基礎研究者 真理を探究する生き方 の商品レビュー
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効率を求められる現代こそ回り道を楽しむ心意気が大事だと気付かされる本だった。 大学教育が基礎研究より応用研究(実用的な研究)を推進する風潮にも警鐘を鳴らしている。 言葉だけでなく行動で示されている(実際に基礎研究を応援する財団を試験的に作られている)ことが凄いと思った。
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曖昧な理解でもやり過ごしてしまう人は、一旦この本の第2部だけでも読んで欲しい。 3部構成で、第1部は筆者たちがひたすら基礎研究の魅力や何が楽しいか、どんな基礎研究をどう行なってきたか、など基礎研究についてとことん語る。もちろん基礎研究を知らない自分からしたら、ついていけない話題もあった。が筆者たちの楽しそうな語り口のおかげで、楽しく読めた。 第2部以降は、自分自身胸にグサリと刺さる言葉が多く出てきた。 役に立つかどうか、効率的かどうか、みたいな観点で現代は物事を判断しがち、と筆者は指摘する。 また、インターネットも普及して、得たい情報がすぐに手に入ることから、知りたい、という欲求がすぐに満たされてしまう。しかし、知りたい、でもわからない、といった悶々とした時間を過ごすことが、知的好奇心を増幅させるのではないか、と。 自分自身、webに転がっている答えを見つけたら、それ以降は深掘りせずにそのまま仕事に活用することが多い。それで物事はすぐに解決するかもしれないが、そうやって過ごしてきたいまの自分に対しては、これから先もちゃんと仕事をやっていけるのだろうか、と不安になることもある。それに、取り組んでいることへの興味も強くなっていない。 こういった物事への取り組む姿勢は良くないと思いつつも、ついついやってしまう。 そんな状態で本書を読んだからこそ、胸に刺さった。知りたい、と思うことがすぐ知ることができる世の中だからこそ、表面的なことだけでなく深く知ることを大切にしたい。 問いが大事、と言われている。大事と言われてすぐに大事にできるわけではないし、どう大事にすれば良いかわからないが、そういった難しいテーマを少しずつ紐解いて自分なりの考えを言語化していきたい。
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両氏の文章力の高さに驚く。対談形式の本で、とうぜん編集者の力も大きいであろうが、この両氏の場合は、自分自身で文章と紡ぎ出すことにこだわっていそうであり、ゴーストや秘書や弟子任せにはあまりしていないと思うので。
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序章 こんなに楽しい職業はない 第1部 研究者の醍醐味──世界で自分だけが知っている 第一章 研究は「おもろい」から 永田和宏 ワン・オブ・ゼムではおもしろくない 種を蒔こうとするスタンスが基礎研究 研究現場は大股で歩け ゼロから始めることで得る喜び 科学者は楽観主義であれ ...
序章 こんなに楽しい職業はない 第1部 研究者の醍醐味──世界で自分だけが知っている 第一章 研究は「おもろい」から 永田和宏 ワン・オブ・ゼムではおもしろくない 種を蒔こうとするスタンスが基礎研究 研究現場は大股で歩け ゼロから始めることで得る喜び 科学者は楽観主義であれ 第二章 一番乗りよりも誰もやっていない新しいことを 大隅良典 終戦の年に生まれて、自然の中で 分子生物学との出会い 人のやらないことをやろう 間違いなくおもしろい現象に出会った! オートファジーに関わる遺伝子を特定 次々に明らかになる事実で世界を独走 その折々にベストを尽くす 第2部 効率化し高速化した現代で 第三章 待つことが苦手になった私たち 永田和宏 知るために費やす時間 非効率な時間が興味を膨らませる 与えられる知から、欲する知へ 〈知へのリスペクト〉 パラダイムを示してくれる人との出会い 素晴らしき「ヘンな奴ら」 第四章 安全志向の殻を破る 大隅良典 好きなことができていい? 研究とお金 科学者には多様性が必要だ 若者の特権と安全志向 未知の世界は先が見えないからこそ楽しい 第3部 「役に立つ」の呪縛から飛び立とう 第五章 「解く」ではなく「問う」を 永田和宏 答えられるより問えることが大切 答えの先に新たなる問い 孔子の過激な教育観 非効率な体験が想定外の対応力を養う 失敗へのチャレンジ 第六章 科学を文化に 大隅良典 終わりのない仮説と検証のサイクル 現代における科学の役割 科学や技術の評価には時間がかかる 国に依存しない基礎科学研究の支援 終章 先行き不透明な時代の科学 あとがき ――最近強く思っていること 大隅良典
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会社で研究に携わるとどうしても役に立つかどうかを考えてしまいます。自分の好奇心を大切にしたいと思いました。
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