生物学を学んでいる椎葉幹央は、論文を執筆するために「松の家」という小さな旅館に滞在していました。 高校生のときに父をなくし、身寄りのなくなった彼は、父の会社の同僚や親戚で市会議員をしているという男を頼りにすることなく、大学に進学します。他人に馴れあうことから逃れようとする彼の態度は、タイトルになっている「シングル・セル」(弧細胞)ということばに象徴されています。しかしそうした彼の態度は、T教授の考える研究者像からはずれていたために、彼は大学にとどまって研究者になるという道を絶たれてしまいます。 そんな彼が、「松の家」に宿泊していた竹沢稜子という女子学生と知りあい、彼女はそのまま幹央の部屋で生活をともにすることになります。彼は稜子になにも事情をたずねず、彼女のほうもなにも説明しないまま時が経ち、やがて彼が稜子の存在になじんできたころ、突如彼女がすがたを消してしまいます。 その後、去ったときとおなじように、とつぜん稜子が彼のもとへ帰ってきます。彼女は自分の身のうえについて語りますが、「ゆうべの話は半分が本当で半分が出まかせ。気に入ったところだけ信じてください」と書かれたメモをのこして、ふたたび彼のもとを去ってしまいます。 「性」に集約されることのない、「シングル・セル」として生きる男女の関係を追求するというテーマに取り組んだ著者の代表作です。「単行本後記」で著者は、「これが長篇としては三作目だが、考えようでは三作とも「シングル・セル」の題がついてもおかしくない。むしろ今となるとこの題を見つけるために書きついできたような気さえしてくる」と語っており、著者の文学的な探究の核心にあるテーマが本作において十全に表現されているように感じました。
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