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悪い男 の商品レビュー

3.9

16件のお客様レビュー

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2024/03/08

男は目立たぬようにバーに入ってゆき、サンフランシスコの文字のあるTシャツを着た女性に声をかけた。で始まる描写が続き、一行空いて、エリンボルグが現場に到着すると、血の海の中で若い男が倒れていた。血まみれのサンフランシスコの文字の入ったTシャツを着ていた。・・と続く。 男はこの若い...

男は目立たぬようにバーに入ってゆき、サンフランシスコの文字のあるTシャツを着た女性に声をかけた。で始まる描写が続き、一行空いて、エリンボルグが現場に到着すると、血の海の中で若い男が倒れていた。血まみれのサンフランシスコの文字の入ったTシャツを着ていた。・・と続く。 男はこの若い女性のTシャツを着て殺されていた、という出だしから、殺された男は「悪い男」なのだな、と思う。その予想のごとく、エリンボルグは男殺害の真犯人を見つけ出すのだが、男がもたらした「悪」の空気が作品全体を包みやるせない。男の故郷はアイスランドの田舎。若い者は村から出て行って、村人の行動はただちに村じゅうに知れわたる。暗くて寒い空が覆っている。それが「サンフランシスコ」の明るくて暖かいTシャツと対照をなす。男の母親はとても厳しく男を育てた。 もう少し「悪い男」の内面を描写してほしかったかな。なぜそういう性癖になったのかインドリダソンの見解を知りたい。でも一気に読んでしまった。エーレンデュルは東部地方への休暇をとっている、とだけわかっていて出てこない。次作は「黒い空」でシグルデュル=オーリが主人公だ、と解説にある。オーリもけっこうおもしろい性格だな、と思いながら読んでいるので、次回作が楽しみ。 2024.1.19初版 図書館

Posted byブクログ

2024/03/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

エーレンデュル第7作ではあるが、エーレンデュルは全く出ず、エリンボルクが主人公のスピンオフ的な作品。 面白くないわけではないが、エーレンデュルに比べると、エリンボルクは申し訳ないが魅力にかける印象。 ちょっと堅苦しくて、取り調べの会話は少しイライラした。 話としても今一つ。 次作もエーレンデュル不在らしい。ちょっと残念。

Posted byブクログ

2024/02/19

北欧のミステリーシリーズ。エーレンデュルかと思えば彼の部下のエリンボルクが主人公。 彼女の日常が細かく描かれていてとてもリアル。緻密な捜査や被害者の家族の感情が前面に出ている。エーレンデュルはどうしたのか、刑事仲間でなくとも気になる。

Posted byブクログ

2024/02/14

『エーレンデュル捜査官シリーズ』は非常にメッセージ性の高いミステリーだ 今回は卑劣極まりない犯罪の被害者たちに対して、あなたたちは悪くない、あなたたちに責任はない、世間から隠れて暮らす必要はない、堂々と生きろ!と強く主張している だけどその主張はまず「社会」に向けられるべきだ...

『エーレンデュル捜査官シリーズ』は非常にメッセージ性の高いミステリーだ 今回は卑劣極まりない犯罪の被害者たちに対して、あなたたちは悪くない、あなたたちに責任はない、世間から隠れて暮らす必要はない、堂々と生きろ!と強く主張している だけどその主張はまず「社会」に向けられるべきだと思うのだ 「社会」こそが犯罪被害者たちを日陰の存在に押しやっているのではないか、声を塞いでいるのではないかと思う そして、作者のアーナルデュル・インドリダソンはこのシリーズを通して、常に家族の絆についてスポットを当てているように思う そして今作は主人公がいつもと違ってエーレンデュルの部下、女性刑事のエリンボルクとなっている つまりいつもと違う家族が登場し、また違う種類の家族の問題が母親視点で描かれている 明確な答えは用意されていない 読者に提示されるのは問題だけだ 答えはそれぞれが自分の力で見つけるべきだとアーナルデュル・インドリダソンは言っているのだろうか そして今、私が強く思うのは、素晴らしい物語なんだが、アーナルデュルとかエーレンデュルとかエリンボルクとか聞いた時点で心折れてる人多いだろうなってことですw

Posted byブクログ

2024/02/03

 『湿地』以来、いずれも高水準を保っているこのアイスランド・ミステリーは『エーレンデュル捜査官シリーズ』として出版社より紹介されてきたが、本書では当のエーレンデュル主任警部が不在というシチュエーションで女性刑事エリンボルクが初の主演を果たす。時に助け役なのか邪魔する役なのか判断が...

 『湿地』以来、いずれも高水準を保っているこのアイスランド・ミステリーは『エーレンデュル捜査官シリーズ』として出版社より紹介されてきたが、本書では当のエーレンデュル主任警部が不在というシチュエーションで女性刑事エリンボルクが初の主演を果たす。時に助け役なのか邪魔する役なのか判断が難しいかたちで三人目の刑事シグルデュル=オーリが登場するが、こちらも友情出演程度の顔出し。本書は、一作を通じてあくまでエーレンデュルを主役とした作品なのだ。  序章にして既にトリッキーである。まず女性にデートドラッグを飲ませレイプするという目的を持つ病的な犯罪者が一軒のバーで獲物を狙うシーンから本書はスタートする。続いて死体発見現場で本書のストーリーは正式発動されるのだが、思いに反して被害者はレイプされた女性ではなくデイトドラッグを仕掛けたほうの犯罪者の方であり、彼は自分の住むアパートの部屋で喉を掻き切られるという無残な姿で死んでいた。  アイルスランドという、北極圏に近くフィヨルド地形が目立つような小さな国。人口は30万ととても少なく、しかもその大半がレイキャビックに集まっているという。この小さな国で世界の言語に翻訳されている作家と言えば本シリーズの原作者の他にラグナル・ヨナソンで、ぼくはこちらの作家も日本語翻訳作品は全読して注目しているのだが、こちらはアイスランド北部にあるシグルフィヨルズルという田舎町の警察署に所属する若き警官アリ=ソウルを主としたシリーズ。ヨナソンでは女刑事フルダのシリーズ三部作が立て続けに翻訳されその衝撃的内容に震えたものである。  アイスランド・ミステリーに何よりも注目を集めたのが本エーレンデュルのシリーズで初邦訳された『湿地』であり、その後も主人公が抱えている過去(雪山で見失って以来行方のわからないままの弟、という未解決な事件)のトラウマは、執拗にシリーズに影を落とし続ける。さらにその事故、あるいは事件の真相究明にのために、エーレンデュルはレイキャビックから毎年決まって姿を消してしまう。  本書でもエーレンデュルが不在であるわけはおそらく雪山の事故を思い出し真実に辿り着くための旅なのだと思う。なので本書では主人公をエリンボルクが務め、日頃あまり語られなかった彼女の私生活の描写が随所に語られつつ、彼女が執拗に本書の事件究明に携わる姿のどこかに、改めてエリンボルクという女性の大切にしているものが明確になってゆく。ちなみに料理へのこだわりが強く料理本を出版までしていることは過去作にも書かれていたたが、その辺りの拘りは本書でも頻出、刑事というよりも女性という側面を主体に男性作家によって書かれた作品である、という捩れのようなものも面白い。  また真相に辿り着くための執念、そしてたった独りの捜査を通じて知り合ってゆく関係者たちとの接し方も通常捜査というよりは、より個人的な被害者である<悪い男>への怒りと殺害者への情さえ感じ取れてしまう辺りが通常のミステリと完全に逆転していて面白い。おそらくこの作品にしか登場しないキャラクターたちも、皆どこか魅力的でしっとりした情景描写に、いつもながらのインドリダソン作品のディープな味わいを感じてしまう。  次作は同じ時期(つまり真の主人公であるエーレンデュル不在時)のシグルデュル=オーリを主人公にしたものだそうである。87分署みたいに人数はいないけれど日替わり主人公のような楽しみまで加わってきた本シリーズの今後、そして何よりもいずれ明らかになるであろうエーレンデュルの行方知れずの弟の行方という解に辿り着くまで本書は読み続けてゆかねばならない。その意味でも順に辿って全作を読んでゆきたいシリーズなのである。

Posted byブクログ

2024/01/22

本作はエーレンデュルが不在で、同僚のエリンボルクが主役。 今までは脇役だったエリンボルクが、女性への暴力に対し、毅然とした態度で忍耐強く事件解決に向けて奔走する様子が描かれ、好感が持てた。  また、彼女の家族との関わりにも焦点を当てており、新鮮だった。

Posted byブクログ