谷根千 文学傑作選 の商品レビュー
編者の森さんたちが1984年に創刊した地域雑誌「谷中・根津・千駄木」ですっかり有名になった「谷根千」エリア。上野、本郷という芸術、学問に関わる場所の近在ということで、文学者や芸術家が多く住んだ街だった。 本書は、それらの場所が背景として登場する小説や、そこに住み、あるいは...
編者の森さんたちが1984年に創刊した地域雑誌「谷中・根津・千駄木」ですっかり有名になった「谷根千」エリア。上野、本郷という芸術、学問に関わる場所の近在ということで、文学者や芸術家が多く住んだ街だった。 本書は、それらの場所が背景として登場する小説や、そこに住み、あるいは散策したりの思い出を綴った随筆等、この地ゆかりの作品のアンソロジー。露伴、一葉、鷗外、寅彦、荷風、乱歩といったビッグネームから、画家や彫刻家、さらには芸人などのちょっと知らない人たちまで、バリエーションに富んだ人たちの作品が収録されていて、だいたい同じところを取り上げていても、飽きることがない。 関東大震災、そして空襲の被害を受けることも少なかった地域ではあるが、バブル期の再開発などで、この地域の様相もかなり変わってしまった。寂しい思いはするが、人が住んでいる以上、街並みや家屋を昔のままでというのは難しいのだろうな。 短い期間ではあったが千駄木に住んでいたことがあり、実際に散策した場所がたくさん出てきて、一層楽しく、また懐かしく読むことができた。
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