君が手にするはずだった黄金について の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
小川さんご本人が主人公として展開する連作短編集。 フィクションとはわかっていてもものすごく現実にありそうなお話ばかりで嘘と本当の境界線があいまいになる感じがするのがおもしろかった。 印象に残ったのはエピローグ。短編集と読み始めたのでえらく長いエピローグだなと思っていたから結末にやられた。切なさや悲しさ、それを無理やり昇華させなきゃと焦る気持ちになった。
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タイトル買い。 テンポが良くてとても読みやすかったです。 "小説"や"文章"に纏わる"何か"をもっている主人公たちの短編集。 小説に纏わる主人公なので、ノンフィクションなの? さっきの話しとつながってる? パラレルワ...
タイトル買い。 テンポが良くてとても読みやすかったです。 "小説"や"文章"に纏わる"何か"をもっている主人公たちの短編集。 小説に纏わる主人公なので、ノンフィクションなの? さっきの話しとつながってる? パラレルワールド? そんな不思議な雰囲気のする作品でした。 「小説家に必要なのは才能ではなく、才能のなさなのではないか。」 など、小説家である自分への自虐か?と思いきや、視野を広げるとどの人にも、どの仕事、どの立場にも当てはまるのかも、、、。 再読したくなる作品。
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小説家である主人公「僕」が、様々な人との関わりを通して自分自身や、小説を書く仕事と向き合う連作短編集。 主人公自身に特別な出来事が起きるわけではなく、身の回りの人や出来事に対する主人公の考えや感想が描かれているので、エッセイのような雰囲気もある作品。 プロローグで「僕」は就活の...
小説家である主人公「僕」が、様々な人との関わりを通して自分自身や、小説を書く仕事と向き合う連作短編集。 主人公自身に特別な出来事が起きるわけではなく、身の回りの人や出来事に対する主人公の考えや感想が描かれているので、エッセイのような雰囲気もある作品。 プロローグで「僕」は就活のエントリーシートの項目に対して哲学的な疑問を感じている。この時点で主人公の面倒くささが分かりやすく描かれているのだけれど嫌な感じはなく、むしろある意味真剣に就活に向き合う主人公の姿に、不思議な魅力を感じた。 各短編でも、「僕」は様々な人や出来事に対して向き合っていくのだが、そこで終わるのではない。 そこから、自分はどうなのか?小説を書く仕事とは?という風に自分自身や自分の仕事にも向き合っていく様子が描かれているのが良かった。 以前読んだ小川さんの作品「君のクイズ」と同様に主人公の思考を辿れるような感覚があり、そのようなところが好みなのかもしれない。 改めて、人と向き合うことは自分と向き合うことであると感じられた作品だった。 自身は哲学について知識がなかったが興味深い話もあったので、今後哲学に関する本も読んでみたいと思った。
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書き手が頭の良い人なんじゃないかなーって思いながら読んでたら東大だった。やっぱり。嘘や虚栄でステータスを保つメンタルの強さとメッキが剥がれて崩壊する様。誰もが今いる場所で咲く事に納得できるわけじゃない。むしろもがいてのがれて別の場所で咲く。そこが前より良い場所かそうじゃないかはど...
書き手が頭の良い人なんじゃないかなーって思いながら読んでたら東大だった。やっぱり。嘘や虚栄でステータスを保つメンタルの強さとメッキが剥がれて崩壊する様。誰もが今いる場所で咲く事に納得できるわけじゃない。むしろもがいてのがれて別の場所で咲く。そこが前より良い場所かそうじゃないかはどうでも良くて自分が選択した事が大切。人には生まれ持った運があってそれは必ずしも全く公平ではないという事。生かすも殺すも紙一重。それも含めてそれぞれの運。
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あった出来事を小説家としての目線で書いているのが、面白かった。やはり、人が流していまう事とかも考えてるんだなぁと。小説家になる人は文章を書かないと生きていけないぐらい好きな人なんだと思う。
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2024年の本屋大賞第10位の作品です。 6つの短編から構成されています。最初はなんか難しくて取っつきにくいかな?と感じましたが、徐々に作品に取り込まれていきました。自分自身が主人公であり、たぶん実生活での経験や出来事がベースになっている(と思われます)。 「小説家の鏡」で...
2024年の本屋大賞第10位の作品です。 6つの短編から構成されています。最初はなんか難しくて取っつきにくいかな?と感じましたが、徐々に作品に取り込まれていきました。自分自身が主人公であり、たぶん実生活での経験や出来事がベースになっている(と思われます)。 「小説家の鏡」では、全世界の全占い師を敵に回してしまうのでは?という物言いが爽快ですし、「君が手にするはずだった黄金について」では、こんな人がいるだろうなと簡単に想像できたし、自分ももしかしたらこんな人間になっていたかもしれないと怖くなる部分もありました。 読み進めていくうちに「結局自分は何者なんだろう?」という思いが強くなってきます。たぶんいくら考えても結論は出ないのが人間という生き物なのかもしれませんね。
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「君のクイズ」のような、読者をグイグイ惹きつけてテンポよく展開していくエンタメ小説かと思って読み始めたら、内省的で哲学の要素も入った短編集だった。そして、全く雰囲気の違うこの作品も大変面白いし、「君のクイズ」以上に自分好みだった。小川哲はこういう小説も書くのか。他の作品も読んでみ...
「君のクイズ」のような、読者をグイグイ惹きつけてテンポよく展開していくエンタメ小説かと思って読み始めたら、内省的で哲学の要素も入った短編集だった。そして、全く雰囲気の違うこの作品も大変面白いし、「君のクイズ」以上に自分好みだった。小川哲はこういう小説も書くのか。他の作品も読んでみたくなった。
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今年の23冊目。これは…すごいわ。私にとって新感覚の読書体験だった。今まで読んだ小説の中で、人生ベストランキングに入ってくるほど衝撃的な神作。読み始めてかなり序盤の時点で、私この本めちゃくちゃ好きだ…!!!と思ったし、結果、読み終えて益々好きになった。 6編の中編が収録された1冊...
今年の23冊目。これは…すごいわ。私にとって新感覚の読書体験だった。今まで読んだ小説の中で、人生ベストランキングに入ってくるほど衝撃的な神作。読み始めてかなり序盤の時点で、私この本めちゃくちゃ好きだ…!!!と思ったし、結果、読み終えて益々好きになった。 6編の中編が収録された1冊なのだが、どれも主人公は小川哲さん自身。作家である「小川さん」の人生の中で起こったことが、ほぼ時系列(っぽく見えるよう)に並んでいる。それぞれが完全にノンフィクションというわけではないだろうけど、きっと本当に経験したこと、体験したことを元に書かれているんだろうなあという、しっかりとした手触り感のあるエピソードたちになっている。そのエピソード自体も粒揃いで楽しめるのだが、特筆すべきはエピソードそのものというより、それらから派生している小川さんの「思考」のほう。どれもこれも「うわ、こういうこと考えているのって自分だけじゃないんや!」とか「こういう気持ちになることあるなー」とか「こういう時のモヤモヤって言語化するとこういうことなのか!」とか、とにかく自分の思考や内部感情についての描写と言語化能力が死ぬほど適切で、まるで自分の内面を見つめているような感覚で読み進めてしまった。「泣ける作品」とかで揺さぶられるのが心だとすると、これは脳を揺さぶられるような感じ。最近当たり本を引きがちなので星5つを乱発してしまっているが、私にとってはこれも紛れもなく正真正銘の星5つ本だし、人生ランキングの1冊として大事に手元に置きたいなあと思いました。(読み終えた本の大部分はメルカリで売るのだが、本当に気に入ったやつは売らずに取っておく)。実は小川さんの本を読むのはこれが初だったが、他の著作も絶対に読んでみよう。はー、すごい。
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山場などは特にないのですが、日ごろ自分も考えていそうなこと、実は考えていることを言語化していて、なかなかシュールでした。別にそんなことがなかったら気にならなかったであろう縁遠い昔の同級生の話には、「あるある」なんて思いながら心の中でニヤけて読んでいました。自分の腹黒さ、性格の悪さ...
山場などは特にないのですが、日ごろ自分も考えていそうなこと、実は考えていることを言語化していて、なかなかシュールでした。別にそんなことがなかったら気にならなかったであろう縁遠い昔の同級生の話には、「あるある」なんて思いながら心の中でニヤけて読んでいました。自分の腹黒さ、性格の悪さに笑えました(笑)
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