こぼれ桜 の商品レビュー
「摺師」シリーズの三作目。 大きな事件が起こるわけではないが、胸にじわっと迫るものがあり、読まされてしまう。 摺師としての矜持や、職人たちとの気持ちのやり取り、扱いずらい安次郎のキャラ、少々重くなりそうな雰囲気を、 弟分の「こまんまの直」が救う。 安次郎を取り巻く周囲の人物...
「摺師」シリーズの三作目。 大きな事件が起こるわけではないが、胸にじわっと迫るものがあり、読まされてしまう。 摺師としての矜持や、職人たちとの気持ちのやり取り、扱いずらい安次郎のキャラ、少々重くなりそうな雰囲気を、 弟分の「こまんまの直」が救う。 安次郎を取り巻く周囲の人物たちとの繋がりも定着し、 安心して読める。 叔父とのごたごたも、ようやく決着するか。
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精確で優れた仕事ぶりから、「おまんまを食いっぱぐれる心配がない」とついた二つ名は「おまんまの安」 摺師・安二郎は、亡き女房の実家へ預けられていた息子の信太を引き取り、神田明神下の長屋に父子二人で暮らしていた。そんなある日、兄弟弟子直助が血相を変えて摺り場に飛び込んできた。何でも、...
精確で優れた仕事ぶりから、「おまんまを食いっぱぐれる心配がない」とついた二つ名は「おまんまの安」 摺師・安二郎は、亡き女房の実家へ預けられていた息子の信太を引き取り、神田明神下の長屋に父子二人で暮らしていた。そんなある日、兄弟弟子直助が血相を変えて摺り場に飛び込んできた。何でも、ともに切磋琢磨してきた摺師の伊之助がお縄になったという。
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大火事がきっかけで、武士を捨てた摺師、安次郎。 職人の世界を、一人で育てる息子や親方摺師仲間との暮らしを描く。 浮世絵、錦絵制作の大きな職人、摺師の世界を詳しく描く。
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長屋の者たちは、信太の親指のことを誰も気にしなくなった。かわいそうだとか、気の毒だとか、そうした情けをかけられたところで、指の動きが回復するはずもなき。信太がそうした情けをよりどこらにしてはいけないと安次郎は思っていた。それらの言葉を心地よく思っていては、結局、自分を貶めているこ...
長屋の者たちは、信太の親指のことを誰も気にしなくなった。かわいそうだとか、気の毒だとか、そうした情けをかけられたところで、指の動きが回復するはずもなき。信太がそうした情けをよりどこらにしてはいけないと安次郎は思っていた。それらの言葉を心地よく思っていては、結局、自分を貶めていることになり、他人の眼もかえることができない。
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