ふたりのソフィー の商品レビュー
12歳のソフィーには、ご近所に住む88歳のソフィーを親友と思っている。一人暮らしのソフィー(88歳の方)の認知症を心配する息子が、施設に入れようと考えているらしい事を両親から知らされる。 認知症なんかではない事を証明しようと、12歳のソフィーは、親友のソフィーと認知症テストの練習...
12歳のソフィーには、ご近所に住む88歳のソフィーを親友と思っている。一人暮らしのソフィー(88歳の方)の認知症を心配する息子が、施設に入れようと考えているらしい事を両親から知らされる。 認知症なんかではない事を証明しようと、12歳のソフィーは、親友のソフィーと認知症テストの練習を始める。 今時の12歳らしい書き出して始まり、テンポ良く読んでいけるが、認知症テスト対策の過程で88歳のソフィーの過去がわかってくると、本の印象がガラリと変わってくる。 歴史を知識として知る事と、歴史が現実の事として知ることは、大きな違いがある。 施設に入るソフィーを、温かい気持ちで見送れたソフィーに、読者として温かい気持ちになった。
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77歳はなれた親友。認知機能検査を通してソフィー(88歳)の過去を知ったソフィー(11歳)。戦争は教養や歴史として知っているだけではダメだ。そこに個人が絡む物語があり、それを知ることでより深く戦争の本質に触れることになるのだとおもう。その時感じた感情を大切に、わたしの代わりに覚え...
77歳はなれた親友。認知機能検査を通してソフィー(88歳)の過去を知ったソフィー(11歳)。戦争は教養や歴史として知っているだけではダメだ。そこに個人が絡む物語があり、それを知ることでより深く戦争の本質に触れることになるのだとおもう。その時感じた感情を大切に、わたしの代わりに覚えておいて。歳の離れた人と触れ合うのも大事なこと。
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果てしない10代の女の子のおしゃべりの中で、ストーリーがすすんでいく感じで、気兼ねなく背伸び抜きで、戦時中に起こった喪失の物語や、きわめて現代的な認知症の問題(介護が必要だからといって、仲のよい人々ときりはなされてよいのか)が語られます。 主人公は10代の女の子で、戦略的にわーわ...
果てしない10代の女の子のおしゃべりの中で、ストーリーがすすんでいく感じで、気兼ねなく背伸び抜きで、戦時中に起こった喪失の物語や、きわめて現代的な認知症の問題(介護が必要だからといって、仲のよい人々ときりはなされてよいのか)が語られます。 主人公は10代の女の子で、戦略的にわーわーいって場を掻き回すことや、人々に向けられる観察眼もなかなかのもの。割りきれないことには、自然に怒りを覚え、その判断はときどき極端なのですが、物語が終盤に近づくに従って、極端でない解決法が明らかになっていきます。10代の女の子の中の解決法なのですが、そこには、親や、近所の人々や男の子たちやおおくのありのままがかかわり、最後には緩やかな結びつきができて、救いとなっています。 子供たちの世代が戦争体験者のお年寄りから切り離されるあやうさや、喪失体験のショッキングさや、それがたかだか歴史の教科書で語られるぐらいでは何も語っていないことに等しいことに主人公は気づきます。 今が凝縮されているような物語で簡単には結論がでない問題が多く含まれていますが、その足らないところを補いあい埋めていってできあがってくるものに尊さがあるようです。
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