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アイスネルワイゼン の商品レビュー

3.3

33件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2024/02/14

アイスネルワイゼン 琴音の、苛立ち、揺れ、仮面、悪意、不本意な選択…。上手くいかない日常に潰されそうな、どうしようもない状況。 このどうしようもなさを諦めず超えるには大きな苦しみを伴う。完全に壊れてしまわないように自分を大切にし、時間をかけて超えて欲しい。そして、苦しんでいるから...

アイスネルワイゼン 琴音の、苛立ち、揺れ、仮面、悪意、不本意な選択…。上手くいかない日常に潰されそうな、どうしようもない状況。 このどうしようもなさを諦めず超えるには大きな苦しみを伴う。完全に壊れてしまわないように自分を大切にし、時間をかけて超えて欲しい。そして、苦しんでいるからこそ、彼女の弱さや、脆さ、浅はかな行動が、優しさ、強さ、思慮深さにいつか繋がって欲しい。でもやはり、できれば全てをそのまま包み込んでくれる信頼できる人に出会えることを祈る。 アキちゃん 「人を憎むということは、ほとほと疲れ果てることなのだ。 それは火柱を遠くからながめることではなく、自らを燃やして火柱をつくることなのだ。燃料さえも自足しなければならず、そうしなければほんとうに憎しみ抜くことはできない。こんなに邪魔くさく、気の滅入るものはないだろう。憎しみはつねに憎む対象への情熱をためしている。そして習慣的に人を憎んだことのあるひとならわかってもらえると思うが、ほとほと疲れ果てる憎しみを習慣にしだすと、憎しみの根本である怒りや悲しみはもはや怒りや悲しみではなくなってしまう。それは虚無になりさがるのだ。」 身体と心、家の状況、兄のこと、アキちゃんのたくさんを知り、蔑みや見下しも気持ちをコントロールすることである程度をかわしている。そして憎しみを持ちつつ気になって仕方がない。 人と関わりを持つあり方は様々だけど、憎しみに支配されないようにはしたい。

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2024/02/14

表題作の「アイスネルワイゼン」は、差別的表現かもしれないが、女性の振る舞いの怖さを表現しているように感じた。本音と建前を越える本能的な行動のように思え、そこに人間の業を感じる。私には刺激が強すぎてクラクラした。著者が文學界新人賞を受賞した「アキちゃん」も収録。こちらは、途中からの...

表題作の「アイスネルワイゼン」は、差別的表現かもしれないが、女性の振る舞いの怖さを表現しているように感じた。本音と建前を越える本能的な行動のように思え、そこに人間の業を感じる。私には刺激が強すぎてクラクラした。著者が文學界新人賞を受賞した「アキちゃん」も収録。こちらは、途中からの違和感が最後にすっきりするわけではなく、こちらも救いがない作品だった。悪い意味ではない。記憶に残る作品だった。

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2024/02/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

表題作と、「アキちゃん」の二作。 表題作は芥川賞候補作。 読んでいて、ずっとイライラするような、嫌な気分になるようなお話。 お客さんのおばさんはムカつくし、仕事を紹介してきた友達も話が違うし、めちゃくちゃストレスがたまる。でもこういうことって、生きていればあるよな…って思うけど、それだけではなくて、主人公はどこか変。遠距離の恋人とは、もう別れている感じなのに、事前に行くことも言わずにクリスマスに高速バスで来ちゃうし、結局会えずにすぐに他の友達?との約束を取り付けてまた新幹線に乗って戻るし、貯金カツカツなのに美容院の予約(しかも結構高い)しちゃうし。 持ち物も置いたところに置いてきちゃうし。 稼いだお給料も、こうやってすぐ使っちゃうんだろうな。何かの病気なのだろうか。 最後まで、え…なんで?って感じのザワザワした小説だった。 「アキちゃん」 アキちゃんはムカつく女の子だと思ってたら、実は男の子とわかったところは、え!?っと驚きがあった。こちらも、読んでてずっとイライラ、ザワザワするような小説。

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2024/02/03

「アイスネルワイゼン」 「アキちゃん」 二話収録。 苦手な芥川賞系の作品だが、非常に読みやすかった。 芥川賞候補作となった表題作はかなり強烈。 主人公は32歳のピアノ講師・琴音。 仕事も恋愛も上手く行かず、友人から頼まれたクリスマスイブのバイトでは散々な目に合う。 冒頭から...

「アイスネルワイゼン」 「アキちゃん」 二話収録。 苦手な芥川賞系の作品だが、非常に読みやすかった。 芥川賞候補作となった表題作はかなり強烈。 主人公は32歳のピアノ講師・琴音。 仕事も恋愛も上手く行かず、友人から頼まれたクリスマスイブのバイトでは散々な目に合う。 冒頭から不穏な気配が漂っていたが、途中からは悪意に次ぐ悪意で胸やけがしそうだった。 友人間で繰り広げられる非難の応酬。 辛辣な言葉のラリーに恐怖さえ覚える。 自暴自棄になり、琴音の軋んでいく心が不協和音を奏でているようでザラリとした印象を残す。 最後の場面は切ない。

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2024/02/01

情景描写や心理描写がほとんどなく、ほぼ会話だけの展開に面食らって、正直、流れがあまり頭に入ってこなかったです。 「アキちゃん」は嫌だなぁと思いながらも、先が気になって読み進みましたが。

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2024/01/26

仕事も恋愛も上手くいっていない。人間性が最悪な仕事相手と会い、世にも美しい家族愛に遭遇したりする。最悪な失恋をしてもドラマのように直後に新しい恋は始まらない。友だちの嫌な部分に無性にムカつき、過去の親の仕打ちに急に腹が立ってしょうがなくなる。 何も持っていない空っぽの人生なのに、...

仕事も恋愛も上手くいっていない。人間性が最悪な仕事相手と会い、世にも美しい家族愛に遭遇したりする。最悪な失恋をしてもドラマのように直後に新しい恋は始まらない。友だちの嫌な部分に無性にムカつき、過去の親の仕打ちに急に腹が立ってしょうがなくなる。 何も持っていない空っぽの人生なのに、それはどうしようもなく重い。 精神的に追い詰められ、いっぱいいっぱいになっていく主人公─── ほぼ会話文で進む話で、主人公の感情は全く語られない。その中でたまにズレた発言や行動をする主人公の人物像が浮かび上がってくる。主人公をヤバい人間だと思う読者の方が多いのかな…でも、人ってこんなもんじゃない?と思う自分はズレてるのだろうか…。 会話が小説として作られた感じではなく、現実の会話文を文字起こししたようなリアルさで面白い。会話の噛み合わなさに苛立ったり、話してる内にどんどん怒りが膨れ上がっていって自分でもコントロール出来なくなる様が上手い。 収録された『アキちゃん』も面白かった。アキちゃんみたいな女子っているよな…と思いながら読んでいたら、思わずえ?!っと声が出そうになった。ちょっとミステリ的な企みがある作品。

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2024/01/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

嫌な感じ(孤立する人間性、孤立させる己の傲慢さ)を徐々に浮き彫りにする手腕はそのまま、やっぱりどうしてもキャリーバッグのくだりが腑に落ちず。。 怒りの矛先がわからなくなる、急に大きな声を出す、在処のわからない強い感情をぶつけてしまう、そんな彼女がマックで若い女の子に「ただの良い人」として認定されるその一瞬、彼女は自分の感情の名前がわからなくて泣ける。 彼女のわからなさ、自分は何と戦っているのかわからないが故の不気味さと苦しさを、個人的には物理的な重さにたとえてほしくなかったけど、しかし移動するキャリーとその中身がずっと伏線(中身が軽くなるほど行き場がなくなる)としての小道具であるし、彼女自身、外郭のない苦しさに自覚的でなかったから、最後に出すとしたら物理的な重みでやっとわかる。。そういう使い方にはなるよなあ、など。。

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2024/01/18

第170回芥川賞候補作。 タイトル「アイスネルワイゼン」は「ツィゴイネルワイゼン」のもじり。本筋に関連あるようなないような微妙なワード。 とても居心地というか座り心地というか読み心地が悪い小説。そういう意味では芥川賞候補作っぽいと言える。 面白く読めました。 主人公が性格悪...

第170回芥川賞候補作。 タイトル「アイスネルワイゼン」は「ツィゴイネルワイゼン」のもじり。本筋に関連あるようなないような微妙なワード。 とても居心地というか座り心地というか読み心地が悪い小説。そういう意味では芥川賞候補作っぽいと言える。 面白く読めました。 主人公が性格悪いんですよ。 でも、読み始めはわからない。いかにも普通の人のふりしている。 だんだん本性が現れて嫌われていく人いるじゃないですか。まさしくそんな人。 主人公の視点で小説を読んでいて最初は感情移入しているから、途中から違和感が急上昇。あれあれあれ…って。 読んでいて、「自分ってそんなに無垢で純粋で正しくないんだー、悪いやつなんだー」と思い知ってショックを受けた若い頃を思い出した笑 併収されている「アキちゃん」も秀逸。 実は〇〇ではないアキちゃん。 感情というものがじぶんのものでありながらじぶんのものでないことをよくわかっていないと、けっこう、やっぱ大変だよね。 ♫蝶々(グリーグ)

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2024/01/15

主人公の行動に驚かされるが、読み手の中にも多かれ少なかれ共感できる部分はあるかと思う。 主人公が何かしらの障害を持っているかは読み手に任せられるがところどころの行動や言動で暗に触れている。 行間に隠されてる部分が多いが、意味合いが想像できれば素晴らしく面白い作品である。

Posted byブクログ

2024/01/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文學界10月号掲載 ⚫︎受け取ったメッセージ 大人の対応も限界あり。 いい人、悪い人って単純に決められない ⚫︎あらすじ(本概要より転載) 第170回芥川賞候補作。32歳のピアノ講師・田口琴音は、さいきん仕事も恋人との関係もうまく行っていない。そんな中、ひさびさに連絡をとった友人との再会から、事態は思わぬ方向へ転がっていくーー。静かな日常の中にひそむ「静かな崖っぷち」を描き、心ゆすぶる表題作。そして選考委員の絶賛を浴びた文學界新人賞受賞作「アキちゃん」を併録。 「すべての結果としてこの作品は、新人離れした堂々たる手腕を示すことになった」(川上未映子氏の選評より) ⚫︎感想(ネタバレ注意) 最後まで一気に読める。ほぼ会話と思考で表現されていて、読みやすい作品。琴音は、嫌だと思うことがあったり、言われたりしても、我慢して大人の対応をするのだが、もう限界となったら、本音を言う。その落差が印象的。彼女は一度も人生で本当に「愛すること」「愛されること」がなかったのかな、という印象も受けた ありそうなマウント取り、厄介なシチュエーションやらが満載で、大人は大人の対応してるけど、実際はイラッとしてたり、きっと他人にさせたりしてるよなぁ〜なんて思いあたることがあり、程度の差こそあれ誰もが共感できるところがあると思う。 言いたい放題してくる小林、周りくどい感じの優、母にもついにキレる、ピアノ教室に通う子の母にも決別。恋人にも取り付く島もない。最後にほんの少し救いの兆しか、気持ち回復の兆しがあってほしかったなぁとは思った。

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