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ともぐい の商品レビュー

3.9

223件のお客様レビュー

  1. 5つ

    49

  2. 4つ

    94

  3. 3つ

    57

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

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2024/09/10

狩猟者の本です。街には属さない山で暮らしている明治〜大正時代の物語ですね。自給自足で生活できる山、昔の山は食材の宝庫と言いますからね。 狩って獲物を売って生活しているのですが、 言葉の描写がうまく実際の山の生活が頭に浮かんでくるような錯覚で物語に没入できました。 熊や鹿の動きや人...

狩猟者の本です。街には属さない山で暮らしている明治〜大正時代の物語ですね。自給自足で生活できる山、昔の山は食材の宝庫と言いますからね。 狩って獲物を売って生活しているのですが、 言葉の描写がうまく実際の山の生活が頭に浮かんでくるような錯覚で物語に没入できました。 熊や鹿の動きや人の動き自然の移り変わりなど。 人がどう変わっていくのか、汚い部分から良い部分まで。時代の流れがわかり話の展開もおもしろかったです。 良くない事とわかって言いますが、 人の不幸・不遇の話は何故かどんどん気になってこの後どうなるのかと読み進めてしまいますね。。。 ハッピーエンドではない話です。

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2024/08/30

難しいことを考えず単純な感想としては、この主人公の熊爪はめんどくさいタイプだなと 他人のもろもろのことはどうでもいいし、めんどくさいと考えるのに、、 明治時代に山奥で1人で猟師として生きる熊爪 そんな男のはなし 強い熊と戦う話かなー 最後熊と人は相打ちになるから「ともぐい」? ...

難しいことを考えず単純な感想としては、この主人公の熊爪はめんどくさいタイプだなと 他人のもろもろのことはどうでもいいし、めんどくさいと考えるのに、、 明治時代に山奥で1人で猟師として生きる熊爪 そんな男のはなし 強い熊と戦う話かなー 最後熊と人は相打ちになるから「ともぐい」? とかって思ってたけど途中からそうじゃないと気づく 最後の最後のエピローグ的なところだけよかった

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2024/08/27

情景がぱっと目の前に浮かぶ文体に引き込まれました。しかしながら美しい内容ではないのでキツかったです。女性が書いたとは思えない残酷な描写と共感できない主人公…。良い読書体験を得られましたが思い出すとブルッとなります。

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2024/08/26

河崎秋子さん著「ともぐい」 初読の作家さんで本作品は第170回直木賞を受賞した作品。 舞台は明治時代、日露戦争開戦前の北海道の田舎町。この近代国家と歩みだしたばかりの時代背景がかなり物語の重要なプロットとなっていた。 北海道の片田舎で情報やら最新文明や近代化等が及んでいない、限...

河崎秋子さん著「ともぐい」 初読の作家さんで本作品は第170回直木賞を受賞した作品。 舞台は明治時代、日露戦争開戦前の北海道の田舎町。この近代国家と歩みだしたばかりの時代背景がかなり物語の重要なプロットとなっていた。 北海道の片田舎で情報やら最新文明や近代化等が及んでいない、限られた生活環境の中で住人達は暮らしている。それがとても原始的で自然的な営みに思え魅力的に感じられた。 物語も中盤まではただ面白くすんなり読んでいた。熊爪という天涯孤独な男の壮絶な熊との戦いが大自然を舞台に描かれており読んでいて漂う臨場感が素晴らしかった。自然の中で生きるとはこういうものかと考えながら読んでいた。 しかしこの作品、最後が強烈すぎる。 今も色々と考えながら書いているのだが、「ともぐい」というタイトルに沿ってこの作品を熟考してみるのが一番筋道が通るのではないかと感じている。 熊爪の最期の描写、陽子に殺されるシーン。 自然界の熊の生態の描写等が伏線となっており、それと同等の事が人間界でいたって自然に行われただけなのではないか? 人間的な考え方で因縁やら殺人動機とかを考える事より、もっとシンプルで動物学的発想で捉えると腑に落ちてくる。 そもそも熊爪も陽子も愛や家族や学や社会に触れて生きてきていない。そういう所で育まれる情を深く持たない生き方をしてきている。逆に言うと知らずに育ってしまっている。 熊爪は犬に名前をつけない、家族愛を知らない、性欲に関しても男というよりは雄と言った方が的確で、全てにおいてかなりシンプルな発想力と行動力でいかにも動物的である。 陽子も見えるものを見ない、自らの子に名前をつけない等からもだいぶ野生的な鋭角的な思考の持ち主。二人は動物界の中での人間として、その秩序の中でも各々彼らなりの秩序が存在していた。 人間としてみてみれば軽薄だが動物としてみてみれば濃厚な秩序が読み取れる。 その延長線上でこのラストシーンを「ともぐい」と言われれば確かに同形種の二人だからだろうと頷ける。 この二人をいわゆる人間としての物差しの目線で見てしまえば最期のシーンはホラーに近いものになってしまう。 もっとシンプルな人間という生態の描写なのだろうと考える。 陽子はただ子供を守りたかった、もしかしたら身籠った熊爪の子は女の子だったのかもしれない。その子を守るためには熊爪の存在が邪魔になり、その為に殺したのでは?と考える。 非常に特殊な見えにくさ、読み取りにくさがある作品だった。 一読者として自分はこの終わり方よりも熊爪と陽子と子供達と犬とでもっと人間味溢れる家族愛を構築し深めていく未来を見たかったと感じてしまう。 直木賞受賞作という前振りでこの作品を手にとったがこんなにも考察しないと腑に落ちない作品は珍しいと感じている。 そういう意味ではとても印象に残る作品だった。

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2024/08/25
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アイヌの狩猟法が描かれる作品というと 「ゴールデンカムイ」。 熊を倒したり、リスやウサギをさばいて アシリパさんがヒンナヒンナ言いながら 食べるシーンは微笑ましく、食べてみたいとさえ思ったが、 本作は文章だけなのに血や獣のにおいがして 全く食べたいと思えない。 その細部に渡る表現力には感服。 そして自分を助けてくれた赤毛の熊を殺したり、 犬の扱いもかわいそうだったり 極度に周りに無関心の主人公、熊爪の目線で語られるため、周りの人物の掘り下げが浅いように思えた。 山の男として生き抜くのかと思ったら えーそんなーて感じの結末で、、、私には合わない話だった。ごめんなさい。

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2024/08/22
  • ネタバレ

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猟師の熊爪。アイヌの村で養父に育てられた。鹿を撃ち殺す。内臓を食べた後、肉を売りに街へ。良輔に頼まれた鹿の睾丸わたす。肉と毛皮を売り小屋に帰る。熊に襲われた猟師太一を助ける。右目は眼球を失い、左目はかすんでしまい猟師はできない 太一を襲ったのは穴持たず。猟犬と穴持たずを追う。穴持たずは、赤毛と雄熊と殺し合い。熊爪が殺す前に赤毛に穴持たずは殺されて食われた。赤毛と追う。猟犬が見つけて鼻にかみつく。至近距離で心臓を打ち抜き赤毛を殺す。激しい勃起。赤毛の腹を裂き挿入。すぐに射精。汚してしまった肉は持って帰らず。 腰骨骨折。様子を見に来た医者から薬をもらう。自力で街へ行くが到着すると気絶 良輔の妻が漁師と浮気。盲目の女、陽子をもらうことにする。妊娠している。 出産に立ち会う。男子が生まれた。雄熊は雌熊の子熊を殺して食べる。自分の子供がどうかもわからない。熊爪は赤子を殺さず。子育て中はさせてくれない。半年後にするようになり妊娠。行為の後に女に殺される。理由は必要なくなったから。 死ぬ間際に猟犬がやってきて手をなめている、イケというと去っていった。 ロシアと戦争がはじまる、亮輔の商売も失敗し没落。葬式もなし。 盲目の子ずれの女が花街で評判になる。猟犬を手なずけた男。猟犬は熊爪が死んだ小屋まで男を連れて行った。肉体は食べつくされ人が動物かも不明

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2024/08/21

ここまでの内容とは知らずに読了。 熊と対峙して生きていく猟師の話かなぁなどと思いながら読み始めたところまさか最後はこんな展開になるとは。 とにかく自然の中で自然に生きていく、というよりかは自然にしか生きられない男の話。 森の中で四季を感じながら狩猟し自給自足の生活をして孤独と自由...

ここまでの内容とは知らずに読了。 熊と対峙して生きていく猟師の話かなぁなどと思いながら読み始めたところまさか最後はこんな展開になるとは。 とにかく自然の中で自然に生きていく、というよりかは自然にしか生きられない男の話。 森の中で四季を感じながら狩猟し自給自足の生活をして孤独と自由が表裏一体で生きる。 北海道の自然と共に生きていく厳しさや生き物の生命の尊さ、儚さが経験したこともないのに頭の中で情景として浮かんでくる。 個人的には結末はあまり好きではない。

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2024/08/19
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熊と闘う男の話、かと思ったら 哀しい男と女の話 それだけでもなく 犬の話、しかも泣ける壮絶な話という着地点で私の中では完結したのでした。 さすが直木賞。好みのジャンルではないのでこれまで読まなかったけれど巡り会えてよかった一冊です。 厳しい自然の描写がそう感じさせるのかもしれないけれど気軽に手に取るという本ではないでした。

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2024/08/18

人里離れた山奥で狩りをしながら暮らす山男の一生。凶暴な熊との戦いに敗れ大怪我、再度リベンジで終わるかと思いきや、そっからが変なお話。盲目の娘を連れ去り、ひたすら欲望のまま、赤子を産ませ、ほんで殺される、、、 よくよく考えると、我々も生き物を殺し、それを当たり前に食べる。こないだま...

人里離れた山奥で狩りをしながら暮らす山男の一生。凶暴な熊との戦いに敗れ大怪我、再度リベンジで終わるかと思いきや、そっからが変なお話。盲目の娘を連れ去り、ひたすら欲望のまま、赤子を産ませ、ほんで殺される、、、 よくよく考えると、我々も生き物を殺し、それを当たり前に食べる。こないだまで東北大震災の小説を読みましたが、死体は鳥や魚に骨まで食べられ跡形もなくなるとありました。ある意味本当にともぐい。生きるために食べる。ありがいと改めて感じました。

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2024/08/14
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※このレビューにはネタバレを含みます

半野良の人間の雄、熊爪の一生。 日露戦争直前の猟師として、山と町との境界線の上に生きている。動物としての自分と、人間としての自分の間でもがく様が、血腥く泥臭く素晴らしい描写。 一匹の人間が野生で育つと、こんな内面かもしれない。だけど群れへの憧れもある。 町の人間は町の人間で、社会や柵とは無縁のその生活が、蔑みながらも羨ましくもある。 ハルコは…ハルコは勁い。 虐げられても潰れず、恐らく熊爪と一部では一体だったが、囚われることを拒みきった。 強い個体に殺されて、熊爪は満足だったようだ。 犬が最期まで、本当に最後の最後まで寄り添いきった。偉かった。

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