ガラスの顔 の商品レビュー
『嘘の木』の著者による異世界ファンタジー。発表は2014年で『嘘の木』より前。 舞台は地下都市カヴェルナ。生まれつき表情を持たない人々は訓練を受けて"面"(おも)と呼ばれる表情を身に付けて暮らしている。チーズ作りの匠•グランディブルのトンネルに突然現れた少女...
『嘘の木』の著者による異世界ファンタジー。発表は2014年で『嘘の木』より前。 舞台は地下都市カヴェルナ。生まれつき表情を持たない人々は訓練を受けて"面"(おも)と呼ばれる表情を身に付けて暮らしている。チーズ作りの匠•グランディブルのトンネルに突然現れた少女•ネヴァフェル。五歳くらいの少女は、それまでの記憶を無くしていた。外界から遮断されたトンネルの中で、チーズ作りの弟子として七年を過ごした彼女は、ちょっとしたきっかけからトンネルの外に出ることになる…。 ハイ•ファンタジーとしての"創り込み"が徹底しています。…と言うより、あまりにも手が込んでいて、とても万人受けする物語とは言えない。例えば、"ワイン"とは''記憶をあやつる効果をもたらすために醸造されるもの"で、『ワイン=魔法薬』と考えながら読まないといけません。 さらにしんどいのは、「まるで〜」「〜のような〜」という比喩表現が無茶苦茶多いこと。比喩は読み手に具体的イメージを喚起させる役割なのだろうが、あまりに多用、あまりに突非なので、注意が必要です。 …と、余り好意的ではない事を書き連ねたけれど、結末はしっかりしていて納得の終わり方です。約500ページ•全33章のうちの25章辺りまで(!)延々と積み重ねられた謎や疑問はきちんと解読されます。ただそこまでが長い…。 すごく魅力的だけど、重度のハイ•ファンタジー愛好者向け…ですかね。
Posted by
表情を持つ人が誰もいない世界に、ただ一人、表情豊かな人が現れるとどうなるか。その人だけ、表情から考えていることがバレバレになるのだ!なるほど! というアイデアを中心に、物語の中は見たこともないアイデアでいっぱいになっていて、それらがただ目新しい小道具として置かれているのではなく、...
表情を持つ人が誰もいない世界に、ただ一人、表情豊かな人が現れるとどうなるか。その人だけ、表情から考えていることがバレバレになるのだ!なるほど! というアイデアを中心に、物語の中は見たこともないアイデアでいっぱいになっていて、それらがただ目新しい小道具として置かれているのではなく、物語を劇的に展開させる痛快な罠として読者を待ち構えているのだ。
Posted by
- 1