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コンパートメントNo.6 の商品レビュー

3.5

6件のお客様レビュー

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2025/11/10

なかなか手強い一冊だった。 むせ返るような、風と匂いと酒と肉体と寂しさ。 轟々と風が鳴る、淡泊で、ひとを寄せつけない世界観は、完成度が高いと思った。 シベリア鉄道+その往復の一部によるモンゴル鉄道の旅に、たまたま個室が一緒になった男と少女。 多弁で情けないけど、ずばり弱さと強さ...

なかなか手強い一冊だった。 むせ返るような、風と匂いと酒と肉体と寂しさ。 轟々と風が鳴る、淡泊で、ひとを寄せつけない世界観は、完成度が高いと思った。 シベリア鉄道+その往復の一部によるモンゴル鉄道の旅に、たまたま個室が一緒になった男と少女。 多弁で情けないけど、ずばり弱さと強さを併せ持つ男と、一切のセリフが無いまま、過去の恋人とその母を思い出している少女。 少女と言っても、この描写をみるに20歳くらいか? 少女、ではないが、適性な日本語が無いのかもな。 寡黙すぎる少女。 いつ喋るんだろうとワクワクしたが、ラストの、あの祈りのような命令のような言葉はかっこよくて満足できた。 私がキリスト者だったら、あのラストにはもっと感動できたかもしれないなあ、といういつもの感想です。 文がかっこよかったので、ラストまで読めた。 読み味はあまり良くない。 でも旅に出ると、こんなふうに、過去や自分と向き合うことが多い。 乾いた社会主義の終わりの世界が苦しく辛い。 ところで、イルクーツクからハバロフスクまではあっという間すぎませんか?

Posted byブクログ

2025/10/16

モスクワからモンゴルまでの少女の列車の旅.コンパートメントNo6で同室になった男との会話と流れゆく風景,駅の停車中での町の出来事などが,美しい文章で語られる.少女の残してきた過去と男の破天荒で酒と女に溺れた人生がシベリアの冷たい空気の中に染み入るようだ.

Posted byブクログ

2025/10/15

少女の目を通して、男の粗野だが憎めないふるまいを通して、ソビエトという未知の大地を見た。 少女の言葉がついに記された終盤の一文を境に、旅の終着を感じて切なくなったり、はっきりとした人生の句読点のようなものを感じて、未来へ向かう力をもらったような気がした。 少女のセリフはどうな...

少女の目を通して、男の粗野だが憎めないふるまいを通して、ソビエトという未知の大地を見た。 少女の言葉がついに記された終盤の一文を境に、旅の終着を感じて切なくなったり、はっきりとした人生の句読点のようなものを感じて、未来へ向かう力をもらったような気がした。 少女のセリフはどうなっているのか、当時のソビエト連邦がどう描かれているのか、、、映画もみたいな。

Posted byブクログ

2025/09/14

静かな乾いた文体が モスクワからウランバートルまでの シベリア鉄道の凍てつくような雰囲気と ぴたりとはまっている。 車窓の景色は雪の大地が続くばかりで あまり変わり映えしないけれど 寝台車の同室にたまたま乗り合わせた 国籍も年代も性格も 旅の目的も異なる男と女が同じ時を過ごすこと...

静かな乾いた文体が モスクワからウランバートルまでの シベリア鉄道の凍てつくような雰囲気と ぴたりとはまっている。 車窓の景色は雪の大地が続くばかりで あまり変わり映えしないけれど 寝台車の同室にたまたま乗り合わせた 国籍も年代も性格も 旅の目的も異なる男と女が同じ時を過ごすことで ゆっくりと心をかよわせ、お互いを尊重し合い 自分の過去を見つめながら変わっていく。 そんなふたりがほんのりとあたたかい。 旅は思いがけない出会いをもたらせてくれる。

Posted byブクログ

2025/08/18

名詞が洪水のようにページから溢れ出る。それらはどこにも身の置き場がない諦めが生み出したように思えたが、最後にようやくぼんやりとした光が見える。

Posted byブクログ

2025/08/11

去年、映画館で「コンパートメント No.6」を鑑賞、2021年カンヌ映画祭でグランプリに輝いた作品。 図書館で原作が新刊として置いてあったので懐かしく読んでみた。舞台はソ連崩壊直前、モスクワからウランバートルへ向かうシベリア鉄道。フィンランドからの留学生の寡黙な少女、ロシア人の饒...

去年、映画館で「コンパートメント No.6」を鑑賞、2021年カンヌ映画祭でグランプリに輝いた作品。 図書館で原作が新刊として置いてあったので懐かしく読んでみた。舞台はソ連崩壊直前、モスクワからウランバートルへ向かうシベリア鉄道。フィンランドからの留学生の寡黙な少女、ロシア人の饒舌で粗野な出稼ぎ労働者の男性。二人が偶然寝台車の同室で長旅をすることになる。 映画は原作とは違う。ソ連崩壊後の90年代、多少内容も違いがあるけど真髄は同じだった。 原作でははじめに男性の名前紹介があったのみで、少女と男で物語は進み、少女は寡黙で何も喋らないけれど心情はつかめます。男はとにかくよく喋る、荒々しいので同室はかなり勇気いります。が、異国での長距離一人旅、寂しい時、困った時に誰を頼ったのか、頼られた人は何を与えたのか、終わりは笑顔にしてくれます。愛情を確かめ、互いの日常に戻りますが、以前とは違う日常です。 陽気ではない静かな物語と歴史と時代背景、映画を観ていたので原作が最後まで読めたのが正直な感想です。 大陸の雪景色が壮大だった。「空回りする私を捨てて、列車に乗った」この映画の副題が好きです。なにより、映画で饒舌で粗野な男性役のユーリー・ボリソフが名演技で素晴らしかった。

Posted byブクログ