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東京都同情塔 の商品レビュー

3.4

370件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2024/09/01

生成AIで書いた文章が芥川賞取ったらしいよ、というニュースが読書好き以外にも伝わった話題作。 その後、生成AIを使ったのは、小説全体の5%ぐらいで、使用箇所も生成AIの返信文のところであると、著者が自らコメントを残している。 物語は独特の世界観で、同情に値する人たち(犯罪者含む...

生成AIで書いた文章が芥川賞取ったらしいよ、というニュースが読書好き以外にも伝わった話題作。 その後、生成AIを使ったのは、小説全体の5%ぐらいで、使用箇所も生成AIの返信文のところであると、著者が自らコメントを残している。 物語は独特の世界観で、同情に値する人たち(犯罪者含む)を高層ビルに住めるようにして、ベーシックインカムのような生活を送れるようにする、といったもの。 生成AIが書いた本ってどんなもの?という興味で、普段読書しない人が読み始めるには、ハードルが高そうな本だなと感じました。

Posted byブクログ

2024/09/01

ザハ案による国立競技場が建設された世界線。生成AIを活用して描かれたのは新鮮だったが、主人公の心情が怒涛のの情報量で理解に苦しんだ。 読んだ後ふわふわした不思議な感覚になり、 多分何回読んでも理解出来ないと思う。 東京タワーが昭和塔にならなくて良かった。

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2024/08/31

すぐれた小説と言われて 読み手側が加速することをポイントにしたい。 物語ではなく、この作品は非常に癖のある思想のある登場人物の自分語りで進められる。そこで用いられる言葉、思いに触れ興味をそそられる加速する。 AI、東京都同情棟はあくまでフックに過ぎず、人は言葉でしか考え、行動...

すぐれた小説と言われて 読み手側が加速することをポイントにしたい。 物語ではなく、この作品は非常に癖のある思想のある登場人物の自分語りで進められる。そこで用いられる言葉、思いに触れ興味をそそられる加速する。 AI、東京都同情棟はあくまでフックに過ぎず、人は言葉でしか考え、行動している普遍的なことが癖のある思想で綴られた一冊。

Posted byブクログ

2024/08/31

第170回芥川賞受賞作。 生成AIを駆使して書かれた小説とのことで、気になり読んでみました。後で知ったのですが、生成AIの文章をそのまま使ったのは、全体の5%もなかったみたい… 東京オリンピックのときに一悶着あった、ザハ案の国立競技場が建設された、もう1つの日本。『犯罪者』を『...

第170回芥川賞受賞作。 生成AIを駆使して書かれた小説とのことで、気になり読んでみました。後で知ったのですが、生成AIの文章をそのまま使ったのは、全体の5%もなかったみたい… 東京オリンピックのときに一悶着あった、ザハ案の国立競技場が建設された、もう1つの日本。『犯罪者』を『ホモ・ミゼラビリス 同情されるべき人々』という寛容論が浸透した中で、新しい刑務所『シンパシータワートーキョー』のデザインコンペに参加する、建築家の牧名沙羅が主人公。 『ホモ・ミゼラビリス』の考え方について、理解できる部分はあるんだけど、諸手を挙げて賛成することはできないんだよな… でも、それを言語化できない自分が残念。 日本語の氾濫もテーマになっていて、特に沙羅のカタカナ嫌いは面白かった。“美しさもプライドも感じられない味気ない直線である上に中身はスカスカで、そのくせどんな国の言葉も包摂しますという厚顔でありながら、どこか一本抜いたらたちまちただの棒切れと化す構造物に愛着など持てるわけがない”らしい。よくここまで貶すことができるな。笑

Posted byブクログ

2024/08/31

 前作の「Schoolgirl」で、この人、間違いなく音楽が好きな人だと感じた九段理江さん、本書のタイトルも表紙のローマ字を見て「あっ、韻を踏んでる」と気付いたが、それは本編でも触れられていた。  九段理江さんの「KUDAN」が「QUDAN」なのは、きっと『QUESTION』...

 前作の「Schoolgirl」で、この人、間違いなく音楽が好きな人だと感じた九段理江さん、本書のタイトルも表紙のローマ字を見て「あっ、韻を踏んでる」と気付いたが、それは本編でも触れられていた。  九段理江さんの「KUDAN」が「QUDAN」なのは、きっと『QUESTION』のQだと思われた、その根拠は本書に於いても、実際には白紙撤回されたザハ・ハディドによる新国立競技場が存在する『ifの世界』であったり、表紙の写真が、虚構の東京を写真で作った安藤瑠美さんの『TOKYO NUDE』から引用したものであることからも感じられた。  そして、本書の主な登場人物たちが、過去の大きな心の傷を抱えながら現実と向き合う女性建築家と、格差社会の生々しさを描いたような生活の苦しさから法を犯さざるを得なかった母親の息子と、本国でレイシスト扱いされているアメリカの自称三流ジャーナリスト、この三人それぞれの視点で見た、日本に於ける言葉のあり方についての問いを投げかけられ、色々と考えさせられるものがあった。  もう少し細かく書くと、『現実を生きていく上でどうしても言葉に囚われてしまう』こと、それは本心とはまた別の不特定多数の人々を満足させる気の利いた言葉にせざるを得ないことや、何が何でも平等性を考慮しなければならないという自分への戒めにも近い厳しさで、言葉を無くしてしまったりといった、言葉の自由さについて。  次に、オープニングとマサキ・セトの祝辞で二度書かれた、『言葉は私たちの世界をばらばらに』してしまう、それは『勝手な感性で濫用、捏造、拡大、排除、その当然の帰結として、互いの言っていることがわからなくなった』ことで、これは年齢や地域や文化の違いによって生み出されたもの以上に、格差社会のあまりの凄まじさによって、理解の範疇を超えてしまった人々の悲しみを問いかけているようで、それは『生まれたときからほとんどの物事は、僕には関与できない遠い場所で進んでいた』に共感される方なら分かるかもしれない、多様性の素晴らしさは理解できても貧富差の辛さは理解できない、というよりも、これについては生まれ持った家庭環境等があるために当事者しか理解できないのではないかといった悲しみ、それを本書では『言葉と現実が離れ離れにならずに済むような世界を』と願いを込めた、その人にとって心から染み込む言葉とは何だろうと考えさせられた。  これを書きながら思い出したのが、過去のドラマの台詞『同情するなら金をくれ』であり、何でもかんでも、この言葉通りにするべきだとは思わないが、その人のことをもっと親身になって考えるきっかけにはなったのだろうという理由からしたら、名言なのだと思い、私も過去にこう言いたくなることは何度もあった、終わりの見えない生活の貧しさは心まで貧しくしてしまう。  三つ目は、『日本語とは縁もゆかりもない言語から新しい言葉を次々と生み出して、みずからの言葉を混乱させる理由は何なんだ?』という、日本人は思いの外にカタカナ言葉が好きだというような国民性の混沌さと共に、日本人の一つのイメージとして、常に曖昧な笑みを崩さず、内と外で言葉を使い分けるような振る舞いに対して、「日本人古来の印象=本来の日本語」は何処に行ったんだという問いかけなんだろうと思われた、こうした視点は外国人ならではなのかもしれない。  それから、肝心の「東京都同情塔」そのものについては、人それぞれで人生に大きく関わるようなデリケートな部分もあるため、ここでは何も書かずにおきたい。  それでも、『ユートピアと情報遮断は切っても切り離せない関係』、『言葉は、他者と自分を幸福にするためにのみ使用』、『自己存在を疑わずして、人はどうやって進化できるの?』等、そのままやり過ごすことのできないものは多く、言葉が私たち人間や世界にもたらすものについて、改めて思いを馳せてみたくなる。  最後に本書の文章の5%が生成AIによるものということについて、仮にそうとは知らず、その部分にとても感銘を受けた場合、そこにも日本人の書く言葉について考えさせられるものがあるのだと思い、それはまるで九段さんが自ら書いた文章を犠牲にしながらも、言葉のあり方について身を以て問い質したい、強い意志のようなものを感じられたのが、私にはとても印象的であった。

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2024/08/28

第170回芥川賞受賞作。 慣れない文体での言葉がどんどん注がれる、とても興味深くスラスラ読めるのに、内容を理解するとなると私にはかなり難解でした。何を伝えたかったのか....。解説が欲しい。もう少し読書を重ねて再挑戦したいです! 「犯罪者が犯罪者になる理由を、本人の人格や意思の...

第170回芥川賞受賞作。 慣れない文体での言葉がどんどん注がれる、とても興味深くスラスラ読めるのに、内容を理解するとなると私にはかなり難解でした。何を伝えたかったのか....。解説が欲しい。もう少し読書を重ねて再挑戦したいです! 「犯罪者が犯罪者になる理由を、本人の人格や意思の弱さなどに求めるのは、今やまったく科学的ではない」 「もしあなたが本当に、自制心があり、知能が高く、素晴らしい人格の持ち主なのであれば、自分とは異なる環境で生まれてきた人々を尊重し、心からの思いやりを抱くことができるはずです」 というところが印象に残った。 犯罪者は悪人ではなく、そもそもは被害者だど思えれば、犯罪者→ホモ・ミゼラビリス。刑務所→シンパシータワートーキョー、東京都同情塔と呼ぶようになれば、今いる犯罪者も世の中からの見られ方、捉えられ方が変わるのかな。 シンパシータワートーキョーと東京都同情塔とでも同じことを指してても全然捉えられ方が変わってくる。 言葉には、同じことでも言い方によって、全然違って見える力がある。言葉を大切に皆が幸せになれるような言葉を使っていきたいな。 最近の仕事中の文章でカタカナが溢れかえってるのもなんだか不思議なんだけど、言葉で未来がどう変わっていくのか楽しみ。

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2024/08/27

常に違和感を投げかけてくるような、とらえどころのない文体。現実のようでいて、少しづつなにかが現実ではなくて、いってしまえば分かりづらく読みにくい。けれども読み進めずにはいられなかった。 いまいる世界にありえたかもしれない、ありえるかもしれないユートピアあるいはディストピア。捉え方...

常に違和感を投げかけてくるような、とらえどころのない文体。現実のようでいて、少しづつなにかが現実ではなくて、いってしまえば分かりづらく読みにくい。けれども読み進めずにはいられなかった。 いまいる世界にありえたかもしれない、ありえるかもしれないユートピアあるいはディストピア。捉え方によってそれは変異する、相対的なものだ。

Posted byブクログ

2024/08/26

最近のネタが多く登場していて普段感じない現代さを読み取れた 東京都同情塔について書かれてると思いきや建築家とそのお友達(?)と言葉使いの荒い外人が軸になっている 犯罪者に同情する行為が正しいのかは最後まで分からない。うーんって感じ〜

Posted byブクログ

2024/08/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

独特な文体という印象。まず、一人称で主人公の女性建築家目線で話が進んだと思ったら、途中から違う人の一人称でまた話が進んだりして独特だった。 あと、あまりいらない隠喩とかあってちょっと気になった。吃音がコンプレックスの人が放火しないとか、これいる表現なのかな?と少し不快感。 発想というかパノプティコンのイメージを受けた東京都同情棟を起点に街を俯瞰する描写は色々と綺麗だった。時折、オリパラのことに触れられててあれ?実際どうだっけ?とかオリパラにそこまで興味ない人にはあまりわからない描写も。

Posted byブクログ

2024/09/08

芥川賞は難しい。新宿に豪華な刑務所タワーを建てるというところからして既に?カタカナは、わかりにくい時があるのは同感

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