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スウェーディッシュ・ブーツ の商品レビュー

4.1

15件のお客様レビュー

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2023/06/11

死を目前にした人間が一瞬にして自分の人生で起きたことが走馬燈のように浮かぶという、あれ。または、老人性による認知症の人間の夢かうつつかわからない話を読まされているという気持ちで読んだ。作者のヘニング・マンケルがこれがスウェーデンで出版されてからまもなく亡くなったという情報が意識に...

死を目前にした人間が一瞬にして自分の人生で起きたことが走馬燈のように浮かぶという、あれ。または、老人性による認知症の人間の夢かうつつかわからない話を読まされているという気持ちで読んだ。作者のヘニング・マンケルがこれがスウェーデンで出版されてからまもなく亡くなったという情報が意識にあったせいかもしれないが。 最後、 「だが私はもはや暗闇を恐れてはいない。」 ってポジティブなトーンで終わる。このことばはやっぱりマンケル自身の想いが反映されいるんだろうな。そうでなければ何? 『イタリアン・シューズ』の続編、CWAインターナショナルダガー賞受賞と知り読んだ。これには2つの誤算。 1. 『イタリアン・シューズ』を読んでいなかった。『タンゴステップ』と勘違いしていた

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2023/05/31

スエーデンの小島に住む老主人公の家が火災になったところから物語ははじまる。 全てを失った老人の孤独が、晩秋の群島の描写と重なり胸に迫ってくる。私なら絶対に好きになれない描写の主人公だが何故か引き込まれてしまう。ささやかな日常と連続火災事件の対比ももの悲しい。イタリアンシューズの続...

スエーデンの小島に住む老主人公の家が火災になったところから物語ははじまる。 全てを失った老人の孤独が、晩秋の群島の描写と重なり胸に迫ってくる。私なら絶対に好きになれない描写の主人公だが何故か引き込まれてしまう。ささやかな日常と連続火災事件の対比ももの悲しい。イタリアンシューズの続編。

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2023/05/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ヘニング・マンケル最期の作品なので、 読んでみたけれど・・・このテンポ・・・ 『北京から来た男』を読んだときに感じたとの同じで、 読むテンションを維持できない。 苦手ではないけれど長く感じてしまう。 『イタリアン・シューズ』を読まずに 本作を読んだことと、 ストックホルム群島をイメージしていたのがいけなかったかな。。。

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2023/05/04

2015年に亡くなったヘニング・マンケル氏の最後の作品。 これでもう、彼の本を読み続ける楽しみは無くなってしまったのだけれど残された本を再読してゆくじんわりとした楽しみが私には残されている。 相変わらず情けない老境にさしかかった男が主人公で、この本は自身ががんに冒されていること...

2015年に亡くなったヘニング・マンケル氏の最後の作品。 これでもう、彼の本を読み続ける楽しみは無くなってしまったのだけれど残された本を再読してゆくじんわりとした楽しみが私には残されている。 相変わらず情けない老境にさしかかった男が主人公で、この本は自身ががんに冒されていることを呑み込んだ上で書かれているので、 「老いること」そしてその先の「死ぬということ」を真に迫って読むことが出来る。 スエーデンの群島でおきた火事や、馴染みの浅い娘との交流、(年がいもない)恋愛への妄想もリアルな表現。 『イタリアンシューズ』の続編だけど登場する靴のその差は大きい。 ミステリーとしてのストーリーだけでなく、現代のヨーロッパ全域に渡る問題提起もしてくれる。紛争や貧困、障害者や格差や移民問題。 ヴランダー刑事シリーズの時に教わったアパルトヘイトも思い出す。 この作家さんをあまり知らずにこの本を手にした読者の人の中には情けない男…という印象ばかりが残るかもしれないけれど、生涯を文章を通して読者に社会問題を投げかけてくれた彼に深く頭が下がる思い。 エッセイ集「流砂」にも描かれていた死生観をもう一度、紐解きたくなる。

Posted byブクログ

2023/04/24

スウェーデンの群島のひとつの小島に住むフレドリック・ヴェリーン、71歳。フレドリックの家が全焼したというところから始まる。全てを失ったなかで感じる孤独。この先どうすればいいのかという不安の日々に出会ったリーサという女性。リーサとなんとか近づきたいという思いや、一緒にいたいという気...

スウェーデンの群島のひとつの小島に住むフレドリック・ヴェリーン、71歳。フレドリックの家が全焼したというところから始まる。全てを失ったなかで感じる孤独。この先どうすればいいのかという不安の日々に出会ったリーサという女性。リーサとなんとか近づきたいという思いや、一緒にいたいという気持ちを持て余しつつも、利己的に振る舞うフレドリック。決して好きになれないような造形の人物なのに、どんどん引き込まれていってしまう。自分の娘との関係や、近くの住民たちとの交流の不器用さがいいし、もっとフレドリックという人を知りたくなっていく。だからこの物語が著者の最後の作品というのが残念でもある。この文章、世界観がとても心地良い。〈ヴァランダー〉シリーズもそうだけどとても印象深く思い入れの深い作家さん。

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