道教文化と日本 の商品レビュー

日本道教学会(編者)

2025/05/03

道教の伝来と受容: 古代日本（7世紀末～8世紀初頭）において、道教は「邪道」を巡る論争の対象となりつつも、「道術符禁湯薬」や薬学などが伝わりました。
修験道への影響: 密教の修法「盤法」や、英彦山信仰、秘術的な占術・儀礼である「雷公式」「反閉」、山岳修行における「玉女」のような神仙的存在などに道教の影響が見られます。また、「宇賀神」信仰にも道教的要素が指摘されています。
神道・陰陽道との混淆: 神道は教義を体系化する過程で『老子述義』などの道教文献を利用し、吉田神道も「清静経」などを取り入れました。仙人思想と関連する「戸解」（仮死と復活）の概念は、聖徳太子や日本武尊の説話にも見られます。儒教・仏教・道教の関係を論じる「三教一致説」も日中で議論されました。
日本における道教の展開: 道教そのものは律令国家体制下で正式には受容されなかった可能性が高いものの、その要素（医術、呪術、占いなど）は陰陽道などの諸分野に分散して取り込まれました。近年の研究では、特に陰陽道の成立や儀礼における道教（呪禁など）の影響が重視されています。