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東京都同情塔 の商品レビュー

3.4

370件のお客様レビュー

  1. 5つ

    53

  2. 4つ

    95

  3. 3つ

    138

  4. 2つ

    39

  5. 1つ

    11

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2024/01/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

建築と言語を結びつけて、存在の規定について考えたことがなかったので非常に新鮮で面白かった。 平等、多様性というキーワードの本質を捉えきれないまま、言葉の持つ意味を暴走させたまま現実の議論が進めば、東京都同情塔が実際に建つ未来もあるのだろう。

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2024/01/26

めちゃくちゃ好きな文章です! 置いてけぼりにされる判らなさと、日頃から感じる日本人の言葉の使い方の扱い方。面白かった!

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2024/01/25

帯に「AI時代の予言の書」的なことが書いてあり、世間でもAIを駆使して作った作品だと話題になっていて、とても興味が湧いた。 読んでいて発見だったのは、「AI」について考える時、「言葉」の問題が必ずついてくるということだ。AIは世界に無数に散らばっている言葉を分析して学習して、そ...

帯に「AI時代の予言の書」的なことが書いてあり、世間でもAIを駆使して作った作品だと話題になっていて、とても興味が湧いた。 読んでいて発見だったのは、「AI」について考える時、「言葉」の問題が必ずついてくるということだ。AIは世界に無数に散らばっている言葉を分析して学習して、そこから言葉を生み出す。だからこの作品を読んだときに「日本語」について考えることにつながるのかと思った。 常々カタカナ語には頭を悩まされている。現代文の授業をする際、カタカナで書かれた小難しい言葉を見ると、日本語で書けばいいじゃないかと思う。確かに便利な側面もあるけれど、多くの人が知らない言葉(使っていけばそのうち広まるんだけれども)を、わざわざ使おうという感覚は理解できない。 その先にあるのは、「日本人が日本語を捨てる」という未来なのかもしれないなと、半分くらい作品に共感した。 それから「同情」については、人間の本性に迫るキーワードになっていて、そちらはそちらで興味深かった(これはもう少し自分に落とし込まないと語れない)。 芥川賞に選ばれる作品は、なまものだなぁと思う。理解するのは難しいし、すんなり読めないもどかしさはあるけれど、これからの時代を考えるにあたって、この作品を読めて良かったと毎回思わされる。

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2024/02/18

芥川賞受賞ということでミーハー心に火が着きすぐに書店に向かった。 ただ自分には少し早かった 綺麗事や建前により情報伝達が疎かになり表面上クリーンな世の中になってしまった漂白社会の皮肉。 カタカナを使うことで表現がマイルドになり言葉が刺さらない。 困った時はカタカナを使えばいいと...

芥川賞受賞ということでミーハー心に火が着きすぐに書店に向かった。 ただ自分には少し早かった 綺麗事や建前により情報伝達が疎かになり表面上クリーンな世の中になってしまった漂白社会の皮肉。 カタカナを使うことで表現がマイルドになり言葉が刺さらない。 困った時はカタカナを使えばいいという悪いことを思いついたりつかなかったり...

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2024/01/24

第170回芥川賞受賞作 九段理恵『東京都同情塔』 主人公は、通称シンパシータワートーキョーと呼ばれる新しい刑務所の建築に携わる建築家、牧名沙羅(マキナサラ)。 本人は、このシンパシータワートーキョーという通称に抵抗を覚えている。 この女性の思考は、とても興味深く、感銘を受けた。 ...

第170回芥川賞受賞作 九段理恵『東京都同情塔』 主人公は、通称シンパシータワートーキョーと呼ばれる新しい刑務所の建築に携わる建築家、牧名沙羅(マキナサラ)。 本人は、このシンパシータワートーキョーという通称に抵抗を覚えている。 この女性の思考は、とても興味深く、感銘を受けた。 頭の中に検閲者がいて、発する言葉一つ一つを取捨選択する。更に、この言語を積み上げ、作り出して行く事が、建築という自分が携わっている仕事に繋がっていくと信じている。いや信じたがっている。 本書を読み、そこで感じるもの、思う事を今、ここに記している訳だか・・・ 本当に伝えられてる? 本当に分かって貰えてる? そんな事を考えさせてくれる良作だと思った。 人は、言葉で表現し、言語を使い思考を表現するが、言語のみで思考するのだろうか? 喜怒哀楽を言語で表現する為に言葉に変換しているのであれば、奇しくも本書に登場する生成AIの様ではないかなどとも思ってしまった。 日本語を母国語とする我々日本人は、器用に外国語を取り入れ、翻訳し使いこなすが、外国人には、嘘つき呼ばわりされ信用されてないとも言われている。 言葉は、進化している。 古事記、枕草子、源氏物語は、もはや原書では、読めず、現代語訳や解説が必要であろう。 芥川龍之介も夏目漱石もしかり、江戸川乱歩も横溝正史も読みずらいと思う昨今 日本語は、何処にいくのだろう? 感情や思考を表現する言語は何処に? などと考えてしまう作品でした。 改めて芥川賞受賞おめでとうございます。

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2024/01/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

全然わからなかった。 あまりにも観念的な描写が多くて、様々なテーマが交錯していて、どれも自分の中では消化不良のまま終わってしまった。 マックスクラインの記事は好きだった。 自分がもっと「言葉」というものに対して意識的になったらわかるようになるのかもしれない。 少なくとも、「生成AIで書いた小説なんてけしからん!」って言ってる人たちが概ね大馬鹿ものであることは理解できたので一読の価値はあった。

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2024/01/24

Amazonの紹介より 第170回芥川賞受賞作! 日本人の欺瞞をユーモラスに描いた現代版・バベルの塔 ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名沙羅は、仕事と信条の乖...

Amazonの紹介より 第170回芥川賞受賞作! 日本人の欺瞞をユーモラスに描いた現代版・バベルの塔 ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名沙羅は、仕事と信条の乖離に苦悩しながらパワフルに未来を追求する。ゆるふわな言葉と、実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書。 芥川賞を受賞されたということで読んでみました。 芥川賞作品の中では、比較的読みやすい方でした。文章の表現として特徴的だったのが、プツッ、プツッと短い言葉で句点をうっていることでした。 「○○しなければならない。〇〇べきだ。」 といったように時折、句点と句点の間の文章がとても短めに登場します。リズミカルではないのですが、読む時、アクセントとして印象深くさせてくれました。 どこかの記事で読んだのですが、生成AIが一部導入されているということで、どこの部分かはわかりませんが、文章としてどことなく冷たい印象もありました。 登場人物に文章が寄り添っているわけではなく、どこか突き放していて、嫌っている?あるいは無機質といいましょうか、淡々としているのか、登場人物達に文章が冷たくあしらっている感覚がありました。 もしかしたらそれは短めな文章の影響なのか、生成AIが書いたのかわかりませんが、全体的にそれが特徴的なんだなと思いました。 内容を見ていくと、文章の表現について深掘りしていました。特に印象深かったのが、同じ意味なのに漢字表記とカタカナ表記にすることで、違う印象を受けることでした。 漢字だと堅苦しく、どこか突き放している印象でした。ところが、カタカナにすると、表現が柔らかく、親近感が生まれます。 ただ、これを犯罪といった言葉が絡んでいくと、違和感が生まれます。文字の不思議さと気持ち悪さを感じました。 今まで、そういった再発見に注目することがあまりなかったので、「確かになぁ」と新鮮味がありました。 また、一つの出来事によって、様々な解釈をするということが描かれています。そりゃ、全く同じ考えを持っている人はいません。人が多ければ、それだけ考え方も様々です。 小説内では、賛否両論の意見が書かれていましたが、第三者としての読者が読むと、 「なんでそう思う?」 「その意見は同感だな」 といった、また新たな解釈を発見することができました。 ただ、それはなかなか一歩前に進めないことに繋がります。 いくら話をしたところで平行線のままであります。 本編では、様々な意見が飛び交いますが、なんか論点をずらして語っているものもあれば、話をごちゃごちゃにしているものもあって、他人と生きることの難しさを感じました。 言葉の表現によって印象を変える。なんとも魔法のような存在感でしたが、目の前にある印象だけでなく、本質の部分を探らなければいけないなと改めて感じました。

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2024/01/24

祝芥川賞。 生成A Iを駆使して執筆したという今どきの作品。 東京都同情塔は刑務所のような施設だが、収容される人は従来「犯罪者」と呼ばれ差別を受けてきた「ホモ・ミゼラビリス」=同情されるべき人である、といにも今どきありそうな設定で笑ってしまう。 しかも東京都同情塔は、新国立競...

祝芥川賞。 生成A Iを駆使して執筆したという今どきの作品。 東京都同情塔は刑務所のような施設だが、収容される人は従来「犯罪者」と呼ばれ差別を受けてきた「ホモ・ミゼラビリス」=同情されるべき人である、といにも今どきありそうな設定で笑ってしまう。 しかも東京都同情塔は、新国立競技場(ザハ・ハディドの設計のやつ)のすぐそばというロケーションで、入ったら出たくなくなるような住み心地の良い「言葉にならないほど幸せ」な施設。 とんでもないですわね。 で、この小説のテーマはおそらく「言葉の存在意義」なんだと思う。 人間が言葉で理解し合えないのなら、何のために言葉は存在するのか?という。 難しいけど、知的で読んで満足できる小説です。 さすが、芥川賞! ♫魔法のコトバ/スピッツ(2006)

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2024/01/23

私にはちょっと早かったかも、 混沌としていて意味があまり分からなかった。 ただ、日本語は嘘を最後まで突き通すための言語 という言葉が刺さった。

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2024/02/14

#東京都同情塔 #九段理江 24/1/17出版 https://amzn.to/3UdhJa9 ●なぜ気になったか 芥川賞作品は無条件に読む。おおむね「純文学系」の芥川賞作品は?な読後感が多いが、読書経験を積むにつれそれが普通と思えるようになった。今回はどれほど?な作品なのか楽...

#東京都同情塔 #九段理江 24/1/17出版 https://amzn.to/3UdhJa9 ●なぜ気になったか 芥川賞作品は無条件に読む。おおむね「純文学系」の芥川賞作品は?な読後感が多いが、読書経験を積むにつれそれが普通と思えるようになった。今回はどれほど?な作品なのか楽しみ ●読了感想 読むのが辛くなるほどの?はなかったが、一読では面白いと思えなかった。選択されたテーマは僕が社会の主張にモヤモヤを感じるものでもあり、その選択には共感。何度か読み、読み解くことで楽しめる本と思えた #読書好きな人と繋がりたい #読書 #本好き

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