小さな行政の組織改革 の商品レビュー
豊岡市での、ジェンダーギャップの解消に向けた取組を綴るドキュメント的な書籍。 執筆は、豊岡市長として手腕を発揮された中貝宗治さんや、同市の元職員、現役職員らによるもので、実務における苦悩なども交えた実践的な内容となっており、自分も何か行動に移さないといけないのではないかと背中を押...
豊岡市での、ジェンダーギャップの解消に向けた取組を綴るドキュメント的な書籍。 執筆は、豊岡市長として手腕を発揮された中貝宗治さんや、同市の元職員、現役職員らによるもので、実務における苦悩なども交えた実践的な内容となっており、自分も何か行動に移さないといけないのではないかと背中を押される一冊でした。 ジェンダーギャップの解消は地方創生に端を発するものですが、本書では、トップの思いや戦略、そして市役所内での人事面における取組が特に目を惹きました。 中貝元市長は、豊岡市の「若者回復率」(同市独自の指標)に衝撃を受けたことから、自ら先頭に立ち、ジェンダーギャップがもたらす社会的・経済的な不都合に目を向けていきます(第1章)。 市議会にも不都合なデータを示しつつ理解を得ながら、企業なども巻き込んだ取組を進めていったプロセスには、トップとしての強い覚悟と、一貫したストーリー性を感じました。 また、元同市部長の岸本京子さんの手になる第3章では、市役所でのキャリアデザイン推進の過程が描かれています。 その実践の数々はありがちな成功物語ではなく、職員からの好意的ではない反応など、数々の苦労と苦悩も詰まったものです。 女性と男性のキャリアの違いを改めて認識するとともに、地に足のついた地道な取組こそ、変化の原動力であるとの思いを強くしました。 自治体が、まちのあり様を考えるのは当然のことですが、社会のあり様の変革も進めていくのはなかなか出来ないことだと思います。 ただ、少しずつでもそのような姿勢を見せ、実践していくことで、時間はかかっても社会を変えられる可能性はあるのだと、前向きな気持ちにもなれました。
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