さんかく の商品レビュー

千早茜(著者)

2024/06/22

三角ではく、さんかくの三角関係。
三角というほど尖って見えるはっきりもしていなくて、むしろ三角関係にすらなっていないのではないかもしれない、、、。
恋愛と結婚は違うとよく言うけれど、最終的に恋愛に傾き、それがこの先も継続すればきっとそれは愛情になるのではないかしらとも思いながら、食の好みの一致からゆるゆると性愛ではない愛情へと変わっていくのかもしれないなぁとも思いながら。
どこへいきつくのかなと思いながら読み進める。
最終的にそこにおさまったのかぁーと、なんとも言えない気持ちになりました。
感想にも評価にもなっていませんが
とにかく食事の描写がじんわりと美味しそうで、登場人物達とおいしいを一緒に分かち合える1冊。

2024/06/19

おいしい和食が食べたい気分になった。
ほっこりする温かい雰囲気の中にある大人な恋愛を見ていて普通ってなんだろうってあらためて強く感じた。最近普通の恋愛ってなんだろうってとっても思います。夕香みたいな人に期待しないで自分をしっかり持てる女性になりたい。

2024/06/15

読了後は不思議な感覚になりました。
物語に出てくる男女3人は少し複雑な関係性であり不器用な生き方をしているのに、描かれる『食』の部分が鮮明であり…うまく言葉で表現できないような不思議な感覚を覚えます。
出てくる人物は皆、劣等感や心の隙間などモヤモヤとした感情を抱いており、それらが複雑に絡み合い、関係性に影響を与えていきます。作中の夕香と正和は食の好みが合うという事で同居をしますが…。その設定には僅かに疑問が残りますが、好みが合うという事は気を遣う必要性が低くなり居心地の良さが生じていると思うと理解できます。その一方で正和と華は付き合っていますが、食への考えが嚙み合わない模様が描かれており対比となっているようにも思えます。食の好みが合う合わないは一緒の時間を過ごす際に少なからず影響を与えると感じていましたが、作中の彼ら彼女らの関係にも影響しているなと思いました。

作中に描かれる食の描写ですが、香りや色どりが頭の中で描ける位緻密な描写がされており、食欲が刺激されました。中には自分でも作ってみたいなと思える料理もあります。塩むすびや人参しりしりなら作れそうかなと感じました。

最後はそれぞれ一歩踏み出し関係性が変化していきます。彼や彼女らのこの先はどのようになっていくのでしょうか？その傍らに美味しい食事があれば…と淡く願う、そのような感情を抱きました。

2024/06/09

大人になればなるほど、恋愛が難しくなるし、各関係性に名前をつけるのが難しくなるよね…
でも美味しいものを一緒に食べたい関係はやっぱり恋に近い気もするし、一緒に過ごしたい人と恋愛感情は別の人に向けられてると思うと本当に難しいよね
でもこんな風に割り切れないのが現実だからとてもリアルだなとおもった

2024/06/07

一緒に住んでいたい人と恋愛の対象。居心地の良い人と恋をしたい人。食の好みが合う人とそうでない人。どうやっても長く続くのは前者。と思っていたんだけど、人の気持ちや人生におけるタイミングってそんなに簡単じゃないのよね。
とっても読みやすい一冊でした。ご飯は大切。

2024/06/07

食を疎かにしないこと。同じものを見て、同じものを「美味しい」と感じること。食の好みも向き合い方も皆違うからこそ、価値観が合う人との出会いは貴重なことだと思う。そんな同じ「美味しい」を分かち合える存在に出会えたのに、異性同士であるがゆえに”関係”に振り回される二人が切なかった。

「でも、あの二人、幸せそうに見えませんか。ぼくには見えます。最終的に恋愛とか性欲とか関係ないところに落ち着くのなら、どうしてそういうものが必要なんですかね」(p.226)

伊東くんのこの言葉は、二人の関係性についてかなり踏み込んでいると思った。結婚をしておらず性愛もない男女が一緒にいるには尤もらしい理由が必要で、たとえば二人が同性同士だったなら、何年先も一緒に食を楽しむことができたのだろうか。高村さんと伊東くんは満たされない心を「食」で埋め合い、逆に華は一人で満ちたりすぎているように感じた。
正直なところ、すべて受け身な態度の伊東くんの良さが分からず物語にいまいち入り込めない面もあったのだけれど、ひとつひとつの食事の描写が本当に美味しそうで、それだけでも読めてよかったと思った。

2024/06/03

出張に行く飛行機の中で読んだ。
いますぐキッチンに立ちたくなった。しまった…

最近自分は、味がわからなくなるような食事の仕方をしていないかな、と本から目を上げて考える瞬間が何度もあった。
猛烈に仕事をしながらも、食への興味と食欲に忠実に、体を労りながら、毎日キッチンに立ち続ける主人公の女性を尊敬した。それってかなりスキル高い。

恋愛関係のない年下の男性を住まわせて、食事の世話をする。歳重ねるに連れいつしか自分のためだけに生きるのは飽きてきていたんだよ、という主人公の言葉がなんとなくわかる。
それなのに、相手がその関係に甘えて油断してくると、それは嫌で、その関係をあっさり断ち切る。それも、わかる〜。

悩みも反省も逃げもあるけれど、他者から見たら、凛と見える主人公。自分の手で自分のために食事を作り続けるという行為が、その佇まいを作り出している気がした。

2024/05/30

装丁が可愛くてずっと気になっていて、装画も可愛いな〜と思って見てみると西淑さんだったので思わずテンションが上がった。

出てくる料理がどれもすごく美味しそうで、
誰かとごはんが食べたくなる。
誰かのつくったごはんが食べたくなる。
美味しいを分かち合えるっていいなぁ。

それぞれの女、男、女の感情のちょっとした揺れ具合や気持ちの描写がとてもリアルで。
だからこそ、それぞれの不器用さには共感できたり、えぇ？そうなるの？って思わずツッコまずにはいられなかったり。

三角関係未満のもどかしい関係性なはずなのに、丁寧に紡がれる言葉や表現のおかげか、あまりモヤモヤすることなく、すうーっと心に入ってくる不思議な感覚だった。

2024/05/29

食べ物ごとにお話が分かれている

正和のすることあまり理解できなかった、、
好きな女いるなら違う女のアパートに住み込んでご飯作ってもらおうとするなよ、、、
華は大学で動物の解体をしていることを正和に隠しているけどそれはいつ打ち明けるんだろう

夕香が一番大人だった
引きずらずなんでもない顔して去っていく姿がカッコいい

2024/05/27

好きな人は好きだろうけど、単調なものが嫌いな人にはキツいであろう作品。私はこういう日常のちょっとした事を事細かに表した作品は好きです。結末はどうなるのか、どうまとまるのかと気になったが、予想外だったかなぁ。でも、そういう事もあるかもねと思わせてくれる。はっきりした線引きがない関係も世の中にはたくさんあるよね。。。