現代日本の医療問題 の商品レビュー

木下翔太郎(著者)

2025/10/15

仲野さんオススメから。珍しいキャリアパスと、かなり短い期間で成し遂げられた業績(IFの高さ)に思わずかしこまってしまう。内容自体は至極オーソドックスな論旨で、先だって読んだ一般病院長の目から見た将来への危惧にも通ずる。皆保険制度を手放す可能性については、ちょっとドキッとしてしまうけど、未来世代への負担がどんどん積み重なっていくのが目に見えている現状を鑑みると、目を背けずに議論していく必要はありそうだな、と思える。

2025/05/03

医療に関わっている人であれば聞いたことのある多くの問題を分かりやすく解説してくれている。
解説箇所に記載があったが、当初は自分の意見を極力排除して書いた本だったが、編集者からあなたが言いたいことが何か分からない的なダメ出しがあり、自分の意見や研究についても言及することにしたそうだ。
確かに自慢話はよろしくないが、本を出すのであればちゃんと意見はあったほうがいいんだろうなと、極力排除されている本ばかり読んでいた自分に反省した。
医療費やら、国民皆保険やら、そろそろ機能不全だからどうにかしたい。

2025/04/21

日本の医療は国民皆保険とフリーアクセスにより国際的に高評価だが、医師の地域・診療科偏在、医療費増大、医療DXの遅れなどの課題を抱える。
「3時間待ち3分診療」に象徴される長時間待機・短時間診療や、医学部入試での女性・浪人生差別、女性医師のキャリア形成難も問題視されている。
高齢化や医療技術の高度化により国民医療費は増加の一途をたどり、財源確保と診療報酬・薬価改定を通じた抑制策が重要課題だが、副作用も懸念される。
オンライン診療、マイナ保険証、電子カルテといった医療DXは、情報連携や効率化に期待される一方、普及の遅れや導入・運用上の課題がある。
高齢化に伴う認知症患者増加への対応（医療・介護、資産管理）や、終末期医療における患者本人の意思決定支援の難しさが指摘される。
美容医療・自由診療への医師流出が加速しており、不適切な広告や施術リスク、規制強化の必要性が議論されている。
研究力低下も懸念材料であり、臨床研究の推進が求められる。
持続可能な制度のため、価値の低い医療の削減、規制強化、DX推進、医師偏在対策、国民理解の促進が急務である。