サラブレッドの生物学 の商品レビュー
サラブレッドの定義から、遺伝子、繁殖、育成、強い馬を作り出すための探求などサラブレッドの一生についての本。 サラブレッドの一生のうち、ほとんどが(強い馬に限るが)繁殖だということ、人工授精が認められていないことなどを知ることができた。 意外だったのは、サラブレッドを始祖の一つ...
サラブレッドの定義から、遺伝子、繁殖、育成、強い馬を作り出すための探求などサラブレッドの一生についての本。 サラブレッドの一生のうち、ほとんどが(強い馬に限るが)繁殖だということ、人工授精が認められていないことなどを知ることができた。 意外だったのは、サラブレッドを始祖の一つとして利用した品種にクォーターホースがあるということ。 遺伝的にはサラブレッドに近いのだそうだ。 馬の自然な回転と内包姿勢での回転の違いや、 毛色により罹患しやすい疾患、性格などが興味深かった。 競馬で様々なマスクをつけていることに疑問に思っていたが、ブリンカー(後方、側方)チークビーシーズ(側方)、シャドーロール(下方、影に驚く馬に対し)、メンコ(高周波数の音)など、それぞれの使い分けを知ることができた。 サラブレッドは分娩後10日で交配開始、発情を促すマスクや、馬房内にライトを設置し排卵を早めたり、出産後排卵誘発剤(双子ができやすくなってしまう)を使ったり、交配に人が立ち会ったり・・お金を産む馬を効率よく繁殖させるための涙ぐましい人の努力には驚くばかりだ。 生後1日目の子馬の足の長さが体に対しアンバランスな印象を受け、速さを追求した結果、サラブレッドは種としては、人なしには生きられない動物になってしまったように感じた。怪我が多いのも納得できる。 競走馬を乗馬に転用するには問題も多く、受け入れている乗馬施設においては、人の怪我が多いと聞く。 セカンドキャリアとして乗馬以外の転用や、競馬の規模の縮小なども視野に入れなければ殺処分される馬を減らしていくことは、今後難しいだろうと感じた。
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