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鯨オーケストラ の商品レビュー

4.1

39件のお客様レビュー

  1. 5つ

    15

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

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2023/09/09

「流星シネマ」「屋根裏のチェリー」に続く物語。 静かで穏やかな時間の流れ。いつでも訪ねていっても良い場所の存在、いいですね。天国の話が印象的。知ってるだけじゃ駄目なんだ…。G線上のアリアとトッド・ラングレン(初めて聴いた)を聴きながら読みました。

Posted byブクログ

2023/08/20

私もまた、主人公のソガ君に似て、しっかり者の妹を持つ、歳を重ねて形成してきた年月がぼんやりと心許なく、世界をぼんやりとみている部類だ。17歳から何が変わったか?何を伸ばして何を広げて何を深くしてきただろう。鯨やラジオやハンバーガーや川やオーケストラ。過去も未来も孕む31歳そのまま...

私もまた、主人公のソガ君に似て、しっかり者の妹を持つ、歳を重ねて形成してきた年月がぼんやりと心許なく、世界をぼんやりとみている部類だ。17歳から何が変わったか?何を伸ばして何を広げて何を深くしてきただろう。鯨やラジオやハンバーガーや川やオーケストラ。過去も未来も孕む31歳そのままのソガ君に、偶然ではなく引き寄せられたのは、きっと、誰にも起こることだと願いたい。素直に自然になる大人たちがよかった。

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2023/08/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人と別れるのは自分で決められるけど、誰かと出会うのは自分では決められない。だから人生は面白いー クラリネット奏者の主人公がFMラジオのDJを努めることになったのがきっかけで、色んな縁と音楽が繋がる深海のように静かな物語。シリーズものと知らずにいきなり読んでも楽しめる作品でした。

Posted byブクログ

2023/07/24

”静かな声”、”ラジオ”、”オーケストラ”、…となんだか今までの吉田篤弘ワールドのかけらが散らばってできたモザイク画のような掌編集。

Posted byブクログ

2023/07/10

直前に読んだのが河崎秋子さんの『絞め殺しの樹』でしたから、そのギャップに思わず笑ってしまいます。 読みながら何となく思いついたのがモヘアの糸。フワフワと毛羽だって暖かい。ストーリーは有るのだけど、しばしば横道(毛羽)に入り込み、絵や音楽、詩が語られ、人との付き合い方や人生論にも。...

直前に読んだのが河崎秋子さんの『絞め殺しの樹』でしたから、そのギャップに思わず笑ってしまいます。 読みながら何となく思いついたのがモヘアの糸。フワフワと毛羽だって暖かい。ストーリーは有るのだけど、しばしば横道(毛羽)に入り込み、絵や音楽、詩が語られ、人との付き合い方や人生論にも。でも一切押しつけがましく無く、著者の思いが柔らかく語られる。撚れば強い糸になるのでしょうが、敢えてフワフワと、これが吉田さんの持ち味です。先へ先へと急ぐ目と指を押しとどめるように読みましたが、それでも1日強で読了です。 タイトルで想像は付いたけど『流星シネマ』に繋がる物語です。どうも間に『屋根裏のチェリー』が入るようですが、これは未読。もっとも独立した物語なので読むのには問題はありません。『屋根裏のチェリー』の主人公サユリと本作の主人公ソガ君の新しい一歩を描いたエンディングは清々しく。ひたすら吉田ワールドです。 シリーズ名は無い様ですが吉田さん自身が三部作と言って居るので、これで終わりの様ですが、もう少し物足りない感じもあります。『屋根裏のチェリー』を読んだらまた印象が変わるかもしれませんが。 さて、今日のお昼はハンバーガーにしようかな。

Posted byブクログ

2023/06/16

『レコード屋の店主に試聴をお願いすると、店主は黙って頷いて、B面の三曲目――それが「Be Nice To Me」だった――に針をおろした。これまた、どうしてなのか分からない。普通はA面の一曲目に針をおろすように思うが、店内に流れ出したのは、にぎやかな曲調のA面の一曲目ではなく、お...

『レコード屋の店主に試聴をお願いすると、店主は黙って頷いて、B面の三曲目――それが「Be Nice To Me」だった――に針をおろした。これまた、どうしてなのか分からない。普通はA面の一曲目に針をおろすように思うが、店内に流れ出したのは、にぎやかな曲調のA面の一曲目ではなく、おだやかなゆったりとしたテンポのB面の三曲目だった』―『サイレント・ラジオ』 「Be Nice To Me」と聞いて頭の中で音楽が鳴る。♪You'd be so nice to come home to。おっとこの曲じゃないんだな。検索すると、トッド・ラングレンがピアノの前に背を向けて座っているジャケットが見つかる。その首には絞首刑用の縄が。柔らかな旋律とは裏腹の不吉なイメージ。♪And would it bring you down if I hang around(そして、私がぶらぶらしていたらあなたを落ち込ませるでしょうか/Google翻訳)。bring you down、hang aroundのダブルミーニングが聞こえてしまう。この物語にそんな不吉なところはないのだけれど。あるいはあるのか? 頭の中では青江三奈の歌う声がしつこく鳴り続ける。この物語には私の歌の方が似合うわよ、と。 久しぶりにクラフト・エヴィング商會の本を読む。吉田篤弘の語り口は相変わらずで、いつものように主人公が静かに語り掛けてくる。それがあまりに穏やかな口調なので、語られていることが虚構なのだということをつい忘れそうになる。そして何故か子供の頃に過ごした場所の風景が浮かんでくる。そう、吉田篤弘の文章は既視感に満ちているのだ。 子供の頃、既視感という言葉もまだ知らなかった時分、UFOやこっくりさんなどのオカルトが大流行だった。中でも子供心に皆が半信半疑ながらも気になって仕方が無かったのがノストラダムスの大予言だった。既に予言された時、一九九九年の七の月もとうに過ぎた今となっては笑い話のような話だが、未来を予測できる人が世の中には居るのかも知れないと多くの子供は無邪気に半ば信じていたような気がする。そんな時代の雰囲気もあり、見知らぬ街の風景や出来事に見覚えがあるような気にしばしばなっていた自分は「これってひょっとして予知能力なの?」と思ったものだった。その話を何気なく父親にしたら「それはデジャヴというのだ」と真面目な顔で言われたのだが、納得できず何とか予知夢を記録しようとしたりした。 吉田篤弘の文章を読んでいると、そんな現実と幻想の狭間を漂っていた子供の頃のことを思い出すように、記憶が揺さぶられる。特にこの一冊は、そんなあやふやな思いが丁度良い塩梅で物語られている、と言ってもいいのかも知れない。それは伏線のようであって伏線ではなく(現実はそんなに都合の良く回収できる話ばかりではない)、偶然のような必然のようなどっち着かずな状況に、自らが下したのか周囲に促されて下したのかも判らない判断が積み重ねられていく物語なのだが、それが世の中全てが自分の思い通りになる筈がないという考えと、共振する。ひょっとすると、それが吉田篤弘の心地よさの根源なのかな、と思い至る。 子供の頃、夏休みに父親の田舎で過ごした時、花火を買いに行こうということになり、歩いて三十分ほどの雑貨店に買いに行ったことがあった。お店の初老のご主人が父親の選んだ花火を茶色の紙袋に入れているのをぼんやり眺めていた自分は、勘定台の上に置かれたその包みを何の疑いもなく手に取ってお店を後にした。泊めて貰っていた伯父さんの家に着くと父は自分の持っていた紙袋を見て、それは何か、と訊いてきた。その父の手には別の同じ茶色の紙袋が握られていたのだ。ああ、間違えて持って来てしまったのだな、と思ったものの、また三十分の道程を返しに行くのも面倒臭いな、とも思った。伯母さんがそのお店に電話して事情を説明する。と、何とそれは伯父さんがお店に頼んでおいた花火なのだった。ご主人は、自分が紙袋を持って行くのも見ていたらしいのだが、父の顔を見て、ああ親戚の親子が買い足しに来たのだなと思い引き止めなかったのだという。世の中、そんな不思議な、けれどよく考えると不思議という程でもない(その田舎の雑貨店は近所で唯一の花火を売る雑貨店だった)出来事に満ちている。そんなことを改めて思い返させてくれる吉田篤弘の一冊。

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2023/06/11

 時間は消えてしまうのではなく、重なっていく。いまの自分に過去の自分が含まれている。  いいですね~過去を否定するのではなく、肯定していく❢  

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2023/05/23

鯨オーケストラ。いろいろ大変なことがあって、どうにもならない気持ちを抱えて、しばらく大好きな本も手に取れない状態だったけど、この小説を手に取り、ぼぉっとしてたって毎日の生活を、出会いを、未来を大切に丁寧に静かに生きていこうと思った。別れは自分で決められるけど、出会いは自分で決めら...

鯨オーケストラ。いろいろ大変なことがあって、どうにもならない気持ちを抱えて、しばらく大好きな本も手に取れない状態だったけど、この小説を手に取り、ぼぉっとしてたって毎日の生活を、出会いを、未来を大切に丁寧に静かに生きていこうと思った。別れは自分で決められるけど、出会いは自分で決められないものね。

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2023/05/15

声の仕事をしてる曽我、十七歳の肖像画、クラリネット 父とベニーの話がちょろっと出てきただけだったのがん?って感じだった

Posted byブクログ

2023/05/11

過去と未来、音楽と絵画、とても丁寧に描かれた不思議な物語だった。初めに訪れた美術館の描写が印象的。完全にタイトルで選んだけれども音楽の自由にさりげなく触れてくれる優しいお話でした。

Posted byブクログ