熟柿 の商品レビュー
この本を読んで、車に乗ることが怖くなってしまった人は私だけではないはず。 事故に限ったことではないけど、一つの過ちでこんなにも人生が狂ってしまうなんて。 ニュースでひき逃げの報道を見ると「なんてひどいことを!」とただただ憤りを感じてしまうけど、この作品ではつい主人公のかおりに同情...
この本を読んで、車に乗ることが怖くなってしまった人は私だけではないはず。 事故に限ったことではないけど、一つの過ちでこんなにも人生が狂ってしまうなんて。 ニュースでひき逃げの報道を見ると「なんてひどいことを!」とただただ憤りを感じてしまうけど、この作品ではつい主人公のかおりに同情してしまった。悪人とは程遠いごく普通の女性。そこに自分を重ねてしまって…どこかに救いがありますようにと、祈るような気持ちで読み進めた。 そして、気がついたら怒りの矛先は元旦那に向かってしまっていた。この人が適切な対応をしてたら、こんなことにはなっていなかったのに!寝てる場合じゃないし!と。 怖くなったり、怒ってみたり…思いの外、感情が揺さぶられていた。面白かった!
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すごい小説を読んでしまった 2025年間違いなく一番心に刺さった本です たった一度の過ちで、人生が狂ってしまった女性の話 それは誰にでも起こりうる間違いで 私自身もそうならないとは言い切れない 一生子供に会えないけれど、生んだきり会うことができない息子の為に生命保険をかける心境...
すごい小説を読んでしまった 2025年間違いなく一番心に刺さった本です たった一度の過ちで、人生が狂ってしまった女性の話 それは誰にでも起こりうる間違いで 私自身もそうならないとは言い切れない 一生子供に会えないけれど、生んだきり会うことができない息子の為に生命保険をかける心境 心が苦しくなりました 熟柿の意味するものが分かった時、心の岩が砕ける感情になります 一つの失敗から転がり落ちて行く人生 嫌われ松子の一生を思い出しました
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作中に身近な場所が出てきて、ここに彼女が来たのかとしみじみ感じました 日々何気なく行く場所でもそこに居る人々にはみんなドラマがある… どうしてそんな言動を?と感じる登場人物はいるものの、人ってそうだよな…と納得です 淡々と描かれていたものの、ラストはぐっときてじんわり涙が浮かびました どうかかおりが穏やかに過ごせますように…
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プロローグ 新幹線の車窓から、外を何気なく眺める 時速300キロの速さで景色が流れて行く 車内は涼しいが、外は34〜35℃といったところか 車窓から見える干上がった風景とは裏腹に 私の心と頬は、噴水の如く水が溢れかえっていた 本章 『熟柿』16年間の積年に、溢れんばかりの...
プロローグ 新幹線の車窓から、外を何気なく眺める 時速300キロの速さで景色が流れて行く 車内は涼しいが、外は34〜35℃といったところか 車窓から見える干上がった風景とは裏腹に 私の心と頬は、噴水の如く水が溢れかえっていた 本章 『熟柿』16年間の積年に、溢れんばかりの涙の★5 残り30頁辺りくらいから泣きっぱなしだった 新幹線の車内なのに ハンカチで涙を拭いながら、頁捲りながら 鼻をすすりながら、、、 16年間の想いが、突然やってきた時に 読者は、感涙に咽び泣く 「かおりさん、頑張ったね」って言ってあげたい 泣きながらそう想った これ、皆んなに読んで欲しい! 泣きながら、そうも想った 直木賞を受賞した作品『月の満ち欠け』も 読んでみよう! 泣きながら、更にそうも想った エピローグ 先程から、熱中症や高温注意のアラートが 鳴りまくっている もう直ぐで、広島に着くが、広島も最高気温 36℃の予報 涙は、出尽くし これから汗も出ると思うと、熱中症がチラつく 正に、熱中症に至るには熟柿ということなのか!? それは困るな! 塩飴でも買って、街に出ますかね~ 仕事ですけどね、、、 完
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轢き逃げ事件を起こしてしまい、人生を踏み外してしまった女性のお話。 出所後の主人公・かおりは、息子に対する思いのみで、ただひたすら仕事をしてお金を貯めるという無味乾燥な人生。淡々と描かれていながらも、かおりの身を隠すような生活に息が詰まる思いでした。かおりの悲劇に辛さを感じながら...
轢き逃げ事件を起こしてしまい、人生を踏み外してしまった女性のお話。 出所後の主人公・かおりは、息子に対する思いのみで、ただひたすら仕事をしてお金を貯めるという無味乾燥な人生。淡々と描かれていながらも、かおりの身を隠すような生活に息が詰まる思いでした。かおりの悲劇に辛さを感じながらも、いかに自分の人生を選択し、決断していくかということを考えさせられます。 あのとき、人を轢いてしまった直後、車から降りていれば… あのとき、夫と離婚していなければ… あのとき、幼稚園で息子を間違えていなければ… 。 物語の冒頭と結末で、人生の選択について描かれていますが、いかに誤った選択をしても、時がくれば新しい光が見えてくるのではないか、と思わせてくれる結末でした。 誰しもが正しい選択ができるわけではない。 人生を踏み外してしまっても、時間をかけて道を正していくことができる。そう思わせてくれる作品でした。
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主人公の夫に最後まで腹が立って仕方なかった 妊娠してる妻に運転させて自分は酔っ払って 事故を起こした妻をあっさり切るだなんて… そこは夫婦二人でのりこえなきゃダメなところ 子供もとりあげられ働くだけの人生 結局夫の一言「母親が犯罪者の子供と、母親に死なれた子供と、どっちがより不幸か考えてみろ」に振りまわされた逃避行 結局は自分(夫)の罪からも目を背けたかっただけの小狡い男 最後は幸せの前髪を掴めそうで良かった 育ての母も良い人だったんだろう 息子もいい子に育っていてよかった 久住呂母娘の存在もとても大きかった
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雨の夜、老女を轢き逃げしたかおりは夫から離婚を迫られ、刑務所で産んだ我が子に会うことも叶わなかった。息子のことを思いながら千葉〜山梨〜岐阜〜大阪〜博多と西へ西へと流れ、ただひたすらに働く日々。17年の時を経てかおりに訪れる“熟柿”の時とは…。 辛かった〜。 轢き逃げはもちろん...
雨の夜、老女を轢き逃げしたかおりは夫から離婚を迫られ、刑務所で産んだ我が子に会うことも叶わなかった。息子のことを思いながら千葉〜山梨〜岐阜〜大阪〜博多と西へ西へと流れ、ただひたすらに働く日々。17年の時を経てかおりに訪れる“熟柿”の時とは…。 辛かった〜。 轢き逃げはもちろん罪だし、到底許されないことだけど、罪を償っても割に合わないほどのその後の仕打ち。助手席で酔い潰れていた夫に正直一番腹が立ったし、子供のために離婚?そこは一緒に罪を背負ってやるところでしょ!と警察官の面子を考えたような夫の選択には怒りしかない。おまけに息子に母親がお前を捨てたみたいに言っているとは! 西へと流れていく過程の過酷さ。仕事にひたすら打ち込むことで息子への思慕を紛らわせるかおりの姿が辛すぎる。 久住呂さん、慶太、土居さんという親身になってくれる人がいたことが微かな救い。 辛い生活の中でも自棄にならず介護に希望を見出していく姿にかおりの強さを感じ、博多が根を下ろす場所になって本当に良かった。 子を持つ母親としては、拓との対面シーンは涙なしには読めず、やっぱり、親子生き別れにした夫の選択が間違ってたという気がしてならない。 かおりには幸せになってほしい。
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最後に泣いた。 いろいろなことが起こるけど、詳しいことは何となく流されて、少しあとから、あるいはとても後からそういうことだったん…と明かされたり。 淡々と穏やかな文調なんだけれど、ずっと惹きつけられ そして、最後に泣かされた。
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ずっとページの隅に死にたいと書いてあるような不気味さが続く。でも読むことをやめられない、続きが猛烈に気になる訳ではないのに、この虚無感と絶望感に魅力されてしまう。 そんな彼女の最後、良かった。誰しにもこういう道が用意されているといい。
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轢逃げを起こしてしまった女性の物語。 人生を踏み外し、何も上手くいかない主人公のことを不憫に思いながらも、物語に引き込まれました。 「熟柿」の意味。この物語のタイトルにするにはあまりに切ない。だけど、希望を持てる言葉。 大変な人生の中でも築いた人との繋がりを、主人公には大切に...
轢逃げを起こしてしまった女性の物語。 人生を踏み外し、何も上手くいかない主人公のことを不憫に思いながらも、物語に引き込まれました。 「熟柿」の意味。この物語のタイトルにするにはあまりに切ない。だけど、希望を持てる言葉。 大変な人生の中でも築いた人との繋がりを、主人公には大切にしてほしいと感じました。
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