アフターブルー の商品レビュー
納棺師たちの連作小説。損傷の激しいご遺体の描写がリアルでしんどい場面もあったけど、ご遺族と向き合い、自身の過去とも向き合いながら進んでいく様子が丁寧に描かれていた。 初執筆作とは思えない完成度で読みやすかった。
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損傷の激しいご遺体 文字にすると空虚になってしまうものを、生と死の実感を伴って立ち上らせている作品。目を背けたくなるような状況にも、真摯に取り組む登場人物たちを応援したくなりました。
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納棺師という仕事に真正面から向き合ったお仕事小説。 いったいどんな経験をしたらこんな小説が書けるのでしょうか。 しかもこれが初作品だなんて。 とても難しいテーマを、平易な文章で。 そのバランス感覚が非凡。 町田その子や凪良ゆうに通じるものを感じる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ふと見かけた表紙に惹かれて,購入することを決めた。 私は,正直「納棺師」という職業を知らなかった。なので,「納棺師」という仕事は,どんなものか詳しく調べてから,読みはじめた。 納棺師は,亡くなった方のご遺体を棺に収める前に,体を清め,化粧を施し,生前の姿で,お別れをできるようにする仕事。 (一部インターネット引用) しかし,この本作の仕事の内容は,損傷の多いご遺体を生前の姿に復元すること。 人は,皆同じ死に方では,ない。もしかしたら,明日の私の姿かもしれない。少し苦しくなりながらも,死について考えながら,読み進めた。 ご遺体の状態は,正直に詳しく描かれていて,想像してしてしまうと,少し苦しくなるような描写が,多くあった。 しかし,その中で,ずっと暗すぎず,それでも明るすぎず,文章が,そっと隣で,寄り添ってくれるような表現が感じられた。 本作の文章が,言葉が,1番のポイントだと感じた。 人が亡くなった時「なんで」を追う内容のドラマや小説を読んだり見たことは,あった。しかし,本作は,誰の死も平等にそこに死があるという事実だけが,書かれていた。「なんで」を追うわけでは,ない。ただ,寄り添うただそれだけ。 この仕事は,誰もが,できる仕事では,ないが,存在しなくては,ならない仕事。 本作を読んで,少し苦しく感じる描写は,いくつかあった。でも,何かきっかけをくれるようなそうでないような 私は,この本を読んでよかったと思っている。
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初執筆でこれは凄い。 納棺師の仕事を通して大切な人の死と向き合う連作短篇集。 運ばれてくる遺体の描写が細かく、その損壊具合が想像できてしまい思わず身震いした。 だけど遺族が顔を見てお別れできるよう可能な限り元の姿に整えていく様子は、どこか静謐で惹き込まれる。 おそらく老衰や病死だ...
初執筆でこれは凄い。 納棺師の仕事を通して大切な人の死と向き合う連作短篇集。 運ばれてくる遺体の描写が細かく、その損壊具合が想像できてしまい思わず身震いした。 だけど遺族が顔を見てお別れできるよう可能な限り元の姿に整えていく様子は、どこか静謐で惹き込まれる。 おそらく老衰や病死だったら、ある程度心の準備ができる。 だけど事件や事故、自殺のような不慮の死は、なかなか受け容れがたい。 そのうえ損壊が激しいからと顔も見ることなく火葬してしまったら、もっと現実感が無くなるだろう。 だからこそ作中の《二課》の仕事が重要になる。 ふとした場面でグッとくる描写もあって何度か泣いた。 あと、登場人物の名前はもちろんの事、春時雨、薄明、落照、夕景といった美しい表現が多い。 この方の文章好きだなあ、と思いながら読みました。
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_/ 感想 _/_/_/_/_/_/ とても重い作品。 人の死をとてもイメージする作品でした。 それぞれの登場人物が自分の境遇と向き合いながら、前に進んでいきます。4人のお話が展開していきますが、まだまだ明確にされない部分が多く、2作目、3作目と、続いてい...
_/ 感想 _/_/_/_/_/_/ とても重い作品。 人の死をとてもイメージする作品でした。 それぞれの登場人物が自分の境遇と向き合いながら、前に進んでいきます。4人のお話が展開していきますが、まだまだ明確にされない部分が多く、2作目、3作目と、続いていきそうな作品でした。 「まさか」という言葉、いろいろなところで耳にします。多くの人は、想像や思考をしない、それは、歳をとるとさらに定着化して、ほぼ、同じ範囲内のことを繰り返し考えるだけになっていきます。 私もそういう人たちと同じで、想像や、思考ができない、なので、「生まれて初めて経験」や、「新たなものに目を向けること」を目標にして、ちょっとズレた生活をしています。 人生において「まさか」はなくしたい、「想定内」と処理していきたい。 そんな私には、とても貴重な本作でした。また、新たな思考が身についた感じです。 人の死と向き合うことが多くなってきていますが、より多くのことを知り、成長していきたいと同時に、誰かのためになるように生きていきたいと思います。 /_/ あらすじ _/_/_/_/_/ 納棺師達を主役とした連作短編集です。 納棺師である朝未、八宵、入相、東雲と物語は続いていきます。 /_/ 主な登場人物 _/_/_/ 株式会社CFC コフィンフラワークリーン 納棺師、生花装飾技能士、遺品整理士が集う会社 @納棺部2課 有明 課長、男性、子供を事故で亡くしている 入相 いりあい、課のリーダー、10年勤務 八宵 やよい、女性、何事も直感で動く、7年勤務 朝未 あさみ、男性、八宵同期、冷静沈着で慎重派、7年勤務 @関係者 保科 男性、メガネ 望月 有明友人 @入社者 日高 映画を見て入社、20歳、女性、新卒→休み 霧生 40代、女性、中途、子供がいる→一課 風間 30代、男性 →一課 東雲 男性、新卒、期待の子
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ご遺体を復元する納棺師の物語と聞いていたので目を覆いたくなるような描写を覚悟していた。 実際にそういう場面もあるにはあったがこの物語がご遺体と対話することがメインではなく、あくまでも生きている人がどう生きていくのかという方が主題だったので全然大丈夫だった。 この小説全体に広がる...
ご遺体を復元する納棺師の物語と聞いていたので目を覆いたくなるような描写を覚悟していた。 実際にそういう場面もあるにはあったがこの物語がご遺体と対話することがメインではなく、あくまでも生きている人がどう生きていくのかという方が主題だったので全然大丈夫だった。 この小説全体に広がる温度がいい。 起こったことがあるがままに描かれて、過度な演出もなく、変に温められてもいない。 この作者の本を読むのは初めてだったが、傷付いた人にフラットな寄り添い方ができるこの作者は信頼できると確信した。 今後の作品にも期待したい。
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人の尊厳を守る最後の砦、それが納棺師。 各章のタイトルの付け方とか、散りばめられている空の描写が美しかったな。
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恥ずかしながら、「納棺師」という言葉、職業をこの本で初めて知りました。 また、本作品のような「納棺の専門業者」がいらっしゃること、様々な理由があり損傷の大きいご遺体があり、それらを修復してくださっているということ、も初めて知りました。 自分が本を読む際は、本の登場人物になった...
恥ずかしながら、「納棺師」という言葉、職業をこの本で初めて知りました。 また、本作品のような「納棺の専門業者」がいらっしゃること、様々な理由があり損傷の大きいご遺体があり、それらを修復してくださっているということ、も初めて知りました。 自分が本を読む際は、本の登場人物になった気持ちになって、こういう時は何を考えているだろう、どうするだろう、とか考えながら読み進めることが多いのですが、この本ではあまり感情移入ができず。 というのは内容が問題というではなく、このお話に出てくる登場人物の方の辛い過去に、自分の心が同一視すること、考えることをストップかけたというか、、、。 登場人物の心の描写、記述が胸を突くというか、読んでいて切なくなることが多かったです。 (逆に自分の文章化力の無さにとても悔しくなります。) 「二課」のメンバーが、悩みながらも「生きて」いける場所を見つけることができてよかった。
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亡くなられた人のために、または大切な遺族のために、ご遺体を復元し綺麗に整える職業にとても感動した。身内から忌み嫌われても納棺師の仕事を全うする姿や、それぞれの抱える事情や闇とひたむきに向き合っていく強さは読んでいて熱くなれた。ご遺体の激しい描写はあれど、その表現方法でなければ伝わ...
亡くなられた人のために、または大切な遺族のために、ご遺体を復元し綺麗に整える職業にとても感動した。身内から忌み嫌われても納棺師の仕事を全うする姿や、それぞれの抱える事情や闇とひたむきに向き合っていく強さは読んでいて熱くなれた。ご遺体の激しい描写はあれど、その表現方法でなければ伝わらない空気感もあると思うので、作者のチャレンジングで圧倒的な描写力に今後の作品も期待したい。
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