トコトンやさしい有機化学 の商品レビュー

矢野将文(著者),朝堀響季(イラスト)

2025/09/18

可愛らしい表紙で「トコトンやさしい」とあるが、基礎知識がなければ、それを踏まえて解説されるような導入編ではないので注意。有機化学って何それ？みたいなレベルだと少しきつい。

で、何それ？からいくと、「化学」は物質全体の性質・構造・変化・反応を研究する学問であり、無機物（鉱物、金属、ガスなど）から有機物（炭素を含む化合物）、さらには物理化学や分析化学など多様な分野が含まれる。有機化学は、その一部だ。

特に炭素（C）を含む化合物を中心に扱うのだが、炭素は「4価」で、鎖や環・複雑な立体構造をつくる能力が他の元素より桁違いに高く、そのため反応の種類やメカニズムが非常に多く、分子設計も多彩。生命（DNA、タンパク質、脂質、糖など）、石油化学製品（プラスチック、医薬品、農薬、染料）など、炭素化合物は他の物質と比べて数が多く、性質も反応も独特で、応用分野も広い。だから分野として独立させる方が、研究しやすい。

その反応の種類とか構造とかあれこれと。

電気陰性度、異性体、芳香族化合物、脂肪族化合物、ヒュッケル則などなど。同じメンバーだけど並び方が違う構造異性体。持ち物の向き、方向が違う立体異性体。時々、ウサギが出てきてザックリ教えてくれるのが救い。

やさしいのはウサギだけ。