黒牢城 の商品レビュー
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米澤穂信による歴史小説ミステリ。荒木村重と黒田官兵衛のふたりを探偵役として、籠城する有岡城を覆う不可解な事件が描かれる。『折れた竜骨』でもファンタジー世界でのミステリを成立させていたように、著者の力量で危なげなく読むことができた。 いわゆる安楽椅子探偵として登場し、終始、村重に都合の良い存在として描かれた官兵衛が、終盤、村重の出奔の因を成すに至るという展開には唸らせられた。 舞台が籠城戦であるため全体に陰鬱な雰囲気が漂うけれど、随所にカタルシスがあり、膿むことなく最後まで楽しめた。
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乗ってくるのに時間がかかった作品だったかなあ。 時代物(と言っていいのかわかんないけど)のせいなのか読むスピードがなかなか上がらなかった気がしています。
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武士はカッコいいと思っていたが、武士どころか…この時代に生まれなくて良かった。怖しいし、グロテスクがそのまま生活に根付いてしまっているのは耐えられない。 黒田官兵衛にはとても興味を持った。
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#黒牢城 #読了 本筋はミステリなんだけど、全体を通して人間の思想に深く踏み込んだ小説だったと思う。 各章の明かされる謎も良いけど、そこに至る過程や背景構成が緻密で物語に沼る。 #米澤穂信 #角川文庫
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序章 因 雪夜灯籠/花影手柄/遠雷念仏/落日孤影 終章 果 所は有岡城、 城主は織田に叛旗を翻した荒木村重 地下の土牢には捕らえられた黒田官兵衛 村重の話から推理する官兵衛 二人の推理の筋道は? 武士の常識と民草の常識は違う! 右に行くか左に行くか、勝負は変わり失われる命も変わ...
序章 因 雪夜灯籠/花影手柄/遠雷念仏/落日孤影 終章 果 所は有岡城、 城主は織田に叛旗を翻した荒木村重 地下の土牢には捕らえられた黒田官兵衛 村重の話から推理する官兵衛 二人の推理の筋道は? 武士の常識と民草の常識は違う! 右に行くか左に行くか、勝負は変わり失われる命も変わる。さて
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久々にこの作者の本を読みました。え?直木賞?どんな話を書いたんだろう、と思いながら文庫を手に取り。読み進めてすぐ、あー、彼らしい短編ミステリ集形式を、戦国時代の設定でやってるんだ!となりました。いつもどおり淡々とした語り口で、小さなミステリが解かれていくスタイル。そして短編が積み...
久々にこの作者の本を読みました。え?直木賞?どんな話を書いたんだろう、と思いながら文庫を手に取り。読み進めてすぐ、あー、彼らしい短編ミステリ集形式を、戦国時代の設定でやってるんだ!となりました。いつもどおり淡々とした語り口で、小さなミステリが解かれていくスタイル。そして短編が積み重なっていくと、1冊を通して実は物語が大きく動いていることが最後に分かるという仕掛け。 登場人物は荒木村重と黒田官兵衛という、戦国時代の人気キャラ。主人公は村重のほうで、大河のイメージが強い私はどうしても官兵衛の方に肩入れしてしまいました。もう少し活躍してほしかった。軍師的な知恵を働かせるような。 戦国時代だけれども派手な戦の話ではなく、合間の(あるいは籠城中の)部下たちの合間に広まる不信感を拭うために組織長たる村重が謎を解いていく、その際に、廊に捕らえている官兵衛の助けを渋々借りる、という仕立て。あえて組織長という言い方をしたのは、まさに、「組織内の風通しを良くして部下たちのモチベを保つため、そして事業(戦)をうまくいかせるための戦略を練って遂行するために、組織長が日々気を配って工夫するっていうのは戦国時代も同じなんだぁ」という感想を持ったため。その視点をもたらしたという意味で、面白い作品でした。
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直木賞を受賞した時に読んでみたいな〜と思っていたのですが、本屋で見た時に本のブ厚さにビビって退散してしまいました。文庫本になったことでようやく手に取ることが出来ました。 有岡城で起きた謎を解き明かすため、村重は土牢に閉じ込めている勘兵衛に会いにいきヒントをもらって事件を解決していきます。何故、土牢に捕らえられている勘兵衛が自分を捕らえた村重にヒントを与えるのか。謎解きと一緒に考えてみると面白いと思います。 冒頭でいきなり信長への勝機が毛利頼みであることが判明。毛利といえば戦国BASARA(アニメ)で「日輪の子らよー」と言っていた元就の姿と「三本の矢」の逸話しか知らない私が言うんだから間違いない(真顔)。 誰かが援軍に来なきゃ勝てない戦ってリスキーすぎませんかね、村重さん。しかもなんで籠城するんや。 小説では、村重は英傑のように書かれていたのですが、冒頭コレだったせいもあってあまりそうは思えず読んでいました。 とはいえ村重が謀反を起こした当時、織田信長の天敵だった武田信玄も上杉謙信も死去し、その時期を目安に信長は冷酷な暴君へと変貌していきます。パワハラ上司、嫌だよね。それは私も同意する。 読み進めていくと、官兵衛が村重にあまりに鮮やかにヒントを渡すので、思わず「官兵衛、お前がホームズだ!」と思いながら読んでいました。じゃあ村重はワトソンなんか?違う気がする…まあ、不勉強でホームズシリーズ読んだことがないんですが。 勘兵衛が、自分を虐待した牢番を逆にそそのかし、村重に刀を向かせるように仕向けて結果的に村重に牢番を殺させるエピソードは読んでいてゾッとしました。 史実通り、物語の終盤で有岡城は落ち、勘兵衛は救出されます。 戦国の世で殺し殺される、悪因と悪果が巡る世の中に救いはないのか…そう思う勘兵衛ですが、このまま諸行無常チックな感じで終わることは作者が許さなかった! ラスト、殺されてたと思った官兵衛の息子と会って、息子が「父上のお話は難しくてさっぱり分かりません!」と爽やかにいうところがめっちゃ好き。なんか夏目漱石の「坊っちゃん」のラストを思い出しました。悪因を壊すには善囚を重ねるしかない、ホントこれ。 他にも、村重や千代保の死生観の違いとかも楽しめました。
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荒木摂津守村重は織田信長から離反し有岡城主として伊丹におり、毛利輝元の援軍を待っている.まず織田の使者として小寺(黒田)官兵衛が現れやり取りの後、村重は官兵衛を殺さずに土牢に閉じ込める.その後城内や城下で不可解な事案が発生し、それを村重が解明するという過程が連続する.冬の人質生害...
荒木摂津守村重は織田信長から離反し有岡城主として伊丹におり、毛利輝元の援軍を待っている.まず織田の使者として小寺(黒田)官兵衛が現れやり取りの後、村重は官兵衛を殺さずに土牢に閉じ込める.その後城内や城下で不可解な事案が発生し、それを村重が解明するという過程が連続する.冬の人質生害、春の手柄争い、夏の鉄砲放ち.どれも村重の推理で一見治まった感じだったが、家臣らや民草は納得がいかない空気が漂っており、村重も不安感を募らせていた.それぞれ案件について官兵衛から的確なヒントを与えられた村重は、最後の鉄砲放ちの件で「罪の正体を既にご存じにござろう」と告げられる.意外な人物が3つの案件の首謀者と判明する.戦国時代の大名の動きが綿密に描写されており面白い.村重の調査、半兵衛のヒントが巧妙に絡みあう展開は非常に楽しめた.
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村重と官兵衛、幾度となく小説や大河で見てきたが、これまた面白い掛け合いで作者の想像力と表現力に引き込まれて一気に読んでしまった。 やはり、作家の力量でどれだけでも面白くなる、史実があるとは言え過去のことは分からない、だから歴史小説は面白い。
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信長に謀叛を起こした荒木村重の籠城の話。 不可解な出来事を解明するため、牢屋に閉じこめた黒田官兵衛に相談する。籠城の憂鬱な空気が重く、まあまあ面白いが、暗い感じの小説だった。
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