彼女たちの北朝鮮 の商品レビュー

髙島淑郎

2023/05/27

2023年出版。

「手に入らなくなるよ」と言われて急いで購入したこの本。読んでみるまで知らなかったのだが、この本は脱北者と対話をするYouTubeチャンネル「ベナTV」の中から、特に脱北者の北朝鮮での生活や脱北過程についての話を聞く「タルタルタル」というシリーズを翻訳したものである。女性ばかり30人が取り上げられている。

私の場合はこうした脱北者関連のYouTubeをそれなりに見ている方なので、動画でそのまま見る方が感情も伝わり、臨場感もあり、また個人的には「楽」なのだが、こうした北朝鮮の生々しい話を「日本語」で接する機会はほとんどないため、日本人が北朝鮮に接する機会になれば・・・と思ったのだが、冒頭に書いたように、どうやら(番組を訳したものであるため)著作権の問題が発生して、事実上の絶版となるようだ。朝鮮語の翻訳もかなり正確なだけに残念である。

大元の「ベナTV」もつい最近、運営者間で内部分裂が起こり、それによって韓国社会の中で脱北者に対する嫌悪感を高める一つのきっかけとなってしまった。
そういう流れを見ていると、脱北者は北朝鮮に住んでいても苦労し、脱北過程でも死を覚悟するような辛い思いをし、さらに到着した韓国でも苦労して生きていかざるを得ないんだなぁ、と、辛い気持ちになる。