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空気はいかに「価値化」されるべきか の商品レビュー

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2025/05/12

「空気の価値」の多義性と価値化の必要性: 空気の「価値」は自明なものと考える人もいれば、価値を与えるべきだと考える人もいる。価値の定義は立場によって異なる可能性がある。 物理的な気体としての空気と、「空気を読む」といった社会的な空気という二つの側面がある。 本書のタイトルにある「...

「空気の価値」の多義性と価値化の必要性: 空気の「価値」は自明なものと考える人もいれば、価値を与えるべきだと考える人もいる。価値の定義は立場によって異なる可能性がある。 物理的な気体としての空気と、「空気を読む」といった社会的な空気という二つの側面がある。 本書のタイトルにある「空気はいかに「価値化」されるべきか」という問いは、空気の価値は自明ではなく、価値を与えるべきであるという立場を示唆している。 単なる空気という存在に新たな価値を見出すことの重要性が、本書の出発点となっている。 空気の価値化の歴史的視点: 空気の価値化に関する議論は、現代に限られたものではない。過去においても、空気の質と健康や病気との関係が認識されており、水と同様に空気の良し悪しが重要視されてきた歴史がある。 本書では、過去の新聞記事などを通して、大気汚染や都市居住における空気の問題が指摘されていた歴史が紹介されている。 「価値」と「価値化」の概念整理: 「価値」という概念は、さまざまな分野で多様な形で用いられており、その定義や説明の形式は安定していない場合がある。 日本語における「価値」という言葉は、英語の "value" と比較して、より実用性や有用性から見た価値という意味合いが強い可能性がある。 「価値化」とは、ある対象や概念に価値を与えるプロセスを指す。 空気の価値化の限界と新たな価値観の創出: 空気の価値化は、従来の経済的な価値評価基準だけでは捉えきれない側面を持つ。特に、目に見えない「空気」の価値を、既存の測定基準で測ることは難しい。 空気の価値化は、既存の価値基準や市場原理では評価しきれない新たな価値観を創出する可能性がある。 新しい価値を社会に包括的に認知させるためには、単なる経済的な評価だけでなく、多様な視点からの多角的な評価が必要となる。 グローバル・コモンズとしての空気: 空気は、地球全体の人類および生態系にとって不可欠な共通資産(グローバル・コモンズ)である。 地球システムは危機的な状況にあり、特に大気汚染などの問題が深刻化している。これは、貧困や経済発展の段階によって影響を受ける度合いが異なる不公平な現状も示している。 グローバル・コモンズとしての空気を守り育むためには、経済システムや社会システムの転換が必要であり、公正さ(Just)という視点が重要となる。 空気の「民主化」の必要性: 快適で安全な空気は、一部の特権的な人々に独占されるべきではなく、地球上の至るところで実現されるべきである。 権力と権利の偏った分布を伴う現状に向き合い、その偏りを克服するための「空気の民主化」が重要な課題となる。 芸術と空気の価値化: 現代アートは、目に見えない、聞こえない、感じられない空気の側面を開示する力を持つ。 アートの実践は、単なる物理的な空気だけでなく、社会的・文化的な「空気」も含めた「可視化」を通じて、適切な「空気の価値化」に貢献する可能性がある。 特に、コンセプチュアル・アートは、一般的に「脱物質化」を推進したと言われるが、必ずしもそうではない。物質的な「もの」に価値が強く現れる作品も存在する。 空気調和技術と空気の価値化: 空気調和技術は、物理的な空気の質をコントロールする技術であり、快適で健康的な空気空間を実現するために重要な役割を果たす。 室内における化学物質や花粉などの濃度規制など、空気の質に関する具体的な基準が存在する。 新しい技術やサービスによって、快適で健康的な空気だけでなく、香りやその他の感覚的な側面を付加価値として提供する試みも行われている。 「知」の価値と空気の価値化: 空気の価値化を考える上で、「知」の価値も重要となる。過去の知識や経験を活用し、新たな知を生み出す活動が、空気の価値化に貢献する。 大学のような研究機関は、新たな知を社会に提供し、社会全体で共有する役割を果たす。知に価値を付け、社会に還元する仕組み作りが重要となる。

Posted byブクログ