ともぐい の商品レビュー
2023年11月の直木賞作品。描写がともかく具体的で詳しい。北海道の人里を離れて一人で狩をする猟師と熊の物語。圧倒的な自然の中で、野生との死闘が描かれる。しかもこの猟師は超人ではなく、明治期の時代のうねりの中で翻弄されもしている。後で知ったが、作者の河崎さんは知床の牧場の産まれで...
2023年11月の直木賞作品。描写がともかく具体的で詳しい。北海道の人里を離れて一人で狩をする猟師と熊の物語。圧倒的な自然の中で、野生との死闘が描かれる。しかもこの猟師は超人ではなく、明治期の時代のうねりの中で翻弄されもしている。後で知ったが、作者の河崎さんは知床の牧場の産まれで、実感こもって詳しいのに納得。但し、人間の書き方には私は不満ありましたが、最後の終わり方は流石と思いました。やっぱり本を読む事は、自分の知らない世界を垣間見せ、我が身を振り返らせてくれます。
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人間は動物であり、どう生きるのが良いのか、それは決まった形がない。 出会える人や機会によって人生は形成される、プラスにもマイナスにも作用する。 自然の中で生物的な本能のままに生きる。狩猟民族であった頃が人類は一番しあわせだったのかもしれない。 米作りから貧富の概念が生まれるところ...
人間は動物であり、どう生きるのが良いのか、それは決まった形がない。 出会える人や機会によって人生は形成される、プラスにもマイナスにも作用する。 自然の中で生物的な本能のままに生きる。狩猟民族であった頃が人類は一番しあわせだったのかもしれない。 米作りから貧富の概念が生まれるところかは始まり、豊かさを追い求めることを止められない現代人、豊かさ、便利さ、は人間の幸せにどれほど大切なものなのか。
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山で1人、狩をして暮らす熊爪。人との関わり、暮らし、社会というものが煩わしく面倒臭えと考えている。狩で得た動物の肉や毛皮を町で金に変えて必要な銃弾や米を手に入れる繰り返しの生活の中で、「純粋で、凶暴な願望」を抱かせる熊と出会う。「俺は、俺に怪我を負わせた熊を仕留めたあいつを、殺し...
山で1人、狩をして暮らす熊爪。人との関わり、暮らし、社会というものが煩わしく面倒臭えと考えている。狩で得た動物の肉や毛皮を町で金に変えて必要な銃弾や米を手に入れる繰り返しの生活の中で、「純粋で、凶暴な願望」を抱かせる熊と出会う。「俺は、俺に怪我を負わせた熊を仕留めたあいつを、殺したい。山に君臨しつつある若い雄に勝ってから、己の運命を見定めたい。」 普通の人々の暮らす社会とかけ離れ、山の中で獣に近い野人の様な暮らし振りや、熊爪の熊狩りに際してみせる集中力、神経を研ぎ澄ます辺りの描写は、実際に猟師の経験のある作者ならではの緊張感で引き込まれた。
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物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。 東大OPACには登録されていません。 貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください 返却:物性研図書室へ返却してください
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淡々と描く北海道の猟師の話。読後感もあっさりしたものです。でもそれが、諸行無常を感じさせる本作の魅力だとも思いました。
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圧巻だった。女性作家が描く文学とは思えない荒々しい表現。 野生の狩りの臨場感と迫力にドキドキした。 登場人物全ての思考に理解することはできなかったけれど、狩るということは常に生死が隣り合わせだ。狂っているのか否かわからない。 野生的な反応と一言では言えない。
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山の中一人で暮らす熊爪。そこでは自然と共に生き喰らい人間としての本能が研ぎ澄まされている。 他所から熊を追ってきた男を助けた事から、人間との関わりを余儀なくされる。熊爪の生き方は圧巻。
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オーディブルで聴きました。 眼の怪我の手当てのところなど、あまりにもグロくて引きずっている。 作者はニュージーランドでの1年間の経験だけで、こんなリアルな表現ができるほどのことを学んだのだろうか。(実際にリアルかどうかは見たわけじゃないからわからないが。) この作者がホラー小説を...
オーディブルで聴きました。 眼の怪我の手当てのところなど、あまりにもグロくて引きずっている。 作者はニュージーランドでの1年間の経験だけで、こんなリアルな表現ができるほどのことを学んだのだろうか。(実際にリアルかどうかは見たわけじゃないからわからないが。) この作者がホラー小説を書いたら凄いことになると思う。 熊爪が赤い熊を追った理由はよくわからない。別に被害にあったわけじゃないのに。 彼はオオカミに育てられたオオカミ少年のクマ版のような、クマ男なのだろう。半分動物だから彼の考えることはよくわからない。 ハルコの子どもたちのその後が気になる。特に女の子のほう。 いい気持ちになる本ではないけれど、救いはとにかくイヌ。本当におりこうで泣ける。
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人とは獣だな… 熊爪は人と交わらず 動物を撃つ。 人と交わらないのは それを学んでこなかったからだ。 狼に育てられた子どものように 獣を狩ることだけを教わった。 狩りは命のやりとり。 町でおいしいものやしゃれたものを得たり 美しい女と楽しく過ごしたり または 山でとて家族...
人とは獣だな… 熊爪は人と交わらず 動物を撃つ。 人と交わらないのは それを学んでこなかったからだ。 狼に育てられた子どものように 獣を狩ることだけを教わった。 狩りは命のやりとり。 町でおいしいものやしゃれたものを得たり 美しい女と楽しく過ごしたり または 山でとて家族と温かな家庭を築き 一生を送ることもできるのが人間なのに そういう欲がない。 あるのは 獣を狩りたい欲 そして高ぶった気持ちを収めるための性的な交わりへの欲 熊爪は果たして人間なのだろうか。 人間とはなんなのだろう。 幸せとは。 生きるとは。 特に後半の熊爪の感情の動きが 私にはわからなかった。 これが女性の作品か… すごい。
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人が何かの生命を食らい、死を迎える。生命というものを極限まで生々しく書き上げている。読んでいる間ずっと獣の匂いと血の生臭い臭いがまとっていた。 生きて行くために動物たちは同族を殺す。雌は雄を殺す。最後はそれになぞらえた形となった。すごい作品ではあると思う。が好き嫌いは別の話で、自...
人が何かの生命を食らい、死を迎える。生命というものを極限まで生々しく書き上げている。読んでいる間ずっと獣の匂いと血の生臭い臭いがまとっていた。 生きて行くために動物たちは同族を殺す。雌は雄を殺す。最後はそれになぞらえた形となった。すごい作品ではあると思う。が好き嫌いは別の話で、自分にとってどう利用出来るかが相手の存在価値だという事、殺すという事に対しての躊躇いのなさに、げんなりした。あのままだと犬が老いた時は迷わず殺しそうで怖い。主人公に対して全く好感が抱けず、むしろ嫌悪感すら抱いてしまったので、読むのがしんどかった。動物大好きには胸くそ。最後犬に「行け」と言った事はホッとした。
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