世界の墓地 の商品レビュー

アラステア・ホーン(著者),ナショナルジオグラフィック(編者),大島聡子(訳者)

2025/05/06

副題が、山頂から海底、岩壁からロッカーまで、永遠の眠りの地を訪ねる。扉には、墓には、人間の多様な生死観が現れている、とあり、たくさんの写真をみているとまさにそうだなあ。地域と時代によって多様な墓の顔。墓は死だけでなく、生も表しているのかも。

シリア・パルミラ遺跡の墓の谷、スーダン・オールド・ドンゴラのヌビア人王国の墓（17世紀）は、砂の黄土色一色で、惹かれる景色。墓なのだ。

世界の墓地を大挙紹介。墓地というと暗闇から幽霊が・・　というイメージだが、昼行ってみると近ごろの墓地は明るい。ヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカ・中東、アジア・太平洋、と地域に分け紹介。最後に世界の墓地マップ。

見返しには、墓地とは、旅路の終わり、そして再生の場所。ときに美しく、陽気、華やか。ときに不気味で風変わり。古今東西の埋葬と弔いに、人間の多様な生死観を見る。先史時代から現代にかけて、地球上のありとあらゆる場所に造られたさまざまな墓地を200点を超える写真で迫る、世界のお墓紀行。

表紙は、ルーマニア、．サプンツァ村の「陽気な墓地」。800基もの色鮮やかな木の墓標が並んでいる。制作したのは、芸術家のスタン・ヨアン・パトラシュで1917年の彼の死後は弟子のトゥミトール・ポップ・ティンクが引き継いだ。墓標には埋葬されている人の人生が一目でわかるようユーモラスな絵と詩が掘られている。

日本からは、「谷中霊園」「高野山奥之院のお地蔵さん」「泉岳寺の四十七士の墓」

2025.2.17第１版　図書館

2025/04/27

世界各地の173ヶ所の様々な墓地を紹介する写真集。
それらの出来た理由などを知り、眠る者たちの鎮魂を祈る。
・はじめに
ヨーロッパ 85ヶ所　　　南北アメリカ 42ヶ所
アフリカ・中東 20ヶ所　アジア・太平洋 26ヶ所
・世界の墓地ＭＡＰ

世界中のあらゆる場所に墓地がある。
細やかな、或いは広大な共同墓地。
そこに眠るのは、王や指導者、多くの庶民、著名人、無法者、
異国からの労働者、病や戦争の犠牲者、兵士、海賊など。
それらには様々な埋葬と弔いがある。
遥か紀元前墓地遺跡、中世の岩窟墓地、カタコンベ、
団地の部屋みたいなのやコインロッカーのような墓。
海底墓地があれば、噴火で海底に押し流された墓地もある。
崖に吊るされた棺。住居になった墓もある。
メキシコの色鮮やかな死者の国の祝いと、
インドネシアのトラジャ族の埋葬には驚かされた。
服を着たカタコンベのミイラにはゾクッとさせられた。
延々と続く十字架や同じ形の墓石には、大いなる悲しみが
感じられるが、不揃いやカラフルな墓石、彫刻、
飾られる花の色彩には、死者への想いが溢れている。
宗教や信仰、地域性によっての違いも分かり、
興味深く様々な墓地を眺めることができました。
日本からは、谷中霊園、高野山奥之院、
泉岳寺が掲載されています。

2025/03/28

多様な埋葬の形を美しい写真で巡る。墓地は暗く怖い場所と感じる時もあるが本書では荘厳さや景観との調和などが感じられ、美術書を読んでいるかのような気分になる。グラフィックとして楽しめる反面、紹介文は少なめである。国書刊行会『世界のお墓199選』と比較して読むのがおすすめ。

2025/03/23

この間職場の人と墓の話になったので、なんとなく気になって図書館で借りた
ちなみにお墓の話は「屋内墓地ってお墓の団地みたいでいいですよね」とか「旦那とはマジで同じお墓に入りたくない」とか「安い墓が人気すぎて空きがなくなってるらしい」とか、そういう話だった

ポブレノウ墓地というところは団地のお墓みたいだと書かれていた
お花がいっぱいだった
ちゃんと人が墓参りに来るんだろうな

チチカステナンゴ墓地はカラフルだった
お墓はこれくらいカラフルな方がいいかもしれない
近所に墓地はいくつかあるけど、墓地を抜けて公園に行く道などは子どもが怖がる
その公園のことを「お墓の公園」と呼んだりしてるので、「お墓の公園行くよ」と言うと「行かない！！」と言われたりする
全部灰色だもんなお墓、怖いよな
ドラえもんの像みたいなやつがあれば怖くないけどあんなのあんま無いしな
金持ちの人の墓みたいなのはやたらでかくて背も高いしな
こんくらいカラフルなら怖くないのにな

ワディ・アル・サラームという墓地は平和の谷とも呼ばれてるらしい
世界最大級
すごい

とりあえず一回目は写真だけ見て、二回目で解説を読んだ
自分が「綺麗だ」と思ってた墓地が戦争で亡くなられた方々の墓地だったりすると落ち込んだ
墓地は生きてる人の為にあるものだけど(と、私は思ってるけど)やっぱりそこには歴史があって、祈りがあって、約束などもあるのだと思う

2025/03/21

墓地の概念
- 墓地は旅路の終わりであり、再生の場としても機能。
- 大きく分けて美的で厳かなものから不気味なものまで、さまざまな印象を与える。

墓地の歴史的背景
- 先史時代から現代までの埋葬方法:
- 時代によって埋葬の仕方が変化し、さまざまな文化的背景が反映されています。
- 地域ごとの異なる死生観:
- 古代の埋葬習慣や現代の墓地の設計に至るまで、多様な死生観が存在。

世界の著名な墓地
ヨーロッパの墓地
- リンゲプ・スクープ教会（ノルウェー）:
- 1220年頃に建設、特徴的な赤い塔が17世紀に追加された。
- 咆オーラフ教会（スコットランド）:
- 11世紀のノルウェーの王を祀る教会で、周辺には中世の遺物が存在する。
- ペール・ラシェーズ墓地（フランス、パリ）:
- 世界的に有名で、多くの著名人が埋葬されている公園墓地。

アメリカの墓地
- アーリントン国立墓地（バージニア州）:
- 南北戦争中に設立され、約40万人が埋葬されている。
- ハリウッド・フォーエバー墓地（カリフォルニア州）:
- 映画界のレジェンドたちが埋葬されている。

アフリカと中東の墓地
- シュアダ墓地（モロッコ）:
- 大規模な殉教者の墓地で、歴史的意義が高い。
- 死者の町（エジプト）:
- 生きている人々が墓地内に生活するユニークな現象が見られる。

アジアの墓地
- ミズダハン廟群（ウズベキスタン）:
- 古い埋葬地で、歴史的な重要性がある。
- トラジャ族の伝統的な埋葬方法（インドネシア）:
- 特有の埋葬方法が文化的に重要である。

墓地の文化的意義
- 墓地は死者への敬意を表す場所であり、また生者の心情や信仰の象徴でもある。
- 各地域の墓地は、その文化や歴史を学ぶための重要な資源として機能する。