天路の旅人(下) の商品レビュー
第二次大戦末期、敵国である中国大陸の奥深くまで潜入した「密偵」西川一三の旅と思考の記録を、晩年の西川と交流があった著者が、その冒険を追体験するように綴っていくというノンフィクションです。ひとつの人生を描く「ストーリー」の導入として、これ以上、完璧な導入はないというほどの美しい冒...
第二次大戦末期、敵国である中国大陸の奥深くまで潜入した「密偵」西川一三の旅と思考の記録を、晩年の西川と交流があった著者が、その冒険を追体験するように綴っていくというノンフィクションです。ひとつの人生を描く「ストーリー」の導入として、これ以上、完璧な導入はないというほどの美しい冒頭が特に印象的でした。 大変失礼ながら、私はこの作品を読むまで、西川一三さんという方を知らなかったのですが、こんな魅力的な人物の謦咳に接したとしたならどうしても書きたいとなってしまうだろうなぁ、という著者の想いが伝わってくるような作品でした。
Posted by
沢木耕太郎『天路の旅人 下』新潮文庫。 第二次世界大戦末期に敵国の中国大陸奥地まで密偵として潜入した日本人、西川一三の8年間の軌跡に迫るノンフィクション。 下巻を読み進めば、著者の沢木耕太郎の言うところの極めて稀有な旅人の姿が浮かび上がってくる。 密偵というのは資金集めの口...
沢木耕太郎『天路の旅人 下』新潮文庫。 第二次世界大戦末期に敵国の中国大陸奥地まで密偵として潜入した日本人、西川一三の8年間の軌跡に迫るノンフィクション。 下巻を読み進めば、著者の沢木耕太郎の言うところの極めて稀有な旅人の姿が浮かび上がってくる。 密偵というのは資金集めの口実に過ぎず、あくまでも西川一三の未知なる地への探究心こそが苛酷な旅の理由だったのではないだろうか。何しろ、8年間の潜入で日本に情報を送ったという描写は一度しか無い。 あの時代に現地人に成りすまし、辺境の地を漂うことは容易ではなかったことだろう。 3年掛けて中国北部からチベットへと辿り着いた西川一三は、インドへ向かい、そこで日本の敗戦を知る。密偵の意味など無くなったにも関わらず、西川はチベット、ブータン、インドへの潜入を続ける。それは西川の未知なる地への探究心が成せる業に他ならない。ヒマヤラ山脈を9度も超え、さらに奥地へと向かう西川だったが、旅は突如として終わりを告げる。 インドで拘束された西川は、ついに帰国の途に着くのだ。帰国した西川はGHQに呼び出され、中国奥地からチベット、インドまでの辺境の地に関するインタビューを受ける。 やがて、岩手県水沢で仕事を得た西川は仕事の傍ら『秘境西域八年の潜行』を執筆し、やがて盛岡へと移住する。 本体価格750円 ★★★★
Posted by
前半同様引き込まれるように読んだ。 しかし木村の描かれ方により、少し陳腐なフィクション(主人公を善・ヒーローとする)のようになっている箇所もあり、少し興醒めした。 そしてラストシーン。 自己陶酔的というか偽善的というか。 作品としてきれいにまとめたのだろうが、80代の高齢者がい...
前半同様引き込まれるように読んだ。 しかし木村の描かれ方により、少し陳腐なフィクション(主人公を善・ヒーローとする)のようになっている箇所もあり、少し興醒めした。 そしてラストシーン。 自己陶酔的というか偽善的というか。 作品としてきれいにまとめたのだろうが、80代の高齢者がいつまでも元気なわけない現実に目を瞑って突然連絡を絶ったくせに、と却って思わされてしまい、読後感はあまりよくなかった。 反省してこれから母にLINEします。
Posted by
第二次大戦末期、中国から蒙古チベット、インドを密偵として旅した西川一三さんを追った旅行書。 圧倒的な旅人のチカラ。 面白い
Posted by
