ヨルノヒカリ の商品レビュー
静かでささやかで、サッと心が温まる話だった。 表紙も題も素敵で物語の世界観に引き込まれた。 母親が家を出て、幼い頃から普通の生活をしてこなかったひかりと恋愛感情がわからない木綿子。 境遇は違うけれども、お互い心に潜めてる悩みがあるからこそ、互いを思いやり、他の誰にも抱かない特...
静かでささやかで、サッと心が温まる話だった。 表紙も題も素敵で物語の世界観に引き込まれた。 母親が家を出て、幼い頃から普通の生活をしてこなかったひかりと恋愛感情がわからない木綿子。 境遇は違うけれども、お互い心に潜めてる悩みがあるからこそ、互いを思いやり、他の誰にも抱かない特別で大事に思う関係性になって、2人が出会えて良かったと思った。 2人の関係性を見てると、恋愛感情ではなく、ただ一緒にいたい、というだけの名前の無い関係は無いのかなとふと思ってしまった。 周りから恋愛関係を疑われたり、「普通に幸せになって欲しい」と言われたりして、2人の関係性が周りにうまく伝わらないのがもどかしく、普通って何だろうか…と考えさせられた。 読んだ後はありのままの自分を受け入れて、自分の思うままに生きていっていいんだと、ちいさい希望を持てたような気持ちになった。
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ひかりが戻ってきてからの二人の会話が可愛くて愛おしくて、何度も読み返してしまう。 成瀬がひかりのことが好きなのはかわいいからと言い切るところの会話も好き。 ひかりが義務教育を終了して、母親は帰らなければいけないきっかけがなくなってしまったのかな。
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もっとこの二人の未来が知りたい。「かもしれない」が多くて将来に対する二人の決断が書かれていないので、二人が離れてしまう未来もあるのかもな…と思って本を閉じました。もう少し感動したかった。
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恋という感情がよくわからず恋人がいたことがない35歳の木綿子。母親が男性依存で家を開けてばかりの環境で育ったため普通の家族がどういうものかわからない28歳のひかり。そんな2人が、「いとや手芸用品店」の同じ屋根の下で暮らすようになって、恋人でもなく、友達でもないけれど、お互いを誰よ...
恋という感情がよくわからず恋人がいたことがない35歳の木綿子。母親が男性依存で家を開けてばかりの環境で育ったため普通の家族がどういうものかわからない28歳のひかり。そんな2人が、「いとや手芸用品店」の同じ屋根の下で暮らすようになって、恋人でもなく、友達でもないけれど、お互いを誰より大切な人として支え合いながら生きていくようになるとても優しい物語。男女が一緒にいるとどうしても人はその関係について恋人なの?という枠で見てしまうのが常だけど、恋愛感情を抜きにしていても、こんなふうに静かにゆっくりと、お互いを大切にして歩み寄って支え合えるようになれたら、本当に良いだろうなぁ、としみじみ思いました。言葉で定義付けられない関係であるゆえ、悩みも戸惑いも多いだろうけれど、2人がこれからもずっと末永く、仲良く暮らして欲しいと思いました。 とても好きな作品になりました。
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‣ 自分の好みや生活を変えられてしまうほど、他人を強く思うことはない。常に自分の「好き」が最優先で、自分のことばかり考えている ‣ 「少数派」である自分を、世間の目にさらすのは、とても勇気のいることだ。その勇気の奥に隠れた繊細な部分に誤った触れ方をすれば、相手を傷つけてしまう ‣ 年齢をひとつ重ねたことに、恐怖を感じた。老いに対する恐怖とは違う。自分が他の人と違う生き物になっていくようで怖いというか、気持ち悪いのだ ‣ 悪い人ではないの。でも、正しい人だから。わたしは、その正しさに傷つけられてしまう ‣ 誰かの存在がなければ、自分を確かにできないのは、弱すぎる。だが、最初から、ひとりで生きている人なんていない ‣ 自分のことを大事に思ってくれる人たちのことを考えて、生きていきなさい。それで、自分のことも大事にしなさい ‣ 胸を張っていれば、何も気にせずに付き合ってくれる人が周りに増えていく。そのうち、自分のいるところが真ん中になる ‣ ずっと悩んでると、ものごとを客観的に考えられなくなる。出口を見失ったまま、迷路の中を彷徨いつづけているみたいになってしまう。でも、その迷路も遠くから見れば、簡単に出口が見つかる ‣ 夕ごはん食べた後、テレビ見ながら、お喋りする相手がいるっていうだけで、幸せだなって感じる ‣ 彼に守られる存在で、いてはいけない。 私が彼を守って、生きていくのだ。 自分の気持ちがわからないなんて、迷っている余裕はない ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ 恋愛感情がわからず、人との距離感に悩まされながら生きてきた主人公の木綿子(ゆうこ)。 大切な家族、生きる術だった仕事、住む場所さえも失ったもう一人の主人公・光(ひかり)。 手芸用品店で一緒に働くようになり、共同生活もする2人は、お互いが大事な存在であると気づき始めるも、 世間一般でいうところの友人・恋人・家族という形に当てはまることができない。 それでも、周囲の人に見守られながら、不器用な2人が育もうとする関係性は、ちょっぴり切なくて、とても愛おしい。 日常の中にあふれる思いやりに、心がほっこりする物語です☺️
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奔放な母親に振り回され続け普通の生活をしたことがない夜野光くん(28)と、手芸用品店を営む絶世の美女だが恋人いない歴35年の糸谷木綿子(35)さんの、めんどくせー関係を描いたコメディータッチの作品。 調理系の仕事を続けてきた光くんは職を失い、住んでいたアパートも取り壊しのため立ち...
奔放な母親に振り回され続け普通の生活をしたことがない夜野光くん(28)と、手芸用品店を営む絶世の美女だが恋人いない歴35年の糸谷木綿子(35)さんの、めんどくせー関係を描いたコメディータッチの作品。 調理系の仕事を続けてきた光くんは職を失い、住んでいたアパートも取り壊しのため立ち退かなければならない。そんな時、「従業員募集! 住み込み可!」の張り紙を見て応募した彼は採用され、奇妙な同居生活が始まる。 他者との距離感がわからない2人がおっかなびっくり、それでも確実に親しくなりながらも別れを警戒する様子はじれったかった。 近年、LGBTQをはじめマイノリティーの人達にスポットを当てた作品が多いが、本作もそうだ。だが、わからないことをひと括りにすることで、「そういう人」という安心感を得たいマジョリティーの都合とも思える。 実際、同じ分類にされた人達でもそれぞれに異なるのは当たり前で、彼らの中で新たな差別が起きそうな気配を感じる。「人は違って当たり前」とよく耳にするけれど、本当にそう思って他者と向かい合っている人がどれだけいるのか。 そんな重苦しいことを考えながら読了した。
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たとえ恋人でなかったとしても、お互いが大切にしたい人である事は変わらない。こんな関係もあるんだなぁ。ヒカリ君と木綿子さんが今後どうなっていくのか楽しみ。成瀬くんの周りに合わせたりせずに、自分の意思をしっかり持ってる所、好きだな。これからもヒカリ君の側にいてほしい。
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読了後に優しさと温かさで胸が満たされる。 恋とか愛とかの枠に嵌めなくていいから、2人ならではの関係が永く永く続いてほしい。
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自分たちの関係性を既成の枠組みに無理やりねじ込むのではなく、ふたりだけの固有の関係性を築いていこうと主人公たちが最後に確認し合っていて、羨ましかった。 私も、特別大切に想い合っている者同士で、ある時から恋人になるのがよく分からない。「お互いに恋愛が得意でない」とあって、恋愛って得意とか不得意って言っていいんだ、と心のつかえがとれる感覚があった。 「年齢をひとつ重ねたことに、恐怖を感じた。老いに対する恐怖とは違う。自分が他の人と違う生き物になっていくようで怖いというか、気持ち悪いのだ」p,61 人と離れるのは仕方ないことだと分かってある程度開き直っていても、自分のせいで関係性が悪くなったんじゃないか、とふと思い悩むことがある。 自分がおかしいんじゃないかと思い詰める。 主人公のふたりは誰でもないうっすらとした民意、世間にそう思わされていたのではないか。でも、「胸を張っていれば、何も気にせずに付き合ってくれる人が周りに増えていく。そのうち、自分のいるところが真ん中になる」というセリフを信じてみようと思った。信じてみようと思える、力強いお話だった。
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一気見してしまった! 読み終わったらホッコリするような物語。 登場人物はみんな素敵な人でした。 みんなに好かれる必要はなくて、本当にそばにいたい人ややりたい事に時間を過ごせるようにしたい。関係性はなんでもよくて、自分が居心地が良い人を年齢を重ねても大切にしていきたいと思った。
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