熟柿 の商品レビュー
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うーん。なんとも… 刑務所で産んだ子供とすぐに離れさせられて、諦められないよね。 旦那さんの方もなかなか最低だけど、なぜ年に数回でもいいから、こっそり子供の写真送ってあげなかったんだろう。自分に罪悪感あるならなおさら、それくらいはしてくれてもいいのに。 それだけでかおりは無駄に変な行動しなかったかもしれないのに。 鶴子含めて本当になんでこんなに…と思うかおりの人生だけど、最後に少し明かりが見えて良かったな。 いい人も周りに結構たくさん居たしな。
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先を読み進める手が止まりませんでした。主人公に対して「ちょっと待て、落ち着け」と言葉が出かかりながらも、そうなった時の誰にも止められない世界があるのもなぜかよくわかる。魅了された話でした。でも、あの事故の真相は、なぜ彼女だけが、といろんな感情でおかしくなりそうでした。大変面白かっ...
先を読み進める手が止まりませんでした。主人公に対して「ちょっと待て、落ち着け」と言葉が出かかりながらも、そうなった時の誰にも止められない世界があるのもなぜかよくわかる。魅了された話でした。でも、あの事故の真相は、なぜ彼女だけが、といろんな感情でおかしくなりそうでした。大変面白かったです。
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子どもを想い続ける母の気持ちと、一瞬の判断がすべてを狂わせてしまう現実に悶々としながらも親子の再会を願って、先を急いで読み進めた。 いくら頑張っても報われない虚しさが繰り返される中でもめげずに前へ進み、長い時間をかけて新しい道が開けていくことに希望が持てた。
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柿が熟れて落ちるまで…のうよなお話。 交通事故を起こし服役した女性の半生を描く小説でとにかくすごくじっくりだった。忙しすぎる現代社会とは対極だな。 クライマックスの部分はお涙頂戴にせずに、もどかしい感じがすごくリアルで良かった。 ■引用 いつまでも続いていくもの、不変なものな...
柿が熟れて落ちるまで…のうよなお話。 交通事故を起こし服役した女性の半生を描く小説でとにかくすごくじっくりだった。忙しすぎる現代社会とは対極だな。 クライマックスの部分はお涙頂戴にせずに、もどかしい感じがすごくリアルで良かった。 ■引用 いつまでも続いていくもの、不変なものなど一つもない。たった一日で人生は変わる。
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激しい雨の夜、酔って助手席で眠る夫を乗せてひき逃げ事件を起こし、服役した主人公。出所後、服役中に出産した息子に会うために、さらにトラブルを巻き起こす。それから土地と職を転々としてゆく主人公はどうなるのか。 これは転落と再生の物語でも何でもない。ただ粛々と主人公の一人称で、その時々...
激しい雨の夜、酔って助手席で眠る夫を乗せてひき逃げ事件を起こし、服役した主人公。出所後、服役中に出産した息子に会うために、さらにトラブルを巻き起こす。それから土地と職を転々としてゆく主人公はどうなるのか。 これは転落と再生の物語でも何でもない。ただ粛々と主人公の一人称で、その時々の生活と息子への思いが語られている。それだけでとても引き込まれる。 最後、物語が転ずるところと「熟柿」というタイトルも、読了後じわじわくる。 佐藤正午さんとは、どうやら相性がいいらしい。 この文体が好き。
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訥々とした語りで、するする読める。が、なんとなく深いところに届くような生理的な文章。(前半ちょっと鬱に誘われそうな文章で読んでてなんか危険だと思った。) 前半、話が重すぎて挫折しそうになったし、友人(?)の鶴子さんが気持ち悪くて、耐えられないくらい嫌な気持ちになった。あの変な方言...
訥々とした語りで、するする読める。が、なんとなく深いところに届くような生理的な文章。(前半ちょっと鬱に誘われそうな文章で読んでてなんか危険だと思った。) 前半、話が重すぎて挫折しそうになったし、友人(?)の鶴子さんが気持ち悪くて、耐えられないくらい嫌な気持ちになった。あの変な方言のとことかゾワゾワした。 主人公も成り行き任せで無責任な人から、後半から終盤にかけては人としての成長が著しくて、途中でやめなくてよかったと思った。その時間経過をわざとらしくなく、グラデーションで移行する筆致はすごい。 最後は希望があってよかった。熟柿というのも、おばさんの気持ち悪い柿の食べ方で気味が悪かったが、最後にちゃんと回収されてたし、気味の悪さで終わらずによかった。(しかし、おばさんの存在はいったい何だったんだろう。不気味さの演出?)元夫との小説的な仕掛けも効いてた。
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晴子叔母さん(大叔母、母の姉)の葬式の帰り、人をひいてしまった。親族は通夜でケチだった大叔母の悪口を言っていた 。近所の爺さんが バチがあたるとキレた。夫は泥酔。運転すると電話がなった。唯一の友人、鶴子。不倫相手の先輩から連絡が来ない。強い雨が降り、見通しが悪い。柿をかかえた老婆大叔が車の前に現れた。顔が晴子叔母さん。何かに当たったが、そのまま通りすぎた。 ひき逃げ。自宅に駐車した時、事故部分をこすったのが証拠隠滅。警察官の夫と口裏合わせた? 夫は辞職。妊娠していたので、出産後、すぐに息子を別れる。3年後、出所すると離婚させられた。息子とは会えない。職を変えながら暮らす。幼稚園にいる息子に会いに行く。間違えて、他の子を連れ出す。耳の後ろの黒子がない。通報されパトカーがきて交番に。厳重注意。 弁護士から、写真だったらお見せできますと言われるが、何年待っても音沙汰なし。 小学校の入学式にもぐりこもうとした。不審者扱いされ、警官につかまり、又、交番へ。 事情を知るクラスメートの母親が警察に説明 千葉から山梨の温泉旅館で中居として勤務。 ある日、声をかけられた。昔、隣に住んでいた人 コロナで待機。スナックでバイト。バイトの女性が逮捕歴でありクビ。同僚の独身女性に誘われて岐阜へ。パン工場。寮がないので二人でアパート暮らし。生活費は折半。50代のバツイチだが結婚 する。アパート代が払えない。彼女の腹違いの弟が大阪のパチンコ屋店長。寮もある。二人部屋で若い女にババァと呼ばれ常識がない。次々と辞めて入れ替わる。やっとまともな人が来たと思ったら、穿鑿ずき。日記を読まれた。子供がいる。山梨の旅館、大卒とか知られる。ある日、突然いなくなった。貯金400万円をおろされた。警察に言っても難しい。狂言と疑われる。逮捕歴がバレ、パチンコ屋クビ。店長から退職金20万円。 岡山の中華料理店が金を盗んだ斉藤の実家。何年も帰ってない。コロナで店が大変。 知らない番号から電話。高校時代の友人の夫。妻が男と家出。伝言を頼まれる。離婚していいがお金は話し合い。先輩と不倫して岡山にいた。生理がこない。その後、メッセージがこなくなる 離婚、岡山で仕事探すらしい。 紹介された博多でビジネスホテルで働く。人手不足の為、寮は一人部屋。正社員に。 息子の保育園に会いに行った時、違う子供を連れ出した。子供を呼びにいった女の子の母がその時 助けてくれて警察沙汰にならず。 小学校入学式の時も、受付で揉めている時に助けてくれた。 たまに、かかってくる番号不明は、その人の電話だと思っていた。 博多に親戚の墓参りでくるので、会うが息子の話はなし。同級生で同じ高校に行くはずの娘もいない。 不明電話についにでる。元夫。轢き逃げになったのは夫も同罪。あの時、何かにあたったが、確認しなかったのは夫も同罪。翌日、修理に出したのは夫。それを確認して言い放つ。 晴子オバさん17回忌で久しぶりに千葉へ。 息子のクラスメートとサッカー場で会う。息子がいた。なんで離婚したの?罪は償った。離婚しなければ全てが変わっていた。 母親が2人いることを受け入れる。 元夫と育ての母が夕食で待っているから帰りなさい。 勤務先の男性と話がしたくなる。話してないことがある。今は、話せない。 話したくなったら、話せばいい。
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葬儀の帰り道、大雨の中でひき逃げ事故を起こしたかおり。服役中に出産をして出所後は職を転々とする。子どもに会いたいという気持ちをずっと抱いたまま。
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なかなか読書する時間がとれなくて心が疲弊してきたので、連休を思い切って読書に使いました。丁度図書館の順番が回ってきたので「熟柿」。 物語の肝は、罪を犯して、刑務所で子を産んだ母が、子供に会いたい、でも、子供のためには離れなくては、、となる心の葛藤と共に生きていき、その経ていく年...
なかなか読書する時間がとれなくて心が疲弊してきたので、連休を思い切って読書に使いました。丁度図書館の順番が回ってきたので「熟柿」。 物語の肝は、罪を犯して、刑務所で子を産んだ母が、子供に会いたい、でも、子供のためには離れなくては、、となる心の葛藤と共に生きていき、その経ていく年月と心の移ろい方、一人の母であり女の生き方といったところでしょうか。 主人公のかおりさん、なかなか正気を失っていて、自ら事を悪い方悪い方にしていきますね。そこまで悪い方になかなかならないだろうに、、 男性が母親の気持ちを細かに書き切っているところが興味深かったです。母親といっても人それぞれ違うので、これは母性薄めの私ならではの感想かもしれませんが、会えないからこそ、子への執着は確かに増すかもしれませんが、一緒に暮らしていない(お世話をする必要がない)子供のことを、そんなに四六時中考えるかな?と違和感がありました。 小説なので、勿論、子への思いをかなりフォーカスして描いているとは思うけれど、正直なところずっと読んでいて気にかかりました。 でも、続きが気になってどんどん読み進めて、久しぶりに没頭して現実逃避できました。 わざと長々と子供に会えるまでを描いて、会えたらさらっと終わる演出のようでしたが、個人的にはもっと先まで読みたかったです。 時間の使い方が上手いなぁとしみじみと思い、そして、「月の満ち欠け」の時もそうでしたが、小説ってこう書くんだよ!とお手本を見せられているような感じがしました。
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熟柿(佐藤正午) タイトルと装丁に惹かれて読みました。 (ブックデザインは鈴木成一さんとの事)ストーリーは、どうしてこんなに、暗いイメージしか浮かばない話しなのかと思ったが、語りがうまくて、永い永いひとりの女性の人生を最後迄読み切りました。読んでみて誰もの人生がタイトルの熟柿の様...
熟柿(佐藤正午) タイトルと装丁に惹かれて読みました。 (ブックデザインは鈴木成一さんとの事)ストーリーは、どうしてこんなに、暗いイメージしか浮かばない話しなのかと思ったが、語りがうまくて、永い永いひとりの女性の人生を最後迄読み切りました。読んでみて誰もの人生がタイトルの熟柿の様に、「熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと」との意味を持つ結末を迎えられれば良いなと願います。言葉は『大辞林』かららしいです
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