1,800円以上の注文で送料無料

ずっと、ずっと帰りを待っていました の商品レビュー

4

8件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    4

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/12/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

太平洋戦争時に、24歳という若さで1000人の大隊を率いて戦った指揮官が辛くも生き延びて、亡くなった隊員の家族に詫び状を書いた。それに対する亡くなった隊員の家族からの手紙の内容と、それを家族の子孫に渡していく時の様子が描かれている。 この本を読んで一番印象的だったのは、戦争というのは昔昔の違う世界でのお話ではない、ということ。 今もまさに世界では戦争が進み、人がたくさん亡くなっていっているが、どこか自分とは違う世界の話と捉えていた。 一番リアルだなと感じたのは、遺族からの手紙の中に、「証明書を出してください」「役所に通知するよう言ってください」「手続きはどうしたらいいか」といった、市役所での手続き系の話が盛り込まれていたこと。 当時もそういう申請ってわかりづらくて、でもやらないといけないもの(申請しないとお金がもらえない)、といった当時の人々の様子が窺い知れて、親近感がわいたというか、解像度がぐっと上がった気がする。現代の日本人だって、みんな何かあったら市役所や区役所に申請にいくもの。 本の構成として、一人ずつ隊員をピックアップし、戦争の様子・隊員がどう亡くなっていったのかが描かれる→その隊員の家族からの手紙→手紙を現代の子孫に渡した時の様子、という流れになっている。 その中で、「〇〇さんは5人兄弟の長男で、下の兄弟たちをかわいがっていた」「〇〇さんの妻の〇〇さんは農家として働きながら苦しい生活の中で戦後二人の子供を育て上げた」といった、戦前の隊員の人柄や、戦後残された家族がどんな人生を歩んだか、といった一人一人のエピソードが具体的に書かれている。 亡くなった人は何万人と括った表現をされがちだが、一人一人に個性があり人生があったということ。 残された人たちにもそれぞれ人生があって、どんなに貧しくても辛くてもふんばって生き延びてくれて、その結果今がに繋がっているということ。 そんなことが改めて心から理解できるような気がした。 あと、沖縄戦で戦っていたのは沖縄の人だと勝手に思っていたが、北海道や東北の隊員が送られていたとのこと。全然知らない土地で亡くなって、骨が帰っていないというのは寂しいことだろう。 個人的に沖縄は大好きで毎年でも遊びに行きたいと思っているくらいだが、そんな沖縄の見方が変わる一冊になったなぁと思う。読んでよかった。

Posted byブクログ

2024/10/28

 ヒボさんの本棚から、いつもありがとうございます。今まで読んできた作品とは違って、パッパッとは読めないものでした。なので、時間をかけてゆっくり読ませてもらいました。  先の大戦において。激戦を極めた沖縄戦にて約1000人の部下を率いていた伊東孝一大隊長は、多くの部下を失いました...

 ヒボさんの本棚から、いつもありがとうございます。今まで読んできた作品とは違って、パッパッとは読めないものでした。なので、時間をかけてゆっくり読ませてもらいました。  先の大戦において。激戦を極めた沖縄戦にて約1000人の部下を率いていた伊東孝一大隊長は、多くの部下を失いました。伊東孝一大隊長は、亡くした部下の遺族に対して、「詫び状」を沖縄の珊瑚とともに送っています。その「詫び状」に対しての遺族からの返信を大事に保管していた伊東孝一大隊長から、託されたこの作品の浜田夫妻は遺族に返還する活動を行っています。  戦後79年の年月は遺族を探すことも困難を極めています。また探し出しても名前しか聞いたことがないのでと、手紙の受け取りを拒否される遺族もおられたり、ここ最近の社会情勢(振り込め詐欺の横行等)から、不審感を抱かれる遺族もいらっしゃるそうです。  そんな中でも受け取りを希望された遺族は、英霊として散った先人に思いを馳せると同時に、2度とこのような惨事が繰り広げられることがあってはならないという思いを強くします。そして手紙を保管してくれていた伊東孝一大隊長と、手紙を届けてくれた浜田さん夫妻に感謝を抱かれるのです。  伊東孝一大隊長はその生涯を通して、戦争で失った部下たちのことを忘れることがありませんでした。手紙を遺族に返還する浜田さん夫妻の旅は続きます。伊東孝一大隊長と浜田さん夫妻の思いが、一人でも多くの遺族に届きますように…。そしてこうして、この活動を残してくれたことによって、私がこの作品を読め、知ることができたことに感謝です。

Posted byブクログ

2024/10/26

沖縄戦は本土決戦に至るまでの時間稼ぎとも言われていて 武器や食料も足りない状況で 戦いを強いられた兵隊の多くは 故郷に帰る事なく 沖縄の土になった 故郷で待つ家族には 詳細も何も伝えられず もしかしたら 戻って来るかもと 儚い望みを持っていた人もいたそうです この指揮官は 自...

沖縄戦は本土決戦に至るまでの時間稼ぎとも言われていて 武器や食料も足りない状況で 戦いを強いられた兵隊の多くは 故郷に帰る事なく 沖縄の土になった 故郷で待つ家族には 詳細も何も伝えられず もしかしたら 戻って来るかもと 儚い望みを持っていた人もいたそうです この指揮官は 自分だけ生き残った事は 亡くなった者達の為に生きる事が使命と思い 部下の家族に手紙を送った そのやりとりの手紙を 返却する為に 著者達が動いた内容のノンフィクションでした 本当に愚かな戦争でした でも  命を失った多くの人々は 無駄死にとは 思いたくありません 彼らは 家族や日本の為に 負けるとわかっていても 戦ってくれたのです 今の日本は 多くの人の命のおかげです だから 戦争は二度としてはいけないと  訴えていかねばなりません 彼らの命を繋げていかねばなりません

Posted byブクログ

2024/10/23

濃密な生の悔恨と、無慈悲な死が無数にあった。沖縄に散っていったひとりひとりがいた。 歴史的に見ても「あの時、あの場所で何が行われていたのか」と興味深いのだが、遺族からの書簡が胸を打つ。彼らの散っていった年月日も記されており、戦争は一人の兵士を顔もない戦死者に変えてしまうが、状況を...

濃密な生の悔恨と、無慈悲な死が無数にあった。沖縄に散っていったひとりひとりがいた。 歴史的に見ても「あの時、あの場所で何が行われていたのか」と興味深いのだが、遺族からの書簡が胸を打つ。彼らの散っていった年月日も記されており、戦争は一人の兵士を顔もない戦死者に変えてしまうが、状況を読んでいくと誰かの大切な人だった、家族の一人であった、と考えるだけでやりきれない。辛い一冊だが、読んでよかった。

Posted byブクログ

2024/09/19

沖縄戦当時24歳、1千人近い部下を持った大隊長は9割の部下を失うも生きながらえる。戦後、遺族たちに部下の最期を伝える手紙を送り、その返信356通。墓場まで持ち帰ろうとする指揮官を説得し、遺族からの返信をさらに関係者に返却する企画。一度も父と会うことのなかった子供や親戚、筆者夫婦を...

沖縄戦当時24歳、1千人近い部下を持った大隊長は9割の部下を失うも生きながらえる。戦後、遺族たちに部下の最期を伝える手紙を送り、その返信356通。墓場まで持ち帰ろうとする指揮官を説得し、遺族からの返信をさらに関係者に返却する企画。一度も父と会うことのなかった子供や親戚、筆者夫婦を含め戦争を知らぬ世代の学生ボランティアの努力を戦記を交えて記した感動作。

Posted byブクログ

2024/08/20

自分のどんな感想より、伊東大隊長のこのメッセージを受け取ってほしいとこちらに引用します。 『エピローグ 奇跡の帰還』より p263「戦争は二度と起こしてはならない」 伊東大隊長は、亡くなる少し前まで、自衛官を相手に沖縄での経験や国を守る軍人としての心構えについて講義することが多...

自分のどんな感想より、伊東大隊長のこのメッセージを受け取ってほしいとこちらに引用します。 『エピローグ 奇跡の帰還』より p263「戦争は二度と起こしてはならない」 伊東大隊長は、亡くなる少し前まで、自衛官を相手に沖縄での経験や国を守る軍人としての心構えについて講義することが多く、訪ねてくる軍事の専門家も後を絶たなかったそうだ。 そうした訪問者を対象に、大隊長はアンケートをとっていた。 【設問内容1日本にとって、大東亜戦争とは?】 ①やむにやまれぬものか ②愚かなものか 大隊長の陸軍士官学校時代の二〇名の同期は、両論に分かれ一〇:一〇。訪ねてきた少尉、中尉相当の自衛官五名は、二:三。そして、私たちが連れていった大学生一•名は、六:四だった。 学生の中には、大隊長が元軍人であるが故に、遠慮して「やむにやまれぬ」に投じた者がいたようだ。 この結果を受けた伊東大隊長。 「以上を観察するに、日本人はまだまだ反省が足りない。軍事をゲーム位に思っている。日露戦争の勝利に酔って、観念的に日本軍は強いと陸軍の上層部は思っていたようだ。その誤った判断の下に太平洋戦争へ突入した」 戦闘へ参加したことについてはずっと悔やんでいた。 「国家が戦争を始めたからには、我々、戦闘部隊は全力を挙げて戦うしかなかった。それがたとえ愚かな戦争であっても…・・・・・」同時に、こう断言している。 「当時の世相や若さゆえに、それを止めることができなかった。だからこそ、文民による統制が大切で、戦争は二度と起こしてはならないことだ」

Posted byブクログ

2024/10/13

沖縄戦で部下の9割を失った24歳の指揮官が終戦後に遺族にお詫びの手紙を書き決して無駄死にではなかったと説明する。一部の遺族からの返信を指揮官はずっと持っており、本作品のジャーナリストが手紙の送り主の遺族や親類を探し当てその内容を朗読し返還している。遺族から指揮官への返信は、必死で...

沖縄戦で部下の9割を失った24歳の指揮官が終戦後に遺族にお詫びの手紙を書き決して無駄死にではなかったと説明する。一部の遺族からの返信を指揮官はずっと持っており、本作品のジャーナリストが手紙の送り主の遺族や親類を探し当てその内容を朗読し返還している。遺族から指揮官への返信は、必死で悲しみを押し殺し、目の前にある厳しいという言葉では言い表せないような現実の中を進まざるを得ない状況を綴ったものが多かった。指揮官は『日本にとって大東亜戦争とは?』というアンケートを訪問者にとっていたそうで、“やむにやまれぬもの”と“愚かなもの”の2択だが、前者を半数くらい選択していることに驚く。指揮官も日本人はまだまだ反省が足らないと感じたそうで同じ気持ちである。

Posted byブクログ

2024/07/24

最近、朝ドラ「虎に翼」の影響か 戦後すぐの時代にも興味が向いている。 吉田裕先生の御講演の影響も大きい。 で、これも、その一環。 沖縄戦を戦った伊東孝一大隊長は 戦後、戦死した部下の遺族へ手紙を書く。 その家族からの返事を、著者夫妻が、NPO法人をたちあげ 今、返してまわって...

最近、朝ドラ「虎に翼」の影響か 戦後すぐの時代にも興味が向いている。 吉田裕先生の御講演の影響も大きい。 で、これも、その一環。 沖縄戦を戦った伊東孝一大隊長は 戦後、戦死した部下の遺族へ手紙を書く。 その家族からの返事を、著者夫妻が、NPO法人をたちあげ 今、返してまわっている・・・ 本書は、伊東大隊長目線で沖縄戦を描き、 遺族からの返事、現在の返還のいきさつの 三点から成る。 遺族が、戦後をどんな想いで迎え、 生き抜いてきたかが、胸に迫る。 本は、既に図書館へ返却してしまったが、 あらためて、内容をきちんとまとめておくつもりだ。 (もう一度借り直さないね) ★4なのは、まだ返却作業が続いているため、 道半ばということで、今後に期待して★を減らしている。

Posted byブクログ