東京都同情塔 の商品レビュー
芥川賞受賞作品です。 現実の世では実現していないザハ案の国立競技場が建設されたという設定で、主人公の女性建築家がその脇に東京都同情塔(刑務所)を立てたというお話です。 本書で一番考えさせられたのは「言葉」の使いかた。 和製英語のような、分かるようで分からないカタカナコトバで意味...
芥川賞受賞作品です。 現実の世では実現していないザハ案の国立競技場が建設されたという設定で、主人公の女性建築家がその脇に東京都同情塔(刑務所)を立てたというお話です。 本書で一番考えさせられたのは「言葉」の使いかた。 和製英語のような、分かるようで分からないカタカナコトバで意味をぼかしたりニュアンスを変えたり、そういうのでごまかされるってあるなって思いました。 この著者、主張は鋭いのに、哲学的なところがあって難しかった・・・頭の悪い私には何を言いたいのかメッセージがうまく受け止められませんでした。 AIとかジェンダーとか、犯罪者をどう扱うべきかとか、いろいろ考えるべきことが並べられているんですけどね。 なんかもったいない。
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読み始めたら止まらず、それでいてときどき考え込み言葉を染み込ませ…ここ数年で一番心奪われた2時間弱。幸せな時間でした。 人物描写が魅力的すぎる。言葉選びが好きすぎる。共感の強要は今現在も気付かぬうちに受けていそう。 語りたいエッセンスがたくさん。
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3.6点 "小説と新書と社会問題と" 出だしから表現が独特と感じたが、途中から無駄に学力のある厄介オタクのように感じ拒否反応を覚えた。 ただ、読み進めるとそれは薄れて今度は新書のような内容が挟まれ、なんとも掴みどころのない小説だ。 飛躍した内容ではある...
3.6点 "小説と新書と社会問題と" 出だしから表現が独特と感じたが、途中から無駄に学力のある厄介オタクのように感じ拒否反応を覚えた。 ただ、読み進めるとそれは薄れて今度は新書のような内容が挟まれ、なんとも掴みどころのない小説だ。 飛躍した内容ではあるが賛成できる点もあり、ラストは銅像となるという有限ではあるが永遠を感じるものに怖さを感じた。
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東京都同情塔という名の刑務所のような建築物を魚?に自分自身だったりAIがらみの言葉遊びだったり? だからどうなんだろう?と考えてしまいました。 短い小説なのに時間がかかったということは理解できてないせいでしょう。
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2020年前後3年付近の「現実」のオリンピックのゴタゴタやネットやSNSの空気を抑えてないと5年後にすらオーパーツになってそうな作品。そもそもSNSに触れてない人間には何が書いてあるか理解できないと思われるけど、文学賞がこれでいいんだろうか。
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たった140ページの中にものすごい情報量。文章が難しい訳ではないけど、一つ一つきちんと読み解いていかないと状況がつかめないので、読むのに時間がかかった。時代背景、社会問題、人物像、登場人物の繋がり…バラバラに投げられたピースが、気がついたらうまくおさまっていた。 プロットはどのよ...
たった140ページの中にものすごい情報量。文章が難しい訳ではないけど、一つ一つきちんと読み解いていかないと状況がつかめないので、読むのに時間がかかった。時代背景、社会問題、人物像、登場人物の繋がり…バラバラに投げられたピースが、気がついたらうまくおさまっていた。 プロットはどのように作られたんだろう? 犯罪者に同情するという、そもそものところがあまり共感できなくて、はまることはなかったけど、今までに読んだことのないタイプの小説で面白かった。
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2024.10.14 54 オーディオにて。いろいろ考えについて語るのよい。芥川賞。ハマる気もする。
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犯罪者は"同情"すべき存在。 牢屋で人権を奪った生活をさせるのではなく、穏やかに快適な時間(刑期)を過ごせるようにと、大都会のど真ん中に、"シンパシータワートーキョー"という超高層刑務所タワーを建てる。 主人公は建築家の牧名沙羅。シンパシー...
犯罪者は"同情"すべき存在。 牢屋で人権を奪った生活をさせるのではなく、穏やかに快適な時間(刑期)を過ごせるようにと、大都会のど真ん中に、"シンパシータワートーキョー"という超高層刑務所タワーを建てる。 主人公は建築家の牧名沙羅。シンパシータワートーキョーの設計を担う。 彼女の、言葉や思想への固有の態度から、その天才ぶりに惹かれてしまった。いかにも芥川賞を攻略した作品、という風が終始吹いていて格好良かった。 このわかりきれない心地よさは、映画「君たちはどう生きるか」を見終わった時のそれと似ていて、とても好感を持てる。そして映画同様に、この作品も評価も割れるようだ。
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多様性を謳いながらも言葉が平準化していく。寛容を謳いながらも人を傷つけることに対する過剰な不寛容が力を増していく。 このようなスッキリしない現代の空気感をスッキリさせないまま一冊の面白い本として成立しているのがすごいと思いました。 何十年後かに読み直したら、これをどう感じるのだろ...
多様性を謳いながらも言葉が平準化していく。寛容を謳いながらも人を傷つけることに対する過剰な不寛容が力を増していく。 このようなスッキリしない現代の空気感をスッキリさせないまま一冊の面白い本として成立しているのがすごいと思いました。 何十年後かに読み直したら、これをどう感じるのだろうかとか考えるとワクワクします。
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中毒性のある文章 静かなところでじっくり読み始めた方が良い。 雑多なところで読み始めたときは全く頭に入ってこなかった。 もう一度静かな状態で読み直したら、だんだん面白くなる。 新国立競技場のザハ案が建っている世界。 かつて建築学生だったので、確かにザハ・ハディド案は凄かったな...
中毒性のある文章 静かなところでじっくり読み始めた方が良い。 雑多なところで読み始めたときは全く頭に入ってこなかった。 もう一度静かな状態で読み直したら、だんだん面白くなる。 新国立競技場のザハ案が建っている世界。 かつて建築学生だったので、確かにザハ・ハディド案は凄かったなと思い出す。アンビルトの女王 建築と言語化 言葉と意識 言葉を正しく使うこと 正しくとは?脳内検閲 東京都同情塔という、犯罪者を収容する塔だけに、犯罪者とは?という話を深く掘っていく話かと思っていたが、どちらかというと建築家の脳内の葛藤。それをAIと生身の人間のやりとりで模索している感じ。 建築をこの世に生み出すことそのことについての建築家の葛藤。 そして拓人とお母さんの関係が少しだけかすられる。 タワーのルールにこめられた言葉へのルール 同情という言葉。どういうことだったのか。ぐるぐるじわじわ余韻というか、思考が残る。 最後の描写は難しすぎた。 これが芥川賞かあ。なんとも不思議な本だった。 追記 ネットの考察を読んでようやくもう少しわかった。芥川賞受賞会見の九段理江さんの言葉を読んで、そういうメッセージだったのかと。 芥川賞受賞会見の九段理江さんの言葉は再読記録で。
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