天才望遠鏡 の商品レビュー
世間に見つかる前の、すでに注目の的になっている、翳りを見せはじめた、過去の人と扱われる、でも誰かにとっての天才たちの短編集 『星の盤側』…将棋 『妖精の引き際』…フィギュアスケート 『エスペランサの子供たち』…歌 『カケルの蹄音』…陸上と乗馬 『星原の観測者』…小説 短編集だ...
世間に見つかる前の、すでに注目の的になっている、翳りを見せはじめた、過去の人と扱われる、でも誰かにとっての天才たちの短編集 『星の盤側』…将棋 『妖精の引き際』…フィギュアスケート 『エスペランサの子供たち』…歌 『カケルの蹄音』…陸上と乗馬 『星原の観測者』…小説 短編集だけど作中通して登場する多々良さん。 きっと素敵な写真を撮るんだろうなぁ。 光の大きさに違いはあれど、みんなキラキラしていて素敵な作品でした。
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将棋、フィギュアスケート、歌手、陸上、小説家···それぞれ天才と言われる人がいて、脚光を浴びています。その才能が花開いた後も、しっかりと見ていてくれる人がいることに、色々な想いを感じる連作短編集でした。タイトルの『天才望遠鏡』という言葉が、ぴったりでした。 【星の盤側】 藤井聡...
将棋、フィギュアスケート、歌手、陸上、小説家···それぞれ天才と言われる人がいて、脚光を浴びています。その才能が花開いた後も、しっかりと見ていてくれる人がいることに、色々な想いを感じる連作短編集でした。タイトルの『天才望遠鏡』という言葉が、ぴったりでした。 【星の盤側】 藤井聡太を上回る天才少年と、かつての天才少年の対局を、プロカメラマンの目からみての思いが語られていました。彼が願うことを思う人は、きっと多いと思いました。もう少し長編で読みたいと思わせてくれました。 【妖精の引き際】 オリンピックで金メダルをとったフィギュアスケーターの女の子への幼馴染みの思いが書かれていました。前述のカメラマンも登場しました。フィギュアは好きでよくみますが、思っていたよりもずっと大変そうだと気づきました。我慢我慢のうえにあの素晴らしい演技があるんですね。 【エスペランサの子供たち】 親ガチャによる貧富の差を乗り越えるために必要なものは、何なのか。気づかない子供のために、大人の方がきちんと気づいてあげられるようにならないと、と思いました。 【カケルの蹄音】 燃え尽き症候群から立ち直るきっかけになった馬との出会い。馬のことを知れば知るほど応援したくなる物語でした。 【星原の観測者】 デビューが同時の二人の小説家。売れっ子だが社会性ゼロの作家とそこそこだけど締め切りはきちんと守る穏やかな作家。二人だからこそわかりあえていたことが伝わってきた、いい物語でした。
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いろんな分野で「天才」と呼ばれた人、そのピークを過ぎた人、そしてそんな彼らを観測し続けた人たち描いた連作短編集。どの話も完成度が高くて、すごく面白かった。 「才能を持った人間をきちんと育む親や環境が、その人を天才にするの。」という一文が特に心に響いた。才能を持った人を取り巻く環境...
いろんな分野で「天才」と呼ばれた人、そのピークを過ぎた人、そしてそんな彼らを観測し続けた人たち描いた連作短編集。どの話も完成度が高くて、すごく面白かった。 「才能を持った人間をきちんと育む親や環境が、その人を天才にするの。」という一文が特に心に響いた。才能を持った人を取り巻く環境は大切だと思った。 一番好きなのはラストの「星原の観測者」。カメラマン・多々良のことも、もっと知りたくなった。世代を問わず楽しめる作品だと思う。
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短編集。天才がスポットライトを去った後にどうなるか。あまりパッとしなかったなどと言われても、たとえ一瞬でも、スポットライトが当たったなんて、羨ましい限り!
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「カケルの蹄音」が一番好き。カケル同士の会話が胸にグッとくる。「星原の観測者」の釘宮さんと義理のお母さんの会話もいい。釘宮さんのストレートな物言いに、はっとさせられる。
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かつて天才少年少女と呼ばれた人たちは、ピークを過ぎた後、どのような人生を歩むのか。 天才中学生将棋士の対戦相手の元天才将棋士。「氷上の妖精」と持て囃されたメダリストの女性。天性の美声を持つ母子家庭で育つ男子中学生。長距離走の選手として推薦で高校に入りながら怪我による挫折をした男...
かつて天才少年少女と呼ばれた人たちは、ピークを過ぎた後、どのような人生を歩むのか。 天才中学生将棋士の対戦相手の元天才将棋士。「氷上の妖精」と持て囃されたメダリストの女性。天性の美声を持つ母子家庭で育つ男子中学生。長距離走の選手として推薦で高校に入りながら怪我による挫折をした男子高校生。同期デビューの作家は大人気作家となったが、自分は売れっ子とは言われないものの、デビューしてからの10年間コツコツと作品を世に出していた男性小説家。 連作短編とまではいかないものの、スポーツカメラマンの多々良を軸にして描かれる5編の短編集。 生まれた時から凡人ではなくずっと天才。そういう人っているのかもしれないが、ほとんどの人はコツコツと努力したものが、カチッとハマった時に天才と呼ばれるのだろう。そして、そのハマったものが永久に続くかと言ったらそうではなく、ほんの一瞬の人もいるし、何年も何十年も続く人もいる。そして、一生ハマらない人もいる。 そして、その引き際も大切で、もうダメだと思った時に潔く辞めるのか、周りから何をどう言われようとも続けるのかは本人次第。 様々な天才たちのこれからを覗かせてもらった。
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5つの短編。どれも良かったけど、好きな順に並べると、物語や主人公の考えに引き込まれたのは『エスペランサの子供たち』。『妖精の引き際』を見守る幼馴染も良い。馬に任せられた問題児、『カケルの蹄音』。かつての天才中学生棋士、『星の盤側』。天才とは何かを語る『星原の観測者』。 多々良に...
5つの短編。どれも良かったけど、好きな順に並べると、物語や主人公の考えに引き込まれたのは『エスペランサの子供たち』。『妖精の引き際』を見守る幼馴染も良い。馬に任せられた問題児、『カケルの蹄音』。かつての天才中学生棋士、『星の盤側』。天才とは何かを語る『星原の観測者』。 多々良について、もっと知りたい。
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天才を撮るカメラマン、引退する五輪王者のフィギュアスケーターなど、「天才」たちのその後を追った5篇の連作短篇集。読みやすく心温まる読後感。「天才」たちも皆それぞれの絶望や挫折を味わってゆくのだが、各話、最後は希望のもてる終わり方なのがよかった。一方でこれといった推しどころというも...
天才を撮るカメラマン、引退する五輪王者のフィギュアスケーターなど、「天才」たちのその後を追った5篇の連作短篇集。読みやすく心温まる読後感。「天才」たちも皆それぞれの絶望や挫折を味わってゆくのだが、各話、最後は希望のもてる終わり方なのがよかった。一方でこれといった推しどころというものはない気も。「短篇集は、どう読んでほしいかという読み方を固定してしまう」という意見を聞いたが、まさにその通りという感じで、良くも悪くも裏切られるような展開はなく、たぶんそのうち、これがどんな本だったかは忘れてしまうと思う。「こんな”天才”の姿を描くのだ」という意図がまず最初に強く感じられるので、人物がその型にあとからはめられているという印象で、典型的あるいは極端な言動も多く、一人ひとりの顔があまり見えてこないのが残念だった。
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短篇集5篇 天才とはなんだろう。将棋、スケートなどの世界にカメラマン多々良を繋ぎ役にして物語る。 最後の小説家を主人公にした「星原の観測者」が良かった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
天才になれたらな、なんて、幼い頃はよく思っていた気がする。でも確かに、天才なんて勝手に周りが呼び始めるのだ。周りが囃し立て、才能ある者を天才として作り上げる。本人が天才を背負うことの大変さも考えず、プレッシャーに押し潰されてしまうことだってあるかもしれない。もしそうなったときには簡単に忘れて、次の天才探しを始めてしまう。無責任だと思うけれど、自分もそれに乗っかってしまっている一人だと思う。 才能が開花したのが遅ければ、それを見つけてもらう機会がない。才能を伸ばす経済力がなければ、それを諦めるしかない。たとえ才能があったとしても、タイミングや環境、誰かとの出会いなど、いろいろなものがうまく重ならなければ才能なんて簡単に見過ごされてしまうものなんだろうな。
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