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幻想の肖像 河出文庫
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幻想の肖像 河出文庫

渋沢龍彦【著】

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幻想の肖像 河出文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 1986/10/04
JAN 9784309401690

幻想の肖像

¥385

商品レビュー

3.8

15件のお客様レビュー

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2016/06/10

〜澁澤めがねを借りて見る美女たち〜 澁澤流「美と官能」をゴシック期のシモーネ・マルティーニからシュルレアリスムのダリまで36点の絵について語ったもの。 各作品4ページ程。「婦人公論」で澁澤自身が選んだカラー口絵に寄せた文章だったそうで、サラッと読める。 しかし文は短いが、内容は...

〜澁澤めがねを借りて見る美女たち〜 澁澤流「美と官能」をゴシック期のシモーネ・マルティーニからシュルレアリスムのダリまで36点の絵について語ったもの。 各作品4ページ程。「婦人公論」で澁澤自身が選んだカラー口絵に寄せた文章だったそうで、サラッと読める。 しかし文は短いが、内容は濃厚。 文学・心理学・美術史…様々な要素を絡めてその魅力を解き明かしていくのだが…この本の魅力はやはり澁澤龍彦の審美眼そのものだろう。 「わたしが愛してやまないのは…」のような言い回しで、彼が無条件で惹かれるジャンルについて語られる。 そして私が凄いと思うのは、昨今では「萌え」という便利な表現で片付けてしまう、フェチズムなどの偏った嗜好について、非フェチの人にも頷ける解説がなされている点。 「そんなエエもんやったら、私も味わってみようかいな」 と思わせられる明晰な文章力。 最近読んだなかでは、橋本治の「ひらがな日本美術史」の異様な説得力を持った文章にもひれ伏した。(これも結構古い本ですが) ふたりとも、何かの裏付けがあるとか、通説になっているとかの話ではない事柄を、解きほぐし、読者ひとりひとりの心に問いかけて、持論があやなす万華鏡の世界へ誘う。 読者は魔法をかけられたように、そこへ迷い込むだけでいいのだ。 この本を読んでいる間、澁澤ワールドで遊ぶ楽しさをじっくり味わえる。 あと同時代の三島由紀夫が好んだ絵についての話などもあって、面白い。 それから今回の再読では、中野京子の「怖い絵」シリーズで扱っていた絵(あるいはモチーフ)もあったので、興味深く読み比べてみた。 ユディット、美しきロジーヌ、一つ目巨人(キュクロプス)、三美神…。 男女の違いもあるが、やはり「美」と「怖」という着眼点の違いによる見え方の差は大きい。 同じ絵について正反対の解釈が成り立つ事の面白さも感じた。 しかし「官能」についてより深く切り込んでいる澁澤龍彦の方が、本質に迫るもののように思えた。

Posted by ブクログ

2016/03/27

まず、自分の持っているのは第14刷1995年版で、表紙絵はピエロ・ディ・コシモの『シモネッタ・ヴェスプッチの肖像』である。登録されている表紙絵は別のものに代わっているが、その表紙絵は本書に収録されていない絵だと思われる(『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』の中のパトモス島のヨハネ)...

まず、自分の持っているのは第14刷1995年版で、表紙絵はピエロ・ディ・コシモの『シモネッタ・ヴェスプッチの肖像』である。登録されている表紙絵は別のものに代わっているが、その表紙絵は本書に収録されていない絵だと思われる(『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』の中のパトモス島のヨハネ)。あるいは、現在は増補されたか、もしくは収録された絵の一部分を拡大したものなのであろうか? あとがきによれば、本書は澁澤龍彦が3年の間『婦人公論』の巻頭口絵のために書いたエッセイをまとめたものとのことである。澁澤がこれと選んだ絵画を、一画家につき一枚の割合で書いている。あとがきの澁澤の言の通り、澁澤が好むものをセレクトした結果、西欧の女性像が多く収録されている。(笑) 取り扱う画家の時代は中世やルネサンス期から近代にいたり、エッセイの内容も絵画の背景の解説や、絵画の部分部分についての見方、画家の紹介、文学的や心理学的それに美術的見地での評論と多岐にわたっていて、澁澤の造詣の深さにはただただ感じ入るばかりである。ただ、中には自分にはそういう風には見えないといった、澁澤の評論には納得できない部分もあったにはあったのだが・・・。(笑) 澁澤が好むものを収録しただけあって女性裸体画が多いのは頷けるとして(笑)、単に美しさや快さだけに留まらず、醜悪と思えるような絵も収録しているところは澁澤の知的内面の奥深さが窺われ、面目躍如たるものがある。ちなみに単純な自分としてはやはり可憐な女性裸体像が好みなので(笑)、ハンス・バルドゥンクの『三美神』、グイド・レーニの『スザンナと老人たち』、グスタフ・クリムトの『女友達』あたりが好きだった。 本書は残念なことにカラー絵は表紙絵のピエロ・ディ・コシモの『シモネッタ・ヴェスプッチの肖像』、巻頭絵のペトルス・クリストゥスの『若い女の肖像』、ヴィットーレ・カルパッチオの『二人の娼婦』、カルロ・クルヴェルリの『マグダラのマリア』、ルーカス・クラナッハの『ユディット』のみであり、あとは白黒絵なので、評論にインパクトが欠ける部分もあった。文庫化にあたり、こういったところは配慮してほしいものである。 澁澤龍彦の知的センスと36作品もの西欧美術画とで二重に楽しめる一書といえる。

Posted by ブクログ

2014/06/24

時代を感じるエッセイ。 と言っても観方の古さ云々ではなく(とは言いつつ昭和40年代ぽい気はしますが)、写真の鮮明度等、出版技術のこと。粒度の荒い白黒写真のため、著者の想いの共有が困難。 絵画への造詣がない当方はある意味途方に暮れるといったところかな? しかし知らない画家、見たこと...

時代を感じるエッセイ。 と言っても観方の古さ云々ではなく(とは言いつつ昭和40年代ぽい気はしますが)、写真の鮮明度等、出版技術のこと。粒度の荒い白黒写真のため、著者の想いの共有が困難。 絵画への造詣がない当方はある意味途方に暮れるといったところかな? しかし知らない画家、見たことも無い絵はそれこそ無限にありますな。

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