マリはすてきじゃない魔女 の商品レビュー
あらすじ(エトセトラブックスより)だれかのための「すてき」はもういらない。自分の心に素直になれば、あなたも「魔女」になれるかも!? ふたりの魔女ママとくらす11歳の魔女マリは、食いしんぼうで、おしゃれが大好きな女の子。「魔法は自分のために使ってはいけない」きまりを今日も忘れ、ジ...
あらすじ(エトセトラブックスより)だれかのための「すてき」はもういらない。自分の心に素直になれば、あなたも「魔女」になれるかも!? ふたりの魔女ママとくらす11歳の魔女マリは、食いしんぼうで、おしゃれが大好きな女の子。「魔法は自分のために使ってはいけない」きまりを今日も忘れ、ジャムドーナツを「倍数の魔法」で巨大化させたから学校じゅうが大パニック! 親友ふたり、算数が得意なスジと魔女に憧れるレイのおかげで無事だったのに、ママからはお説教。大人たちは、みんなと生きるためには、人の役に立つ「すてきな魔女」になりなさいっていうんだけど、それってなんかヘンじゃない……? 『本屋さんのダイアナ』『らんたん』の柚木麻子、初の児童文学! マリにふりまわされながらも、町のみんなが自分のための魔法を見つけていく物語。小学中学年から大人まで/総ルビ/挿絵入り。(https://etcbooks.co.jp/book/mari/) Twitterで見つけた以下の記事が良かったので読んでみた。 https://www.cinra.net/article/202403-majo_imgwyk これは素晴らしい!児童文学なのですごく読みやすくて、なのにしっかり深い。 この物語で描かれる魔女の歴史は、人種やセクシュアリティ、あらゆるマイノリティの歴史に重なる。 マジョリティである「人間」(そもそも魔女だって人間なのだが)に受け入れてもらうためには、魔女は「脅威」と思われないように自分を抑え、かつ、人間たちへの手助けを惜しまない品行方正で優秀な人物(=すてきな魔女)であることが求められる。そしてすてきではないとされた人物や文化は排斥される。表向きには共生が実現しているように見えるけど、誰かが我慢する、孤独を感じることを強いる社会になっていないか?と絶妙なストーリーで気づかせてくれる。 この短いストーリーの中で、さまざまなテーマにスポットを当てていることに驚かされるのだけど、年齢、歳をとることについての描写もすごく良かった。歳をとることは悲しいことではなくて、むしろ威厳を与えるような、そんな描き方。 登場人物たちの設定も絶妙で、物語をよりリアルにしている。 社会規範にとらわれず、自分のために自分の力を使うマリ、 すてきな魔女に憧れる、トランスジェンダーのレイ、 人一倍の努力でみんなが憧れるすてきな魔女になったグウェンダリン、 名門一族に生まれ、コンプレックスを感じているユキ、 すてきな魔女として魔女が生きる道を切り拓いてきたモモ、 自分として生きることを選んだマデリン、などなど… あとちょっと話が逸れるけど、作者あとがきが自分のことのようで泣きそうになった笑 図書館連れてってもらって魔女・魔法の「ま」の絵本の棚の前にずっといたな… これはぜひ小中学校の図書館に入れて子どもたちに読んでほしい。 あとアニメ映画化とかもしてほしい。
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だれかのための「すてき」はもういらない。ふたりの魔女ママとくらす11歳の魔女・マリは食いしんぼうでおしゃれが大好きで自由奔放。人の役に立つすてきな魔女になりなさいと大人たちはいうけどそれって本当に「すてき」なのか。 自分に正直に。自分のための魔法を見つけていくこと。ジェンダー、差...
だれかのための「すてき」はもういらない。ふたりの魔女ママとくらす11歳の魔女・マリは食いしんぼうでおしゃれが大好きで自由奔放。人の役に立つすてきな魔女になりなさいと大人たちはいうけどそれって本当に「すてき」なのか。 自分に正直に。自分のための魔法を見つけていくこと。ジェンダー、差別、働き方など、いろんなものがたくさん詰め込まれる。一読では消化しきれないな。それぞれの人のそれぞれの生き方に考えさせられるものがある。
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「人の役に立つすてきな魔女になりなさい」 石の花町で暮らす魔女たちは、小さな頃からそう教わってきた。 人間からの迫害を逃れるにはそうするしかなくて、先人の努力によってようやく今の暮らしが実現したのだから、と。 でも若い魔女たちの間では、すてきであることに反発する動きも強まっていて...
「人の役に立つすてきな魔女になりなさい」 石の花町で暮らす魔女たちは、小さな頃からそう教わってきた。 人間からの迫害を逃れるにはそうするしかなくて、先人の努力によってようやく今の暮らしが実現したのだから、と。 でも若い魔女たちの間では、すてきであることに反発する動きも強まっていて…。 お前は存在していい/してはいけない と他者から査定されることのグロテスクさ。 他の魔女や人間たちのためと思って必死で働いても、都合よく搾取された挙句に手のひら返しをされることも。 すてきじゃないと許されないって、おかしいんじゃない? 主人公のマリは寝ること、食べること、おしゃれをすることが大好きで、自分の望みを叶えるために魔法を使う。ドーナツを巨大化させたり、髪や目の色を変えてイメチェンしたり。 すてきじゃないとされる魔女像なのになんだかとびきり素敵で、自由。 そして自分がどうしたいか、何をすれば幸せかを理解しているマリの放つ魔法は人一倍パワフルだ。 自分の気持ちを大事にすることや、自分にとってのすてきを考えるきっかけにあふれた、可愛くて楽しいお話。 大人が読んでも胸が躍る。 あと美味しそうな食べ物がたくさん登場するので、真似して作ってみたくなった。
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ランチのアッコちゃんで柚木麻子ファンになり、デビュー作から全ての本を所有し読んでいましたが、ナイルパーチ、奥様は、BUTTERを読んだあたりから柚子離れしちゃっていました。 でも最近、児童書コーナーを歩いていたら見つけた本作。 少し立ち読みし、それだけでやっぱり柚木麻子作品好き!...
ランチのアッコちゃんで柚木麻子ファンになり、デビュー作から全ての本を所有し読んでいましたが、ナイルパーチ、奥様は、BUTTERを読んだあたりから柚子離れしちゃっていました。 でも最近、児童書コーナーを歩いていたら見つけた本作。 少し立ち読みし、それだけでやっぱり柚木麻子作品好き!と思い、久しぶりに買ってみました。 さすが柚木さん、出てくるお料理が美味しそうだったり、主人公の周りにいる人たちみんなが魅力的だったりと、読んでいて楽しかったです。 主人公のマリが落ち込んだり活躍したりみたいなお決まり要素もありつつ、現代の多様性を絡めた児童書で、教訓めいた感じはあるものの、純粋に魔女への憧れやわくわくをも感じられる素敵な作品でした。(魔女じゃないマリのお友達も素敵!) はあ〜、大好き。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「リュークスリュークスフィルフィルルー」 マリがこの呪文を唱えた時、すぐに思った、『ダイアナの呪文だ』と。 フェミニズムを意識するようになり意図的に情報を手に入れるようになり、そうして知ったこの本の発行をとても楽しみに待っていた。少し時間はかかったけれどやっと読み終えて、とても幸せな気持ちと、自分の至らなさと、これからの少女たちへの気持ちで胸がいっぱいになった。同作者の、『本屋さんのダイアナ』を読み終えた時の感想ととても似ている。 先程書いた呪文が出てくるのは比較的物語の始めの方だか、その時点ですでに、この気づきが私にこの本の素晴らしさを早々に知らせていた。 「誰もが自分らしくいられること」を大切にしたい気持ちが強い私にも、「より良くあろうとしない人」に対するいらいらやもやもやが発生してしまうことはよくあって、そこから目を背けないためにも必要な物語だったように思う。 「いい子は天国に行けるが、悪い子はどこにだって行ける」 「お姫様より魔女になりたい」 という言葉たちをずっと思い出しながら読んでいた。 どれもこれも書き留めておきたいけれどあまりにネタバレになるので、読み終わった人が読むと思って大好きだったフレーズをふたつ。 『上品できちんとしていて、勇気があって、ピンチになっても落ちついて、ベストな行動がとれる。それがレイの信じてきた「すてき」です。であれば、いまの自分は最高にすてきではないでしょうか。 もう魔女学校には入れなくてもいい。心に描いたことを現実にできるのが魔女なら、自分だってりっぱな魔女です。』 『モモおばあさまはむかしからほんとうはずっとこう願ってきたのです。自分よりももっと若いあとの世代の女の子が、もっと自由に、もっと気楽に生きられるそんな世界になりますように、と。これでまちがっていなかったし、遊べなかったじかんは、これからとなりにいる大親友とゆっくり取りもどせばいい。』
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セクシャル・マイノリティにも触れた作品だけど、違和感なく楽しめる作品。自分に正直に生きていいと思わせてくれる。中学年以上に勧めたい。
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図書館。 新しい時代の児童文学、という感じ。児童用だからかお話の展開がくるくると早かったけど、そして飲み込むのに時間かかった設定もあったけれど、楽しい話だった。
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自分が子どもの頃読んでいた児童文学は、子どもたちが何かを成し遂げて大人までも救ってしまう、という展開が多くて、そういった子どもに憧れていた。だから、この作品は大人たちが社会を良くした先に子どもが活躍できる未来がある、という当たり前のことを、ここまでワクワクする形で示していてびっく...
自分が子どもの頃読んでいた児童文学は、子どもたちが何かを成し遂げて大人までも救ってしまう、という展開が多くて、そういった子どもに憧れていた。だから、この作品は大人たちが社会を良くした先に子どもが活躍できる未来がある、という当たり前のことを、ここまでワクワクする形で示していてびっくりした。最後までだらしなくて自己中でも最高な主人公になれるし、偉大な何かをしなくても楽しい毎日を送ることはできる。「すてき」なことと、優しいことは違う……色んな人生を重ねてきた魔女たちが大切なことを教えてくれた。是非ハリーポッター並に続いてほしい、シリーズ化希望。
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何かを決めつける事に対して、徹底的に対抗していて最高! 性や出自や血縁、容姿、あらゆるしがらみを網羅しているけれど、それらに対する問題意識だけを持って読むのではなく 本当に愛らしくて、前向きになれるひとつの物語として大好き! 自分がこうしたい、と思ったことを現実にできることこ...
何かを決めつける事に対して、徹底的に対抗していて最高! 性や出自や血縁、容姿、あらゆるしがらみを網羅しているけれど、それらに対する問題意識だけを持って読むのではなく 本当に愛らしくて、前向きになれるひとつの物語として大好き! 自分がこうしたい、と思ったことを現実にできることこそが「すてき」。心に刻みたい
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柚木麻子さんの、キャラクターたちのいいところをそれぞれが自然と受け止めあい、苦手なところは協力して補い合う関係性が、初めての児童文学とされる今作でも変わらず読むことができた。 魔女と人間、この生き物の違いはどこに? 共存するってどういうことだろう?そんなことを、読後ぼんやり考えた...
柚木麻子さんの、キャラクターたちのいいところをそれぞれが自然と受け止めあい、苦手なところは協力して補い合う関係性が、初めての児童文学とされる今作でも変わらず読むことができた。 魔女と人間、この生き物の違いはどこに? 共存するってどういうことだろう?そんなことを、読後ぼんやり考えた。 読むと必ず元気が出て、前に進める作家さん。 (交友関係がなかなかに狭い私にとっては、シスターフッドの物語は最も憧れる関係性にうつるなー…時間がかかっても、こういう女友達ができますように) 素敵な人って私は好きで、気がつくと自然と素敵な人に近付きたいと無意識でも行動してしまうことがある。人の目を気にせずに行動をしきることがマリにとっての幸福というのもよかった。 本物の魔女になれなくても、自分にとってなりたい姿を重ねていくことで、自分自身(魔女であり、素敵なひと)になれたレイには、グッときた。
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