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熟柿 の商品レビュー

4.2

178件のお客様レビュー

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2025/08/09

読み終えた後、暫く何も考えられずに余韻に浸っていた。交通事故をおこし刑務所に入りそこで出産する。そして離婚、当然 子供とは引き離される。人生を一度 踏み外すとずっとついてまわる。どんなに子供に会いたくとも。流れるような文章が心地よく心に染みた。最後、熟柿の意味がいいなと思った。

Posted byブクログ

2025/08/09

 『熟柿』。いい言葉だなぁ。普段、なんでも急いで答えを求めたりしてしまう私には縁遠い言葉だ。最後の最後にこの言葉の意味が報われる。  この物語は読んでいるのが本当に辛かった。物語として面白いんだけど、とにかく暗い。辛い。そしてまどろっこしい。読んでいてイライラしっぱなしだったけ...

 『熟柿』。いい言葉だなぁ。普段、なんでも急いで答えを求めたりしてしまう私には縁遠い言葉だ。最後の最後にこの言葉の意味が報われる。  この物語は読んでいるのが本当に辛かった。物語として面白いんだけど、とにかく暗い。辛い。そしてまどろっこしい。読んでいてイライラしっぱなしだったけど、そういう時こそ熟柿。気長に時期が来るのを待つことが大切なんだなと思い知らされる。  主人公の市木かおりは、叔母の葬儀の日の帰り道、酔っ払った夫を隣に乗せて車を運転していると、人を轢いてしまった。勘違いかとも思い、そのまま確認せずに家に帰ってしまった。  結局轢いた老人は死んでしまい、刑務所に入ることになったかおり。刑期を終えると同時に離婚を言い渡され、刑務所で産んだ赤ちゃんと引き離されることになる。  それからのかおりは2度息子に会いに行く。1度目は幼稚園の時。2度目は小学校入学式の時。どちらも会うことは叶わず、そのまま10年以上もの時間が経ってしまう。  かおりは色んな仕事を転々とするわけだが、大阪のパチンコ店でルームシェアをしていた斉藤さんという女性には本当にムカついた。それから元夫。  そもそも読みながらずっと疑問に思っていたのは、『なんで離婚を突きつけられなければいけなかったのか?』ということ。それは息子である拓も思っていたことなのだが。  それにしても熟柿。タイトルにもなっているこの言葉。意味は2つあって、そのコントラストが素晴らしい。途中モヤモヤしながら読んだが、ラストはスッキリさせてくれた。

Posted byブクログ

2025/08/08

亡くなったケチの叔母が熟柿を誰にも食べさせないでチュウチュウ啜っていた。 その叔母の葬儀の帰り主人公はその叔母の祟りか事故で人を殺めてしまう。 妊娠していたので刑務所で出産。 話題作だが、全く共感できなくて初めの頃で終了。

Posted byブクログ

2025/08/05

あの時、気長に時機が来るのを待つことができれば。 旧姓「市木」で過ごしたその期間が、まさに「柿」そのものだった。 辛く苦しい歩みの数々も、人として熟すための時間だったのかもしれない。 最後の2ページが輝いて見えた。

Posted byブクログ

2025/08/04

主人公の女性、ほぼ一人称ですすむ物語。 これを男性作家が書かれていると思うとすごいと思う。 本当に読みやすい文章で、物語のエンディングが気になるから2日程度で一気読みしてしまった。途中に挟まれるエピソードも面白かった。 事故や柿の描写が生きていて、ゾッとした。

Posted byブクログ

2025/08/01

激しい雨の夜、ひき逃げで老婆を殺してしまったかおり。刑務所内で男の子を出産するも夫とは離婚、息子とは引き離されてしまう。息子に会いたいがためにさらに事件を重ねてしまったかおりは、職を転々としながら西へと流れていく。上手くいかない人生でも優しい手を伸べてくれる人もいる。会えない息子...

激しい雨の夜、ひき逃げで老婆を殺してしまったかおり。刑務所内で男の子を出産するも夫とは離婚、息子とは引き離されてしまう。息子に会いたいがためにさらに事件を重ねてしまったかおりは、職を転々としながら西へと流れていく。上手くいかない人生でも優しい手を伸べてくれる人もいる。会えない息子のことを思い、ただ勤勉に暮らすだけの母心が切ない。ひき逃げの新たな真実が見えた時には腸が煮えくり返る気持ちになった。不吉な象徴として描かれていた柿が最後にはがらりと印象を変えて表題としてもとても良かった。

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2025/07/31

 ひき逃げ事故を起こして、逮捕され、獄中で出産、出所後迎えに来た夫に言われて離婚したかおり。子どもは夫の元に。  その後、いつか息子に会うことだけを思い、職を転々とする。  読みんでいてとてももどかしさを感じた。かおりの優柔不断な行動もそうだし、彼女の友・鶴子に。冒頭のかおりの...

 ひき逃げ事故を起こして、逮捕され、獄中で出産、出所後迎えに来た夫に言われて離婚したかおり。子どもは夫の元に。  その後、いつか息子に会うことだけを思い、職を転々とする。  読みんでいてとてももどかしさを感じた。かおりの優柔不断な行動もそうだし、彼女の友・鶴子に。冒頭のかおりの行動以外は息子会いたさ故なのは分かるけれど、自分勝手すぎると感じた。周りが見えていない。  でも、息子と再会できて、それが契機となったのだろう、かおりは誰の声が聴きたいのか気づく。それは、漸く前に進める決心がついたからなのだろうか。  熟柿。熟した柿の実が自然に落ちるのを待つように、気長に時機が来るのを待つこと、という語意もあるという。ラストで漸くタイトルが「熟柿」の意味が分かった。  今度こそは幸せになってほしい。

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2025/07/31

けんご氏が現時点で2025年ベストだと 激推ししていたので読んでみた。 轢き逃げの罪で服役中に刑務所で出産し すぐに我が子と離れ離れになり 出所後も会えずに転々とする母親の手記のような話。 最後どんな結末が待ち受けているのかと 何か違うものを期待していたけれど いい意味で裏切...

けんご氏が現時点で2025年ベストだと 激推ししていたので読んでみた。 轢き逃げの罪で服役中に刑務所で出産し すぐに我が子と離れ離れになり 出所後も会えずに転々とする母親の手記のような話。 最後どんな結末が待ち受けているのかと 何か違うものを期待していたけれど いい意味で裏切られた。 タイトルの『熟柿』が突き刺さり 主人公の人生が救われたような気がした。

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2025/07/30

なぜか読み終えた瞬間、気持ちが上がった。特別な事は何もない。むしろ、市木かおりさんの事故後の人生は、暗い影を落としている。だけど人生捨てたもんじゃないと思える。その要因は、息子の存在だけではないように思う。色々あるからこそ人生は豊かになるのかもしれない。熟柿の精神で、前向きにいこ...

なぜか読み終えた瞬間、気持ちが上がった。特別な事は何もない。むしろ、市木かおりさんの事故後の人生は、暗い影を落としている。だけど人生捨てたもんじゃないと思える。その要因は、息子の存在だけではないように思う。色々あるからこそ人生は豊かになるのかもしれない。熟柿の精神で、前向きにいこう。

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2025/07/29

Super8さんの本棚から 佐藤正午さん、初読み作家さんです。 最初から衝撃的な内容! 主人公かおりは轢き逃げ事件をおこしてしまい、服役中に息子を出産します。 後悔しても時間を戻せない苦しさと、子どもの顔が見たい、成長をみたい、抱きしめたいという母親としてごくふつうのことができ...

Super8さんの本棚から 佐藤正午さん、初読み作家さんです。 最初から衝撃的な内容! 主人公かおりは轢き逃げ事件をおこしてしまい、服役中に息子を出産します。 後悔しても時間を戻せない苦しさと、子どもの顔が見たい、成長をみたい、抱きしめたいという母親としてごくふつうのことができないもどかしさをかおりと共に強く感じ、私も辛くなってしまいました。 子どもに会いたい一心で懸命に生きるかおり それしか生きる意味が見いだせなかったのかもしれません。 かおりの受け身の人生において、久住呂さん母娘と土居さんとの出会いは一筋の光のように感じました。 大きな問題に直面した時に、そして動転した時に、隣で支えてくれる人がいかに大切かを強く感じた作品でした。 16年はあまりに長すぎる時間でした。 「熟柿」の意味を知ることにより作品をより深く感じることができます。お勧めの1冊です。

Posted byブクログ