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リスペクト の商品レビュー

3.8

76件のお客様レビュー

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2024/08/27

実話をもとにした小説。 ブレイディさんの小説は、社会的弱者と呼ばれる人たちの隣に並んで一緒に声をあげたり、笑ったり、泣いたりしているような...そんな臨場感と力強さに満ちている。 社会保障費がどんどん削られていくのは、イギリスも日本も一緒。 でもイギリスの人たちは黙っちゃいな...

実話をもとにした小説。 ブレイディさんの小説は、社会的弱者と呼ばれる人たちの隣に並んで一緒に声をあげたり、笑ったり、泣いたりしているような...そんな臨場感と力強さに満ちている。 社会保障費がどんどん削られていくのは、イギリスも日本も一緒。 でもイギリスの人たちは黙っちゃいない! 暴力的な抵抗ではなく、当たり前に居住して生活する。それが最大の抵抗となる。 抵抗運動をするシングルマザーたちを応援するブルーカラーの人たちの連帯と心意気にもじんわりくる。 日本にはこういう連帯ってほとんどないような気がする。 デジタルの署名でなく、実際に現場に行って署名し、支援する。 市民が勝ち取ってきた権利の歴史があればこそなのか、日本の連帯しない市民社会を改めて考えさせられた。

Posted byブクログ

2024/08/23

読み終わったあとに、こちらも史奈子と同じようにパワーをもらえた気がした。トイレの修繕の話しがとてもわかりやすくて、衝撃だった。自分達の本当はもっていることも、持っていないと思わされていること。ひとつ寄りかかってしまうと、どんどん依存していき奴隷であることが、楽になってできる力を少...

読み終わったあとに、こちらも史奈子と同じようにパワーをもらえた気がした。トイレの修繕の話しがとてもわかりやすくて、衝撃だった。自分達の本当はもっていることも、持っていないと思わされていること。ひとつ寄りかかってしまうと、どんどん依存していき奴隷であることが、楽になってできる力を少しずつ奪われていく。そんなイメージ。 やりたいことをあきらめなくていいんだよ。できないといいきることはないと、おもわせてくれる。続きの史奈子の姿見が見たいと思う。

Posted byブクログ

2024/08/09

知らなかったイギリスの姿。格差問題と活動してる人たち。暴動のニュースの背景など想像できるようになった。日本でもこんな風に見えない貧困層の人たちがいるのかも知れないと思った。

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2024/07/19

かっけー。 ブレイディみかこさんは好きな作者で、いくつもの作品を読んでいるが、 今回のリスペクト、一番面白かった。カッコよかった。今の世の中を示していた。 2013年、14年のロンドンで起こった、シングルマザーの運動。 運動ったって、ただのデモとは違う。 ホームレス...

かっけー。 ブレイディみかこさんは好きな作者で、いくつもの作品を読んでいるが、 今回のリスペクト、一番面白かった。カッコよかった。今の世の中を示していた。 2013年、14年のロンドンで起こった、シングルマザーの運動。 運動ったって、ただのデモとは違う。 ホームレスの彼女たちが身を寄せていたホステル。 ロンドンオリンピックのためにそこを退去せよ!という理不尽な役人の命令に 立ち上がった、乳飲み子を抱えた20歳代の女性たちの話だ。 そのくせ市営住宅は欠陥があるとかで数十戸が空き家状態。 彼女らはここを占拠し、暮らし始める。 それを支援する人たち、さげすむ人たち。 暮らせるようにプロたちが立ち上がり修理する、物資を運ぶ。 皆が皆を助け合う。 本来人々が持っていた生きる知恵、集まりがそこにあった。 それが蔑ろになる世の中。 ・・・偶然だが、このところ読んでいた本がつながる。 マンション高騰の理由。一部の金持ちの税金対策だったり投資だったり。 その街で生活する人のことなど眼中にない。 そしてショック・ドクトリン。911以来の政治家とそのお友達の大企業のための法律 で、このリスペクト。ロンドンで必死に働くシングルマザーを追い出して、 誰のために何を作ろうというのか。 こんなものは経済の話ではない。 税金を巻き上げ、自分たちだけのために使う、という狂った政治家の話だ。 これをして新自由主義というのはどうなのか。 ただ間違いなく、アメリカ、イギリス、日本で同時発生している。 そう、タイトルのリスペクト。 市民に対するリスペクトがないのだ。 日本人二人の話も交え、最高の小説になっている。

Posted byブクログ

2024/07/10

家を追いやられたシングルマザーたちが立ち上がる。ロンドンで実際におきた住宅地占拠事件をモデルにした小説。 主張が大きな渦となり、周りを巻き込み感化させていくさまは圧巻。 自らのあるべき権利を頑なに主張して闘った彼女たちにリスペクトと称賛を。

Posted byブクログ

2024/07/08

ロンドンでの生活を目的とするか手段とするか。 国が描いたシナリオ通りに進めば、弱いものは 住む場所を追われ地方へ移ることが自然となります。 国からは無言の圧力が突きつけられ、恐らく多数は それに従って都会を離れることを余儀なくされたでしょう。 生活保護で支援を受けていつつ、国...

ロンドンでの生活を目的とするか手段とするか。 国が描いたシナリオ通りに進めば、弱いものは 住む場所を追われ地方へ移ることが自然となります。 国からは無言の圧力が突きつけられ、恐らく多数は それに従って都会を離れることを余儀なくされたでしょう。 生活保護で支援を受けていつつ、国からの要望を 聞き分けることもなく、自分の要求を最大化させようとする ジェイド他のシングルマザーの考えは自分には分かりません。 それがわからない、というのは自分が恐らく底抜けに幸せで、 生まれた時から背負った宿命がとんでもなく違うからです。 貧困は人から知性を奪い、知らずのうちにそれが 無知なものの集う環境を作ります。考えることをやめた人たちは 可能性の未来をイメージできなくなります。 なんのためにロンドンに居るのか。ロンドンに何があるのか? ロンドンで身を立てていけるのか? このあたりが頭脳の領域から完全に消し飛んでいるのは、 自ら現在地すら読み取れない、過去からの負の連鎖による弊害 それに他ならない、そう思います。 仮に『リスペクト』を勝ち取ることができても、 同じように自分たちも『リスペクト』を払わないといけない。 そんな相互関係で人間社会は成り立っているわけで、 自分の利害関係だけをテーブルにのせてわめいていて、 たまたま奇跡が起きてうまくいっても、奇跡は奇跡で それを連続させることは不可能といっていいでしょう。 もしもこのストーリーに何かの希望があるとすれば、 それは彼女たちが活動を通して出会った人たちとの絆を この先で活かせるかどうか。 活かせればハッピー、活かせなければふりだしに戻る。 意識の変化はその後、果たして起こったのか? そして、それら全てを見ていた子どもたちは、その日々を どう心に残して先につなげていくのか? 自分は、なにかの化学変化は起こった、そう強く願います。

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2024/07/06

「波風を起こしたところで何も変わらないと思っているから、黙って我慢する。我慢しているうちに疑問も感じなくなる。だからいつの間にか、当事者としての感覚が消え失せてしまう。」 何だろ、感動なのかな、胸が熱くなる場面がいくつかあった。 時あたかも、英国では、14年ぶりに労働党が政権に...

「波風を起こしたところで何も変わらないと思っているから、黙って我慢する。我慢しているうちに疑問も感じなくなる。だからいつの間にか、当事者としての感覚が消え失せてしまう。」 何だろ、感動なのかな、胸が熱くなる場面がいくつかあった。 時あたかも、英国では、14年ぶりに労働党が政権につく。マルクスが、その社会を観察して階級社会を洞察したという英国は、もっと住みよくなるのだろうか。 振り返って、都知事選では、しようもないポスター荒しの輩が跋扈してる。 学校では、法律の前提として、法のユニバースという概念があって、これはやっていい、これはダメという、その社会が共有してる規範、意識があると習ったような気がするが、もやは、どこの国でも、そんなものはなくなりつつあるのかもしれない。 刑法に、殺人はいけないとは書いてない。刑罰さえ受ければいいのでしょと、うそぶくやつらが出てくるのかもしれないな。

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2024/06/24

イギリスも大変。人、国は変われど人間の思いと行動は変わらない。権力者は権力者、アナーキストはアナーキストの振る舞い。浩宮さん、英国到着というニュース。しばらくは毎日、英国ニュース溢れるだろうけど、史奈子さんも新聞社やめてしまったし、こういうニュースは流れてこないだろうなぁ。「明日...

イギリスも大変。人、国は変われど人間の思いと行動は変わらない。権力者は権力者、アナーキストはアナーキストの振る舞い。浩宮さん、英国到着というニュース。しばらくは毎日、英国ニュース溢れるだろうけど、史奈子さんも新聞社やめてしまったし、こういうニュースは流れてこないだろうなぁ。「明日終わるかもしれないという切実な危機感があれば、とりあえず人間は何でもやって生き残ろうと足掻くものじゃないか。転覆しそうな船に乗っているのに誰も方向転換しないのは漠然と『このままでも、実は結構大丈夫』と考えているからで、お花畑っていうのは本当はそっちのことじゃないか」「私たちは自分を生きるために抵抗していかないといけない」「自分が自分の人生の当事者じゃなくなってくる」「少しばかりの自分へのリスペクトが起動させる未来が、いまここから始まる」

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2024/06/20

リスペクト ブレイディみかこ 筑摩書房 最高に面白い これはドキュメント小説だから 虚と実が織りなすスリルがあるのだろう 普段ほとんど小説を読まない人間としては 読みやすいジャンルだとも言える 更に言えばアナーキーをこよなく夢見る私をうずかせてもくれた 競争原理社会を乗り越えて ...

リスペクト ブレイディみかこ 筑摩書房 最高に面白い これはドキュメント小説だから 虚と実が織りなすスリルがあるのだろう 普段ほとんど小説を読まない人間としては 読みやすいジャンルだとも言える 更に言えばアナーキーをこよなく夢見る私をうずかせてもくれた 競争原理社会を乗り越えて 切磋琢磨によって調和の瞬間を目指す そんな冒険を何度でも体現したいモノだとつくづく思う

Posted byブクログ

2024/06/15

結局、尊厳の問題なんだね。 フェミニズムもアナーキズムも。そして連帯。 思想的なところもわかりやすく書いてくれて、さっき読んだ「フェミ彼女」のモヤモヤもちょっと晴れた。 途中、退屈な部分もあったけど、日本人の史奈子の視点から書かれる部分がとてもおもしろかった。

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