犯人と二人きり の商品レビュー
SF、ホラー、サスペンス… 様々なジャンルを丁寧な筆致で読ませるミステリー作品集 #犯人と二人きり ■きっと読みたくなるレビュー 『13階段』『ジェノサイド』で有名な高野和明先生のミステリー作品集。 幽霊を絡めたがホラー風な物語が多く、以前直木賞候補になった『踏切の幽霊』を思...
SF、ホラー、サスペンス… 様々なジャンルを丁寧な筆致で読ませるミステリー作品集 #犯人と二人きり ■きっと読みたくなるレビュー 『13階段』『ジェノサイド』で有名な高野和明先生のミステリー作品集。 幽霊を絡めたがホラー風な物語が多く、以前直木賞候補になった『踏切の幽霊』を思い出してしまいました。丁寧かつ巧妙な筆致で、読者をゾクゾクッとさせるのがお上手ですねー。あっという間に全部読んじゃいました。バラエティーに富んで楽しい作品ばかりですが、私がイチ推しなのは『天城の山荘』ですね。 ■各短編の簡単レビュー ○ゼロ ある男が海岸で目を覚ます。過去の記憶がなくなっており… 記憶喪失のSFミステリーものですね。読み口もライトでするりと読めちゃう。生きるということは良くも悪くも変化していくこと。それ自体が幸せなことなんだと思った。 ○跫音 学生時代の友人からの相談事、帰宅途中の夜道に不気味な足音が近づいてくるという。確かめるためにその場所を訪れ、調べているうちに、自分にも足音がするようになってしまい… なんか足音がついてきてる気がする…ってこと、ありますよね。めっちゃ怖いんだよなー。終盤にかけてはマジ震え上がりましたね、もう夜道が歩けない。 ○死人に口あり 邪魔になった恋人を殺害した男の物語、殺害現場のお寺に幽霊が現れ… たまらんです、このゾクゾク感。真夏に読みたい。小道具の煙草パイプが粋ですね~ 主人公がやたら鼻につくのがむしろ良かった。 ○二つの銃口 建設中の学校で作業をしていた男、建物にひとりきりのはずなのに誰かが侵入した物音がした。ラジオのニュースでは、近くで発砲事件があったようなのだが… どんどん追い詰められるサスペンスもの… と思いきや、終盤になると入り組んでくる。やりたい放題やりましたねって作品。 ○ハードボイルドな小学生 テレビの探偵ドラマに憧れる小学生。クラスメイトから、とあるいたずらの犯人捜しの依頼を受けて… 出てくる子どもたちが良く描けてる、素直で可愛くて好き。小学四年生の男子って、物心を突き始める年代なんだよね。男の子から少年、男子になりはじめるタイミング。みんなこの事件をきっかけに、少しだけ成長できたんだと思う。 ○天城の山荘【おすすめ】 戦後復興中の伊豆、いわくつきの幽霊屋敷の取材をする新聞記者の物語。 おもろい! 時代も人物も場面も良く、映像で観たくなる作品。狂いっぷりに惹かれますね。 ○三人目の男 交通事故にあって亡くなる寸前… そんな現実しか思えない夢を見た麻里子。調べていくうちに、事故にあった男性の家族や友人と知り合いになり… ありがちな枠組みなお話ながら、途中でしっかりギアを入れてきて、最後はバッチシ決めてくれた。やっぱり母親ってのは偉大だよね。
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どれも面白くて、しかも怖さや不思議さなどさまざまな気持ちに陥る。 安定した読みやすさもあって楽しめた。 「ゼロ」〜いつの時代か、自分が何者かわからない世界をどう感じるのか… 「跫音」〜自分の後から聞こえてくる靴音に悩まされる友人に助けを求められるが… 「死人に口あり」〜逃げ...
どれも面白くて、しかも怖さや不思議さなどさまざまな気持ちに陥る。 安定した読みやすさもあって楽しめた。 「ゼロ」〜いつの時代か、自分が何者かわからない世界をどう感じるのか… 「跫音」〜自分の後から聞こえてくる靴音に悩まされる友人に助けを求められるが… 「死人に口あり」〜逃げ切れると思っていたはずだったが…幽霊の正体を見るまでは。 「二つの銃口」〜通り魔事件の犯人と遭遇したことで、いったい誰から逃げているんだ状態に陥る。 「ハードボイルドな小学生」〜変なビラを入れた犯人を探すことで、見えてきたもの。 「天城の山荘」〜その山荘に隠されていたものに驚愕する。 「三人目の男」〜夢から始まる謎を求めて…
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スリルとサスペンスの怪事件7話。SFやホラー、ファンタジーなど多様な作品を楽しめた。最後に意外な展開が待っていたり余韻を残す感じでどの作品も面白く読んだ。
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前作『踏切の幽霊』から約3年ぶりの新刊。『踏切の幽霊』は11年ぶりの新刊だったので、この方にしてはインターバルが短いなあと思って手に取ると、本作は短編集だった。各編初出時期は2002年~2015年と広範囲にわたっている。 まずは短い「ゼロ」。高野作品には珍しいSF的設定。うまくやったはずなのに、何だよそのオチは…。「跫音(あしおと)」。オーソドックスながらなかなかのホラー。これでホラーの才覚に目覚め、後に『踏切の幽霊』が生まれたのだろうか。 「死人に口あり」。刑事と犯人の車内での駆け引き。初出は『幽霊人命救助隊』の刊行と同時期か。幽霊ネタが好きなのか? 「二つの銃口」。閉鎖空間で、銃を持つ通り魔から追われる男。緊迫感はあるのだが…結局、真相はどういうこと??? 本作中ではやや長めな「ハードボイルドな小学生」。高野流のジュブナイル小説か。大人とは違う意味で複雑な小学生社会。家庭環境はそれぞれ。初出は2002年だが、デジタルネイティブな現代の小学生たちを、高野さんならどう描くだろう。 「天城の山荘」。友人の依頼で、山奥の山荘を訪れた新聞記者。かつてここでは、大学関係者が失踪していた。正直ありがちな設定ではあるが、コンパクトかつきちんと伏線を回収する手腕はさすが。しかし、幽霊ネタが好きだな高野さん。 最後に「三人目の男」。まったく無関係の彼女が、彼の無念を引き継ぎ、調査に乗り出すことに。どうしてそこまでするのか突っ込みたくなるが、よくもまあ今まで隠し通したものである。幕引きはこれでよかったのか。しかし高野さん…。 読み終えてみて、面白かったのは確かだけれど、帯の文章は盛りすぎというのが正直なところである。長編向きなネタが多いし、高野和明はやはり長編の作家なのだ思った。各編とも、高野さんの力量と同時に、もったいなさも感じた。 初出誌の版元がばらばらなので、単行本にまとめるには調整を要したと思われるが、こうして読者に届けてくれたことには感謝したい。
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著者が2002年〜17年にかけて文芸誌に発表した短編を集めたもの。後の「踏切の幽霊」に繋がるような心霊ミステリー系の話が並ぶが、割とオーソドックスな展開で、もうひとひねり欲しいと思えるものが多かった。ベストは「ハードボイルドな小学生」。高野さんは長編の方が断然面白い。
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七つの怪事件短編集。ミステリーという枠組みの中で「犯人と二人きり」というシチュエーション以外、一篇それぞれが異なるジャンルの物語で新鮮な感覚で楽しめた。「ハードボイルドな小学生」の無二なテイストが特にお気に入り。「二つの銃口」と「天城の山荘」の臨場感も良かった。
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ホラー寄りなミステリー短編集。 ラストの話と、小学生のハードボイルドが良かった。 小学生なのに探偵きどってるのが可愛かった。 でも内容は切なめだった。
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それぞれ全く雰囲気が異なる、7つの怪事件短編集。 ミステリーというよりは、オカルトが中心となる短編が多かった。 個人的には「死人に口あり」と「三人目の男」がお気に入り。 前者は、警察と容疑者それぞれの視点が交互に描かれながら結末へと向かう展開が面白かった。言葉で説明できない霊的な正体の存在は、生きているものに恐怖を抱かせるのだろう。 後者は、非現実的なようで、どこかにありそうなストーリー。他と特に雰囲気が異なっていて、許されない事件の真相があったけれど、息子の最期の言葉が母親に伝わった時は、哀しくも少し救われた気持ちになった。
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【7つのミステリを横断する、著者初の短編集】SF、ホラー、ゴースト、サスペンス、ユーモア、スリラー、ハートフル。7つのジャンルを横断する、すべてミステリの傑作短編集。
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